前田敦子の覚悟「パパの役割もやれたら」 3時間睡眠で動く原動力は3歳のまな息子

映画「もっと超越した所へ。」(公開中、山岸聖太監督)に主演した女優・前田敦子(31)は昨年、大手事務所を離れ、現在はフリーランス。ショートフィルムで監督に初挑戦するなど、ますます活動の場を広げている。一方、プライベートでは3歳の男児のママ。公私に多忙な前田の時間術とは?

前田敦子が仕事と育児を両立する毎日を語る【写真:舛元清香】
前田敦子が仕事と育児を両立する毎日を語る【写真:舛元清香】

公私に多忙な前田の“時間術”とは 主演映画「もっと超越した所へ。」がヒット中

 映画「もっと超越した所へ。」(公開中、山岸聖太監督)に主演した女優・前田敦子(31)は昨年、大手事務所を離れ、現在はフリーランス。ショートフィルムで監督に初挑戦するなど、ますます活動の場を広げている。一方、プライベートでは3歳の男児のママ。公私に多忙な前田の時間術とは?(取材・文=平辻哲也)

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「フリーランスになったことで、責任感はよりいっそう増しました。私とエージェントさんの2人でやっているのですが、ゼロになってスタートしているわけではないので、やっていることは何も変わらないかもしれません。演者さんの中にも、私がフリーだということを知らない人もいて、びっくりされますね」

 前田流の仕事術はやれること、やれないことを決めないことだという。

「『私はこうなんです』と決めてしまったら、フリーになった意味がないとは思います。世の中、やり方は年々、変わっていくもの。『女優は待つのも仕事』と言われますが、待ってばかりではしかたない。自分自身がブレなければ、何にチャレンジしてもいい。だから、新しいことにも挑戦できる。AKB48を卒業した子たちもいろんな方向で成功していますよね。本当に誇らしいですし、可能性はいっぱいあるんだなと思っています」

 その新たなチャレンジの一つが今年2月にWOWOWで放送されたショートフィルムの初監督作品でもある。「もっと超越した所へ。」の原作者で劇作家の根本宗子脚本による「理解される体力」で、柳英里紗&三浦貴大が主演した。

「プロの人たちが手伝ってくれたので、『私が監督しました』とは、ちょっと言いづらいです(笑)。でも、新しい経験をさせてもらったのは大きかったです。演出するのは楽しかったです。演じる側って、導いてくれないと、分からなくなることがあるんです。そういう演者側の気持ちが分かるので、ちゃんとしようと。根本さんの脚本をキッチリ表現したかったので、『一語一句完璧にやってほしい』とお願いしました」と振り返る。

 夏から秋にかけてはドラマの撮影、映画の公開キャンペーン、溝口健二の映画をミュージカル化した「夜の女たち」(演出・長塚圭史)もこなした。超越したいことは何か。

「このミュージカルは超越したいと思って演じました。救いようがない“夜の女”の役で、自分にとってはすごい新しく、難しかった。この映画『もっと超越した所へ。』もそうなんですけど、女性は強くあっていいと思うんですよ。そういう女性の姿を、お芝居を通して体現できる。すごく意味があるし、私の自信にもつながる気がします。今はジェンダーレスの世界になっていますし、女性たちが力を合わせて、パワーになるものを見せていきたい」

睡眠時間が取れないながらも「お母さんってみんなそう、普通の感覚みたいなものを学べている」と前向きに捉えている【写真:舛元清香】
睡眠時間が取れないながらも「お母さんってみんなそう、普通の感覚みたいなものを学べている」と前向きに捉えている【写真:舛元清香】

多忙な中で助けは母の存在「全部を完璧にやれているわけではありません」

 それにしても、多忙な毎日を送っているように見えるが、どうやりくりをしているのか。

「全部を完璧にやれているわけではありません。昔から母は一番の応援者ですが、母のおかげです。同じマンションに住んでいるので、家族がみんな一緒って感じ。息子を通して、よりいっそう家族が仲良くなれているし、全てがいい感じなんです。ストレスがかかるところが一切ない。母は孫とラブラブで、見ているこっちも幸せな気持ちになるんです。息子に感謝ですね」とほほ笑む。

 睡眠時間は取材当時、「1日3時間」というから、驚きだ。特に多忙だった時期かもしれないが、普段からショートスリーパーなのだという。

「朝は6時半には起きています。それから子どもを幼稚園に送って、仕事に行って夜まで。息子が早く寝てくれるようになったので、帰ると、だいたい寝ちゃっています。その時間に、セリフを覚えたり、整理する時間に使うと、深夜0時を過ぎている。お風呂に入ると、絶対に2、3時を過ぎているんですよね。でも、ちっちゃい子がいるお母さんってみんなそうじゃないですか。この仕事をしていると、絶対的に不定期・不規則なので、より普通の感覚みたいなものを学べているかなと思っています」

 そんな中でも息子との時間はしっかり作っている。仕事先や取材の場にも、子連れで現れることもある。

「子どもにとって、パパとママの役割は違うと思います。ただ、私は1人で責任感みたいなのを持っているタイプなので、ママの役割も、パパの役割もやれたらと思っていますね。この子にはいろんなことを経験させたいんです」。息子、そして、それを見守る母。家族の存在が前田を動かす原動力になっている。

□前田敦子(まえだ・あつこ)1991年7月10日、千葉県出身。AKB48 のメンバーとして活躍し、2012 年に卒業。女優として市川準監督の「あしたの私のつくり方」(07)で映画デビュー。11 年、映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」で初主演を飾る。近年の主な出演作に「くれなずめ」(21)、舞台NODA・MAP 第24 回公演「フェイクスピア」(21)、ミュージカル「夜の女たち」(22)など。今後は映画「そばかす」「そして僕は途方に暮れる」「あつい胸さわぎ」などが公開される予定。

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