「ブサイクが余計ブサイクに」負けても華があるYA-MANの魅力 RISE代表「重要な人財」
イケメン撲滅計画、イケメン狩り。コミカルな公式ビジュアルにツイッターでは笑ってしまうような舌戦を繰り広げる。しかし、打って変わっていざ試合が始まってみるとそこにはYA-MANの生き様が詰まっていた。イケメンに負けたYA-MANを会場は笑うどころか感動していた。
“イケメン撲滅計画”を忘れるほどの名勝負
立ち技格闘技イベント「Cygames presents RISE WORLD SERIES 2022」(15日、東京・大田区総合体育館)セミファイナル、SuperFight! スーパーライト級(65キロ)、3分3R延長1R
YA-MAN(TARGET SHIBUYA)が白鳥大珠(TEAM TEPPEN)に0対3の判定負けを喫した。
イケメン撲滅計画、イケメン狩り。コミカルな公式ビジュアルにツイッターでは笑ってしまうような舌戦を繰り広げる。しかし、打って変わっていざ試合が始まってみるとそこにはYA-MANの生き様が詰まっていた。イケメンに負けたYA-MANを会場は笑うどころか感動していた。
9分間の死闘。1RからYA-MANはフルスイングをしていく。対する白鳥は身長差とリーチ差を生かしながら、コツコツと打撃を当てていった。
2Rにはバッティングもあり、流血。それでも前に出ていくYA-MANだったが、それを上手く合わせられ白鳥の膝がクリーンヒット。ダウンを喫する。当然のように立ち上がるとふらつきながらも打ち合いを挑んでいった。YA-MANの2つ目のエンジンがかかった瞬間だった。
3Rでも攻め続けた。YA-MANはリングの中で雄たけびをあげる。それに呼応するかのように会場からは拍手が起こった。ゴングが鳴るまでの9分間、動き続けた。
判定を待つ時間が訪れる。セコンドの力を借りないと立てないほどに力を出し切ったYA-MAN。“イケメン狩り”など、みな忘れていた。心を動かされた会場からは「青!」とさけぶ観客も多くいるほどの激闘だった。
「僕でもこうやって活躍できる舞台がある」
試合後にはマイクの機会もあった。敗者の弁であるが、話が始まると会場からはそれを待っていたかのように拍手が起こる。
「本当は勝ってマイクしたかったんですけれど、白鳥くん、イケメンで強くて金持っていて、どうやって勝てばいいですか、誰か教えてください。でも自分が見せたいものは見せられたかなと。ハイキックをもらって、1Rで左のアバラも折れて2Rに鼻も折れて、イケメンをボコボコにするつもりが、ブサイクが余計ブサイクになっちゃったよ」
自身が招待した児童養護施設の子どもたちとシングルマザーへの思いボロボロになった体で語る。
「僕が伝えたいことは同じ環境で、今これだけ活躍できている。『THE MATCH 2022』で勝ってこの先どうしようってモチベ―ションが低くなっていて。それまでは金を稼ごうというモチベ―ションでやっていたんですが、稼いでも変わらなくて。人のために生きたいと思ってこうやって招待できた。僕でもこうやって活躍できる舞台があるので、みなさん一人一人、輝ける舞台が絶対にあるので頑張ってください」
勝った白鳥には「なんであんなに気持ち強いんすかね。人気出る理由も分かった」とRISE・伊藤隆代表には「見ていても気持ちいいと思うんですよ、あれだけ出し切ると。毎回120%の力を出しているので。すごくスッキリしますし、RISEにとって重要な人財」と言わしめた。
俺の試合にハズレはねーから――。負けた試合でもあきらめない気持ちや立ち向かう姿、人間として大切な部分を教えてくれた。YA-MANの見せてくれた生き様は格闘技ファンの間で今後名試合として語り継がれるだろう。