【緊急提言】ミニシアターを潰してはいけない理由、欧米のような早急な救済を
映画界ではプロジェクト始動も、まだまだ足らない救済措置
そんなミニシアターに対して、映画界では救済の動きも進んでいる。「淵に立つ」の深田晃司監督、「寝ても覚めても」の濱口竜介監督らが中心となって、クラウドファンディングサイトの立ち上げを準備し、政府に対しては“#SaveTheCinema「ミニシアターを救え!」プロジェクト”と題して、ミニシアターへの緊急支援を求める署名活動を展開し、既に2万人近い署名を集めている。
このプロジェクトのページによれば、諸外国では新型コロナウイルスの影響を受けた芸術文化に対して支援を実施しているという。ドイツでは、中小企業や個人への支援として、個人の自営業者(従業員のいない自営業者)、個人のアーティスト、および最大5人の従業員を持つ中小企業は3か月間で最大9000ユーロ(約107万円)、従業員最大10人までの中小企業は3か月間で最大1万5000ユーロ(約180万円)の一括払いの助成金(返済不要)を受け取ることができるという。
アメリカでは、米国芸術基金が非営利の芸術団体を支援することを目的に、運営費に充当できる助成金7500万ドル(約80億円)を用意。イギリスでは月額2500ポンド(約33万円)を上限に、従業員の賃金の80%が支給され、加えてアーツ・カウンシル・イングランドが文化芸術に関与する個人や組織の保護を目的に、1億6000万ポンド(約213億円)の緊急資金を提供しているという実績がある。
一見、華やかに見える映画界だが、業界全体の規模は7746億円。業界別ランキングでは136業界の中で107位。政府はコロナの影響を受けている観光業界に対して、1兆円の支援を行う方針と言われているが、観光業界の規模は2兆649円。業界規模の約半分近い支援を行うことになる。映画界はそこまでの額にならずとも、一定程度の支援を行ってくれれば、乗り切れるはずだ。緊急事態宣言とともに、映画に携わる関係者が安心できる政府案が出ることを期待したい。