藤波辰爾が語る故・アントニオ猪木さんとの思い出「試合が始まる前に鮮血だからね」
プロレスラーの藤波辰爾が15日、都内で行われた堀江ガンツ著「闘魂と王道 -昭和プロレスの16年戦争-」発売記念トークショー囲み取材に登場した。当日は著者の堀江とお笑いタレントのユリオカ超特Qも登壇し、1日に亡くなったアントニオ猪木さんとの思い出話に花を咲かせた。
「闘魂と王道 -昭和プロレスの16年戦争-」発売記念トークショー囲み取材に登場
プロレスラーの藤波辰爾が15日、都内で行われた堀江ガンツ著「闘魂と王道 -昭和プロレスの16年戦争-」発売記念トークショー囲み取材に登場した。当日は著者の堀江とお笑いタレントのユリオカ超特Qも登壇し、1日に亡くなったアントニオ猪木さんとの思い出話に花を咲かせた。
同書では、新日本プロレスと全日本プロレスの存亡をかけた1972~88年の“リアルファイト”を再検証。両団体が旗揚げした72年から、プロレスのゴールデンタイム放送の終わりとなった88年までに起きた出来事や名勝負を網羅した。猪木さんの独占インタビューも掲載されている。
堀江は「猪木さんの事実上最後のインタビューを亡くなる3か月前の6月下旬にやらせていただきました。体調の問題もあって、リモートという形で15分の予定だったのですが、人前やリングに上がると、猪木さんは変わりますから。たっぷり30分語っていただきました。猪木さんの最後のメッセージをお届けできたら」と同書をアピールした。
登壇した藤波は70年に日本プロレスに入門。猪木さんの付き人となり、1971年にデビューした。MCから「猪木さんの最初に出会われたとき印象はいかがでしたか」と質問すると、藤浪は「僕は16歳でしたからね。とにかくテレビで(ジャイアント)馬場さんと猪木さんのタッグでファンになってね。まず、リング上のすごさとそれがまた目の前にいるわけだからね。迫力と威圧感がすごかったね。それがトラウマになってね。亡くなる前に猪木さんに会っても、初心に戻ってしまって会話ができないの」と振り返り、笑顔を見せた。
また、藤波は「いっぱい殴られたな。巡業先での練習が猪木さんが見ると中だるみしているように見えたんだろうね。そのとき、僕は選手の輪から外れて自分なりのルーティーンの練習をやってたの。運の悪いことにちょうど一番、目に入るところにいて、猪木さんに『こっち来い』と言われて、パッカーンってやられたの。試合が始まる前に鮮血だからね」と思い出話を披露した。
猪木さんの告別式にも参列した藤波は「最後の猪木さんのお骨上げまで参加してもらった。そんな場面に遭遇しようとは思ってなかったね。どっかで自分の中で気持ちを切り替えなければいけないんだけど」と声を詰まらせつつ、「自分の中では受け入れられない。言葉にならないんだよね」と心境を明かした。
報道陣から「猪木さんはどんなプロレスラーでしたか」と質問が上がると、藤波は「巨大な岩だよね。正面からぶつかっても跳ね返される。でも、どこかで全てを受けとめてくれる。我々の防波堤になってくれた」と語り、「猪木さんから教わったことは」という質問には「一歩踏み出す。やってみないとわからないだろということだね。今を大事にしろということだね」と答えていた。