WEAVER、コロナ禍で止まったライブ活動 自己と向き合い決めた「解散」に至るまで

ボーカル&ピアノの杉本雄治(33)、ドラム&コーラスの河邉徹(34)、ベース&コーラスの奥野翔太(34)からなる3人組ピアノ・ロックバンド「WEAVER」が、10月21日にラストアルバム「WEAVER」をリリースした。来年2月26日に地元・神戸国際会館こくさいホール(神戸市中央区)で開くライブを持って解散する3人に、バンド名を付けた最新盤について、結成から共に走って来た18年間について。さらに今後に向けた思いなどを全3回に分けて聞く。初回は解散を決めた理由についてたずねた。

来年2月に解散するWEAVER(左から)奥野翔太、杉本雄治、河邉徹【撮影:山口比佐夫】
来年2月に解散するWEAVER(左から)奥野翔太、杉本雄治、河邉徹【撮影:山口比佐夫】

「みんなの未来に僕らの音楽があってほしい」 ラストアルバムに込めた思い

 ボーカル&ピアノの杉本雄治(33)、ドラム&コーラスの河邉徹(34)、ベース&コーラスの奥野翔太(34)からなる3人組ピアノ・ロックバンド「WEAVER」が、10月21日にラストアルバム「WEAVER」をリリースした。来年2月26日に地元・神戸国際会館こくさいホール(神戸市中央区)で開くライブを持って解散する3人に、バンド名を付けた最新盤について、結成から共に走って来た18年間について。さらに今後に向けた思いなどを全3回に分けて聞く。初回は解散を決めた理由についてたずねた。(取材・文=西村綾乃)

「大切なお知らせ」と記された発表があったのは、今年の4月。同じ高校に通う同級生同士で結成してから18年間。共に走り続けてきた3人はバンドとしての活動を止めることを決めた。

奥野「『解散』という具体的な話が出てきたのは昨年の12月でした。音楽が好きな者同士、15歳の頃にバンドを結成して。人として成長を続けてきた中で、3人のトライアングルがうまくいかなくなったと感じて。このメンバーでは、バンドという形で音楽を作ることが出来ないと感じました。3人で続けて行くより、1回ちゃんと解散した方が良いねと話し合いました」

杉本「新型コロナウィルスの影響を受けて、決まっていたツアーが中止になるなど、バンドとして思うように活動をすることが出来なかった時期に、それぞれが自分と向き合う時間があって。それぞれが自分の道を進むためには、解散がお互いにとって前向きな決断だねって」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年2月末から大規模イベントの中止、延期が相次いだ。同年4月に政府が出した緊急事態宣言では、コンサートや演劇を行う施設が休館するなどエンタテインメント業界は大きく揺らいだ。WEAVERにとって20年はデビュー10周年目の節目の年だった。

河邉「杉が言ったように、コロナ禍で活動を中止していた時期に、僕自身も自分の人生を見つめ直す時間がありました。WEAVERとしてライブをすることが出来なかった時期はとてもつらくて、このままライブがなくなってしまうのではないかという恐怖もありました。20年はオンラインでライブを行うなど新しい試みもありましたが、(対面での)ライブを大切にしていた僕たちにとって、『次はできるのか』『あぁ、また出来なかった』という時間はとても苦しくて、心が折れそうになりました。先を見通すことが出来ないことは、精神的にとてもつらいことでした」

 ライブ活動を再開できたのは2021年4月。東京と大阪の2か所で行ったステージでは、新しい時代の幕開けを知らせる「LIVE GAGA」を初披露。“どんな悲しみも、ライブが、音楽がすくいとる”、“どんな悲しみも過去に変えていく”と歌う力強い声は、下を向きがちな日々を支えてくれる。

河邉「東京と大阪で久しぶりに対面のライブをすることが出来た時は、僕自身も溜まっていたフラストレーションを発散することが出来ました。このツアーのため、いまの時代に必要だと思い書いたのが『LIVE GAGA』の歌詞でした」

杉本「僕らは日常の中に生まれる色々な感情を音楽に込めていますが、コロナ禍では音楽を楽しんで良いのか、ライブを続けて良いのか、自分たちがそれまで当たり前のように続けていたものへ疑問が生まれました。でも価値観が変わっても、やっぱり身体で音を感じられるライブって良いよね。音楽って良いよねという思いを込めたのが『LIVE GAGA』でした」

 音楽への愛があふれる「LIVE GAGA」では、新しい時代へ踏み出すために「♪暗闇を突き破れ!」と歌う。2023年には3人それぞれが、新しい扉を開いていく。10月21日にリリースする最後のアルバムには、「音楽を紡ぐ人」の意味を込めたバンド名を付けた。

奥野「これから、僕らはそれぞれ新しい道へ進んでいきます。ファンのみんなもそれぞれの未来に進んでいく。最後のアルバムには、みんなの未来の中に、その人生の中に、僕らが作った音楽が一緒にあってほしいという思いを込めました」

 デビュー5年を前に経験した半年間のイギリス留学など、迎えた転換期を共に乗り越えてきた。現状を打破するために、さらに飛躍するために。同じ思いを共有し続けた同志だからこそ、活動休止ではなく「解散」と終止符を打つことを決めた。

 WEAVERのインタビュー2回目では、デビュー時に使用した思い出があるスタジオで、長年親しくしているエンジニアスタッフらと臨んだ最後のアルバム「WEAVER」の制作について聞いていく。

■WEAVER(ウィーバー)高校の同級生同士だったボーカル&ピアノの杉本雄治、ドラム&コーラスの河邉徹、ベース&コーラスの奥野翔太で2004年に結成。07年に現行の3人で兵庫県神戸市を中心に活動。09年10月にシングル「白朝夢」でメジャーデビューした。バンド名には”音楽を紡ぐ人”という意味が込められている。

次のページへ (2/2) 【写真】ピアノ・ロックバンド「WEAVER」のソロカット
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