闘莉王氏「日本人にしかできないことある」 新型コロナ問題でブラジルとの違い語る
昨季限りで現役を引退したサッカー元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏が8日、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」を開設した。生まれ故郷のブラジルで牧場を経営し、1000頭近くの肉牛を飼育するという実業家としての一面を持つ闘将は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、22年間を過ごした日本とブラジルの違いについて独自分析。「ブラジルはまだまだ未熟だ」と持論を展開している。
公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」を開設、故郷ブラジルから発信「日本はコントロールできる」
昨季限りで現役を引退したサッカー元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏が8日、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」を開設した。生まれ故郷のブラジルで牧場を経営し、1000頭近くの肉牛を飼育するという実業家としての一面を持つ闘将は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、22年間を過ごした日本とブラジルの違いについて独自分析。「ブラジルはまだまだ未熟だ」と持論を展開している。
渋谷幕張高に留学するため来日し、日本代表としてアテネ五輪に出場するために2003年に日本国籍を取得した闘莉王氏。昨年12月にスパイクを脱ぐまで、2006年のJリーグMVPを受賞し、2010年南アフリカワールドカップでは16強進出に貢献するなど、闘将として知られた。
常々、世界的に知られる日本社会の清潔さ、規律正しさを強調していた闘莉王氏は「闘莉王TV」の動画で、「コロナが日本に1000件で、ブラジルが1件だったとしてもブラジルの方が危ない。日本はコントロールできる。ブラジルはコントロールできない。日本人にしかできないことはいっぱいある。自分の国ですらすごく大変なのに……台風が来たり津波が来たり、自然(災害)にすごく悩まされている国ですから。さらに外国から(ウイルス問題が)来る。日本人に試練与えすぎ」と語っている。
動画が収録されたのは、ブラジルで南米の新型コロナ感染者第一号が出てから5日後のこと。当時は、これが南米で唯一のケースだったが、3月中旬から一気に感染が拡大した。ブラジル国内でも7日の段階で感染者1万3717人、死者667人(在ブラジル日本大使館公式サイトより)に。7日12時時点で感染者3906人、死者80人の日本よりも状況は悪化してしまったように見える。
16歳で渋谷幕張高校にサッカー留学で初来日してから、日本を拠点に生活してきた闘莉王氏。引退後、ブラジルに戻ってから3か月が経過した。「(ブラジルに戻って)違いが分かる。今に分かったことじゃないけど、ブラジルはまだまだ未熟すぎる。全て。青いし、遅い」と分析。そして、都市部の犯罪率も社会問題となっているブラジルと日本の社会状況も比較し、「(善人の割合が)日本が全員だとすれば、ブラジルは10、20%しかいない」と持論を展開している。
ブラジルの家族と過ごすために、生まれ故郷のサンパウロ州に戻り、現役時代から手がけていた牧場経営などの事業展開を継続している闘莉王。7月に開幕予定だった東京五輪で解説者として帰国する計画だったが、五輪とともに延期となった。その代わりに「闘莉王TV」を開設することで、日本の人たちとのコミュニケーションツールとするつもりだという。
日本サッカー界の闘将は、この先もブラジルから熱いメッセージを送ってくれそうだ。