【RIZIN】クレベルの圧倒的な強さの秘密 開始22秒で牛久絢太郎がハマった“罠”とは
RIZINフェザー級タイトルマッチでは“鬼神”クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)が王者・牛久絢太郎(K-Clann)に2R一本勝ち。RIZIN参戦から6連勝で悲願のベルトを手にした。敗れた牛久は徹底したクレベル対策を行ってきたが、悔やんだシーンがあった。
ただ強いだけじゃない、冷静さも光ったクレベル
格闘技イベント「湘南美容クリニック presents RIZIN.39」(10月23日、マリンメッセ福岡)メインイベント、RIZIN MMAルール:5分×3R(66.0キロ)
RIZINフェザー級タイトルマッチでは“鬼神”クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)が王者・牛久絢太郎(K-Clann)に2R一本勝ち。RIZIN参戦から6連勝で悲願のベルトを手にした。敗れた牛久は徹底したクレベル対策を行ってきたが、悔やんだシーンがあった。
戦前はクレベル有利の見立ても、充実期にある牛久に期待を寄せる声も少なくはなかった。ここ4試合の好内容に加え、トレーナーの横田一則氏と二人三脚で万全のクレベル対策を積んできた。今の牛久なら――。膨らんだ期待は、“鬼神”の前に泡のように消えた。
牛久が悔やんだシーンは1Rの冒頭にあった。左ローから左ハイキックと続け、さらに左フックを空振りしたところで、クレベルに組み付かれテイクダウンされた。開始わずか22秒の出来事だった。
「やっちゃいけないことをやってしまった。1R目に左フックを出してしまった。あれで組まれてしまう。あれは絶対に出さない。ずっとやってきたんですが、あの距離で出してしまったのが、悔しいですね。相手もすごく冷静で、僕が左フックを出す距離に冷静に入ってきた。相手も狙っていた。僕がまんまとはまってしまった」
そう言って唇を噛んだ。このラウンドはバック狙いのクレベルにバックを取らせず、しのぎ切った。だが消耗させられた牛久は2R、首投げでグラウンドの展開に持ち込まれると三角絞めにタップするしかなかった。
他を圧倒する練習量を誇る牛久。クレベル対策の中で、フィニッシュの三角絞めも当然警戒していたはずだった。「そうですね……。ああなったらこうしなきゃいけないというのはあったんですが、僕自身も削られちゃってたのかなと思います。セットされたらダメですね。あそこで出来ることをやってはいたんですけど、そこは相手の得意なポジションですね」と力なく振り返った。
結局はクレベルが想定の上をいったということか。「すごく強かったです」と脱帽したが、実際に相対してみなければわからない“強さ”もあった。
普段は冷静な牛久が混乱させられた。なぜ「絶対に出してはいけない」と誓っていたはずの左フックを出したのか。「分かっていても出してしまう。冷静じゃなかった。出させられました。誘われてしまった」。そして「クレベル相手の緊張があった」とも振り返った。
“鬼神”を止められる男は果たして日本に存在するのか。クレベルの強さがまた一段と際立った福岡大会となった。