WEAVER、来年2月に地元・神戸でラストライブ 思い出の地へ「ここ以外考えられなかった」

ボーカル&ピアノの杉本雄治(33)、ドラム&コーラスの河邉徹(34)、ベース&コーラスの奥野翔太(34)からなる3人組ピアノ・ロックバンド「WEAVER」が10月21日にラストアルバム「WEAVER」をリリースした。来年2月26日に地元・神戸国際会館こくさいホール(神戸市中央区)で開くライブを持って活動を休止する3人に、バンド名を付けた最新盤について、高校時代から共に走って来た18年間について。さらに今後について全3回に分けて聞く。最終回は「3人だから続けることが出来た」と感謝する互いについて、さらに思い出の場所で迎えるライブへの思いを聞いた。

来年2月に解散するWEAVER(左から)奥野翔太、杉本雄治、河邉徹【写真:山口比佐夫】
来年2月に解散するWEAVER(左から)奥野翔太、杉本雄治、河邉徹【写真:山口比佐夫】

来年2月26日神戸国際会館国際ホールでラストライブ

 ボーカル&ピアノの杉本雄治(33)、ドラム&コーラスの河邉徹(34)、ベース&コーラスの奥野翔太(34)からなる3人組ピアノ・ロックバンド「WEAVER」が10月21日にラストアルバム「WEAVER」をリリースした。来年2月26日に地元・神戸国際会館こくさいホール(神戸市中央区)で開くライブを持って活動を休止する3人に、バンド名を付けた最新盤について、高校時代から共に走って来た18年間について。さらに今後について全3回に分けて聞く。最終回は「3人だから続けることが出来た」と感謝する互いについて、さらに思い出の場所で迎えるライブへの思いを聞いた。(取材・文=西村綾乃)

 2004年に高校生の同級生で結成したWEAVER。09年10月21日にシングル「白昼夢」でプロアーティストの扉を開いた3人は、翌日に事務所の先輩バンド・flumpoolが行った初めての日本武道館公演でオープニングアクトを務めた。弾むような鍵盤の音、切ない歌声は幅広い世代を魅了。新しい挑戦を続けながら、楽曲制作とライブ活動を展開してきた。ファンの間に激震が走ったのは今年の4月。公式サイトでの解散報告だった。

杉本「新型コロナウィルスの影響を受けて、決まっていたツアーが中止になるなど、バンドとして思うように活動をすることが出来なかった時期に、それぞれが自分と向き合う時間がありました」

河邉「ライブを大切にしていた僕たちにとって、『次はできるのか』『あぁ、また出来なかった』という時間が繰り返されることは、とても苦しいことでした。先を見通すことが出来ないことは、精神的にとてもつらいことでした」

奥野「『解散』という具体的な話が出てきたのは昨年の12月。3人のトライアングルがうまくいかなくなり、このメンバーでは、バンドという形で音楽を作ることが出来ないと感じました。このまま続けるよりも、ちゃんと『解散しようって』」

 10月21日に最後のアルバム「WEAVER」をリリースした。収めた12曲には、4人組だったインディーズ時代、初めてピアノを導入した「66番目の汽車」の歌詞を“成長”させた「33番線」など、たくさんの思い出が詰めこまれている。

 結成から18年間。3人だから実現できたと感じることは――。

杉本「ファンと出会えたことです。2人の楽器の音、歌詞があって3人で音楽を奏でることが出来たから、支えてくれる人たちが広がっていきました。同じ高校に通って、18年間を過ごすなんて、そうそうないこと。3人が同じ神戸出身だから、(2017年の)神戸開港150年記念事業のテーマソング(『海のある街)アーティストも任せていただけたし、神戸国際会館で凱旋ライブを開くことも出来た。ひとりだったら、気が付くことが出来なかったことがいっぱいあったと思います』

河邉「3人それぞれ得意なこと、不得意なことが違うんです。音楽についてもふたりは僕よりも詳しくて得意なので、ふたりに聴いてもらって、力を借りてできることがたくさんありました。僕はおっくんのように振る舞えないし、スギのように真ん中で歌うことも出来ない。でも僕は写真を撮ることが好きなので、アルバムジャケットの写真を撮影させてもらったり、小説を書いたりして、WEAVERの世界を色々な形で届けることが出来たと思っています」

奥野「『流星コーリング』というアルバムでは、河邉が書き下ろした小説とWEAVERの音楽を融合させたり、ビルボードで行っているライブでは、WEAVERの楽曲を全曲ビルボード用にアコースティックにアレンジして演奏するなど、色々なことにチャレンジさせてもらえました。スギが言ったように、この3人で高校時代からずっと色んな景色や思い出を共有しています。色んな出身地から実力者が集まっているバンドも素敵だと思いますが、同じ高校で過ごした仲間同士が『音楽を奏でることが好きだ』という強い気持ちを持って集まって、ここまで過ごして来た。演奏など音楽の技術は伸ばすことができても、同じ経験をしてきたという思い出は、後からほしくても得られないもの。かけがえない存在と感じています」

「WEAVER LAST TOUR 2022『The Songs Are On Your Side』」と題した最後のツアーは、12月11日に宮城・仙台Rensaでスタート。年内は広島、福岡、愛知などをめぐっていく。年明け2月11日には、東京で初めてホールライブを行ったLINE CUBE SHIBUYAのステージに立つ。

杉本「いまも『解散しないで』という声をいただいています。僕らもWEAVERを大切に思っていて、だからこそいまの3人は一緒にいるべきではないと思いました。大きな決断ではあったのですが、3人が選ぼうとしている新しい人生で、何を作って行くのかを見守っていてほしい。僕らは支えてくれたみんなに輝きをもらって、ここまで活動を続けることが出来ました。あなたと出会えたから、いまここに立っている。最後のライブでは、一緒に思い出を作りたいです」

 解散ライブは、2023年2月26日。3人が高校時代を過ごした神戸市内にある、神戸国際会館こくさいホールで行う。

河邉「神戸国際会館は、高校の創立記念でも使った思い入れがある場所。最後のライブをどこにするか聞かれた時は、3人共ここ以外には考えられませんでした」

奥野「言葉って難しい。『何で曲を書いているの?』って聞かれたら、僕は『言葉にすることが難しいからだよ』って答えます。胸に生まれた気持ちを言葉にすることが難しいから、悲しみとかワクワクする思いを音楽にしているんです。今年、ファンクラブ会員向けのツアーをしたのですが、『音楽を鳴らしている時の自分は、うそ偽りがない』とライブをしている時に思いました。これから僕ら、それぞれ新しい道に進んでいきます。支えてくれたみんなもそれぞれの未来に進んでいく。その中に僕らの音楽が鳴っていてほしい。僕らが作った音楽がみんなの人生の中に、共にあり続けることを願って。最後の時を共に過ごしたいと思っています」

 聖地でのライブ後、それぞれの道を歩み始める3人。目の前にあるライブに集中をし、「得意なことを活かせる道に進みたい」と飛躍を誓っている。

■WEAVER(ウィーバー)高校の同級生同士だったボーカル&ピアノの杉本雄治、ドラム&コーラスの河邉徹、ベース&コーラスの奥野翔太で2004年に結成。07年に現行の3人で兵庫県神戸市を中心に活動。09年10月にシングル「白朝夢」でメジャーデビューした。バンド名には”音楽を紡ぐ人”という意味を込めている。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください