坂口征二氏の息子“荒鷲二世”征夫 「父のような優しい男」樋口和貞に“絆マッチ”を仕掛ける
「父・坂口征二を思い起こさせていたが……」と“荒鷲二世”征夫。DDT10月23日の東京・後楽園ホール大会で、挑戦者として対戦するKO-D無差別級王者・樋口和貞を「自分の父のように優しい男だったが、ベルトが人を変えた」と評した。
樋口和貞とは「誰よりも身近にいた」と自負
「父・坂口征二を思い起こさせていたが……」と“荒鷲二世”征夫。DDT10月23日の東京・後楽園ホール大会で、挑戦者として対戦するKO-D無差別級王者・樋口和貞を「自分の父のように優しい男だったが、ベルトが人を変えた」と評した。
樋口のデビュー以来「誰よりも身近にいた」と自負している。リングの上でもプライベートでも「一緒に、濃く、過ごしてきた」という征夫は「弟であり息子のような存在。すべて分かっている」とキッパリ。樋口の心、技、体のすべてを把握している。
実は樋口と接するたびに、父の顔が浮かんだという。アントニオ猪木さんと並び立てたのに、自ら一歩引き、新日本プロレスのことを最優先した父。「息子の自分も父ではなく猪木さんのファンになっていた。背中のタトゥーは『闘魂』。父には渋い顔をされた」と振り返る。
樋口がベルトを獲得するまでは、檄を飛ばしていた。「お前が前へ出ろ」と繰り返した。それが今年7月3日、第79代KO-D無差別級王座がかけられたKING OF DDTトーナメントで樋口は優勝。「未完の大器」と言われ続けた男がついにDDTの頂点に立った。
遠藤哲哉、竹下幸之介らを相手に防衛を重ね、日に日に王者らしくなっていく樋口だが、征夫は「すべてを知る俺を超えられるか」と壁になる覚悟だ。
「技」「体」では樋口に超えられた。だが「心」では負けるはずがない。樋口の心の動きは手に取るように分かる。「俺たちには絆がある。ヤツはそれを断ち切れるのか。俺に一瞬でも優しさを見せたら、そのほころびを見逃さないで、一気に勝負をつけてやる。何なら、ヤツの弱点を引き出すために、耳元でささやいてもいい」と、うそぶいく征夫である。
2015年に第54代KO-D無差別級王座に君臨した征夫。7年間、ベルトから遠ざかっており「DDTらしさを大切にするためにも、再びベルトを巻く」と力強い。「何でもあり、がDDT。今の最前線の闘いも素晴らしいが、もっとハチャメチャでもいい」とクールにDDTマットを見据えている。
征夫はまだ一度も獲得していないEXTREMEとUNIVERSALのタイトルも狙っている。DDTのベルトを総なめにして、グランドスラムの達成を目論んでいるのだ。
EXTREME王座は、デスマッチやハードコアに格闘技戦、さらには特殊ルール「Oバックのショーツを着用したら勝利」などが採用されるなど、多彩な形式でタイトルマッチが争われている。「俺ならどうするかな」とニコニコ。強面の征夫だが、DDTらしさにこだわる柔軟な一面もあるのだ。
最初はヨシヒコとの試合を「なんだ、あれは」と怒っていた父も、1年ほどしたら「ヨシヒコと闘えるのが超一流のレスラーだな」とポツリ。他のレスラーのことはまずは口にしない父が「鈴木みのるはスマートだ」とつぶやいた。実際、みのるもあらゆるスタイルのプロレスを実践している。
征夫が追い求めるDDTらしさを父も認めているのかも知れない。
樋口との絆が新しいステージに突入するのか。2人の集大成となる10・23決戦に、征夫は「闘う2人のストーリーから目を離せないプロレスをしたい」と固い決意で臨む。見逃してはいけない。