デビュー約20年でつかんだ映画初主演 平山浩行「改めて気づいた続けることの大切さ」
ドラマ、映画で活躍する俳優の平山浩行(44)が、「シグナチャー ~日本を世界の銘醸地に~」(11月4日公開、柿崎ゆうじ監督)で映画初主演を果たした。2003年に俳優デビューし、約20年のキャリアでつかんだのは、実在のワイン醸造家の役。その思いとは――?
4日公開の映画「シグナチャー ~日本を世界の銘醸地に~」で初主演
ドラマ、映画で活躍する俳優の平山浩行(44)が、「シグナチャー ~日本を世界の銘醸地に~」(11月4日公開、柿崎ゆうじ監督)で映画初主演を果たした。2003年に俳優デビューし、約20年のキャリアでつかんだのは、実在のワイン醸造家の役。その思いとは――?(取材・文=平辻哲也)
本作は「現代日本のワインの父」とも言われる麻井宇介(=本名・浅井昭吾、1930?2002年)の半生を描いた映画「ウスケボーイズ」(2018年)の続編的な作品。その思いを受け継ぎ、「日本を世界の銘醸地」にするために奮闘する醸造家・安蔵光弘の半生を描く。平山はシャトー・メルシャンに入社した20代後半の青年期から麻井が病気で亡くなるまでの約20年の年月を演じきった。
「お話をいただいた時は安蔵さんのことは存じ上げなかったのですが、いろいろ調べさせていただき、素晴らしい方だなと思いました。実際、お会いした安蔵さんも非常に柔らかい気さくな方だったので、演じることが楽しみでした」と振り返る。
初主演ということにはうれしさよりも、演じることに興味があったという。存命の実在の人物を演じることには難しさはなかったのか。
「安蔵さんの若い頃の情報がなかなか入手しづらくて、どう演じたらいいのかなって思った時に監督から『あんまり気にしないで平山さんなりにやってください』と言われ、一気に楽になりました」。
撮影は昨年7、8月。ワイナリーのある山梨県でほぼ順撮りで行った。ワインの試飲シーンはすべて実際のワインを使った。出演者の中には顔が真っ赤になる者もいたが、平山は一切、顔に出なかったという。
「収穫時期ではなかったんですけども、青々としていて、すごくきれいだったんです。安蔵さんの事務所をお借りしての撮影だったので、何か分からないことがあれば、聞きに行きました。安蔵さんは『恥ずかしいな』とおっしゃっていましたが、安蔵さんの生きざま、ワインにかける情熱が撮影を通して伝わってきて、自然に表現できたところもあります。監督からは安蔵さんと似た部分があると言われ、それがすごくうれしかった。安蔵さんの気持ちみたいなものが入ってきたのかもしれないですが……」。
デビューから約20年。まさにワインのように熟成された演技を見せたが、その道のりは平坦ではなかった。
「明らかにドラマの方が多いと思うんですけど、演じることの難しさを感じたり、果たしてこの職業が自分に合っているのかと考えたこともありました。デビューしてすぐの頃は迷いもありましたね。ところが、続けたおかげでこの作品にも出会えたのかな。そう考えれば、いろいろと悩んだ意味があったのかな。続けることの方が大切だと改めて気づかされました」と語る。
若い頃はがむしゃらに役と向き合ってきたが、現在45歳。私生活では子どもも授かった。
「それまでは、子どもがいる役を演じても、いまいち分からないこともありましたが、子どもができ、さまざまな経験をしたことで分かってきたことも多いんです。40過ぎてからは、僕の生き方や人生を僕が選んでいく必要もあるんじゃないかと思っています。そんな中でこの作品に出会ったことがすごくうれしかった。新しいものに挑戦したいという気持ちだけは変わらない。常に勉強したり、研究することは大事だと思っています」今の趣味は12、3年続けているという陶芸。最近では、釣りにもはまっている、という。
□平山浩行(ひらやま・ひろゆき)本名:平山広行。1977年10月17日生まれ、岐阜県瑞穂市出身。2003年にドラマ「高原へいらっしゃい」(TBS)で俳優デビュー。近年の主な出演作品として映画では「本能寺ホテル」(17年)、「昼顔」(17年)、「ハルカの陶」(19年)など。ドラマでは「仮面ライダーセイバー」(EX/20年)、「寂しい丘で狩りをする」(TX/22年)、「パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~ season2」(Hulu/22年)などに出演。映画「天間荘の三姉妹」も公開中。
スタイリスト:久保コウヘイ
ヘアメイク:鎌田順子(JUNO)