ロッチが伝説の2015年キング・オブ・コント回想 1位から大失速も「今考えたらよかった」ワケ

人気お笑いコンビのロッチが、今年6月の単独ライブを収録したDVD「ロッチ単独ライブ『すってんこロッチ』」(税込4180円、発売元:Contents League)を発売中だ。題名は中岡創一(44)が今年3月、ロケ中に右足のくるぶしを骨折したことから名付けたもの。2人が“すってんこ”した瞬間とは……。

ロッチ単独ライブのDVDを発売する【写真:ENCOUNT編集部】
ロッチ単独ライブのDVDを発売する【写真:ENCOUNT編集部】

DVD「ロッチ単独ライブ『すってんこロッチ』」発売中

 人気お笑いコンビのロッチが、今年6月の単独ライブを収録したDVD「ロッチ単独ライブ『すってんこロッチ』」(税込4180円、発売元:Contents League)を発売中だ。題名は中岡創一(44)が今年3月、ロケ中に右足のくるぶしを骨折したことから名付けたもの。2人が“すってんこ”した瞬間とは……。(取材・文=平辻哲也)

 転んでもただでは起きないのがロッチだ。単独ライブでは、中岡のけがのネタを導入部に8本のネタを披露している。DVDでは舞台となった北沢タウンホール近辺のグルメ紹介、2人による音声コメンタリーなども収録し、その魅力が詰まっている。中岡は「治るかなと思って、ちょっとドキドキしましたけど、今は大丈夫です」と完治をアピールする。

 単独ライブは2人にとって特別なもの。自分たちがやりたいことのすべてをつぎ込んだ場所だという。コカドケンタロウ(44)は「単独ライブだけは仕事っていう感じもしない。勝手にこっちが『やりたい』と言って、やってることなんで。ライブはお笑い芸人になった時から、やらない選択肢はなかった」と言えば、中岡も「『自分でやります』って言って、やっているものはライブとYouTubeだけ」と話す。

 今回のライブでは、ロッチの私物を展示したり、ファン向けのプレゼントを用意するなどお祭り的な要素も加えた。「もっとお祭り感があった方がいいんじゃないかって、事務所の会長にアドバイスもらったんです。1年に1回のロッチ祭り。何日も前からお客さんが楽しみにしてくれて、やっと当日が迎えられたみたいなワクワク感を出していったらって言われて、そうだなと思ったんです」とコカド。

 元古着屋勤務のコカドはファンのために、今年1月から始めた裁縫を駆使して、手製のバッグ20個弱も用意した。「40を過ぎてから、熱中できる趣味を作りたくて、いろいろやっているんですよ。これまではゴルフ、料理をやりましたけど、今までで一番熱中できている。『インスタ(グラム)を見てますよ』と街でも言われるようになりましたね。洋服屋さんに行っても、服は作れるしなと思って、買わなくなったりしてますね」と話す。

 一方の中岡は野球を始めとするスポーツ観戦が趣味。こちらも実益を兼ねている。「ネタ作りは中岡くんの家でやりました。ちょうどロッテの佐々木朗希選手が2回目の完全試合をしかけた時(4月18日)で、そこから野球ネタ(「ホームラン」)をやろうと決めましたね」とコカド。

 ネタは中岡がヒントを出し、コカドが練り上げ、中岡のプレイヤーとしての才能を引き出す。ネタはどれも面白いが、筆者が好きなのは、「あさがお引越センター」だ。単身用の引っ越しパックにやってきたのは、中岡演じる使えないおばちゃん。いろんな口実を使って、まったく働かない。中岡得意のおばちゃんネタだ。

 コカドは「最初、口紅をつけたりしたほうがいいとちゃうか、とか言っていたんですけど、髪にカチューシャをつけているだけなのに、おばちゃんに見えてしまうのはさすが。でも、おばちゃんはできるけど、女子高生やおばあちゃんはできない。おじいちゃんもうまくいかない。理由はよくわからないけど、中岡君はやりにくそうにしている。結局、やりやすいようなネタを作るのが一番なんですよ」と話す。

コンビ結成から17年のロッチ【写真:ENCOUNT編集部】
コンビ結成から17年のロッチ【写真:ENCOUNT編集部】

コンビ結成から17年、けんかもないほどより距離感

 コンビは2005年にほかの仲間とともに沖縄旅行にでかけたのをきっかけに結成し、今年で17年。けんかもなく、いい距離感で続けられている。

 コカドは「組んだ時からてっぺん目指してやろうみたいなことも言ったこともない。だから、けんかにもならないのかもしれないですね。解散したコンビを見ていると、めちゃめちゃ頑張っていたり、毎日ネタ合わせしているコンビもいますね。そういう人たちはやりきったと思うんでしょうね」

 ライブ公演にちなみ、「すってんこ」した瞬間を聞くと、「そりゃ、分かりやすく2015年のキング・オブ・コントでしょうね」とコカド。5年ぶり3回目の決勝進出を果たした同大会ではファーストステージの「試着室」で最高点を叩き出しながらも、ツッコミのコカドがボケに回る「ボクサー」で低得点を記録してしまい、全体3位に沈んだ。これは「ロッチ現象」とも言われ、伝説になっている。

 コカドは「1本目のネタがあれだけ受けたということは、2本目のネタの選択が違った。甘かったな、と。ただ、あの時は、優勝しようよりも、こんなネタもできますよと見せたかった。5年ぐらいはどこかに後悔がありましたね。ダウンタウンの松本人志さんとか、さまぁ~ずさんが定期的に言ってくるから、いまだに忘れられないですよ」と言うと、中岡は「でも、ネタ選びはみんなが思っているほど簡単じゃないんですよ。あの時は候補が5、6本はあったですよ」と振り返る。

 そんな悔恨もあるが、今では違った感情が芽生えている。

「あれがあったことによって、いろんなプラスがあった。今考えたら、よかったなと思います。それに、僕らがミスしたことでほかの人たちが同じミスをしなくなったということもありますよね。こないだ、ロンブーの田村亮さんと『今年のキング・オブ・コントはレベルが高い』と話したんです。そうしたら、亮さんは『ロッチが出ている時は、俺らはそう思っていた』と言ってくれ、すごくうれしかった」と喜ぶ。

 キング・オブ・コントは審査員が代替わりし、後輩芸人がほとんどになったことから、出場しない考え。今後についてコカドは「あんま目標は立てないんですよ。沖縄旅行がきっかけでコンビを組んだから、沖縄で単独ライブができたら楽しそうですけどね。後は松本さん、さまぁ~ずさん、バナナマンさんにもう一回面白いって言ってもらいたいという気持ちはありますね」とリベンジを誓った。

□ロッチ(ろっち) 2005年にコカドケンタロウ(1978年8月8日、大阪府出身)と中岡創一(なかおか・そういち=1977年12月8日、奈良県出身)がコンビを結成。Eテレ「ロッチと子羊」(木曜日20:00~)、NHK-R「さくらひなたロッチの伸びしろラジオ」(月曜日20時05分~)、Eテレ「2355 BAR仮設」「0655 仮設小学生」、フジテレビ「世界のなんだコレ!?ミステリー」(水曜日19:00~)などに出演中。

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