清原果耶、独りよがりだった過去「もっと頑固だった」 意識を変えさせたマネジャーの言葉

女優の清原果耶(20)が10月21日から全国公開される映画「線は、僕を描く」で、水墨画に打ち込む画家・篠田千瑛を演じている。メガホンを取った小泉徳宏監督作への出演は、映画「ちはやふる 結び」以来4年ぶりのこと。「監督が思うヒロイン像を作ることが難しかった」と語る役作りや、主演の横浜流星(26)、共演した三浦友和(70)らとの秘話。さらに20歳になっての思いを聞いた。

最新映画「線は、僕を描く」で、水墨画に打ち込む画家を演じた清原果耶【撮影:山口比佐夫】
最新映画「線は、僕を描く」で、水墨画に打ち込む画家を演じた清原果耶【撮影:山口比佐夫】

芽生えた意識「人としても役者としても柔軟に生きたい」

 女優の清原果耶(20)が10月21日から全国公開される映画「線は、僕を描く」で、水墨画に打ち込む画家・篠田千瑛を演じている。メガホンを取った小泉徳宏監督作への出演は、映画「ちはやふる 結び」以来4年ぶりのこと。「監督が思うヒロイン像を作ることが難しかった」と語る役作りや、主演の横浜流星(26)、共演した三浦友和(70)らとの秘話。さらに20歳になっての思いを聞いた。(取材・文=西村綾乃)

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 映画は水墨画家としても活動する砥上裕將の同名小説が原作。今作で初めて水墨画に挑戦した清原は、撮影前に水墨画家の小林東雲先生のもとに出向き、所作などを学んだという。

「筆に墨を付ける動きなど、普段の生活の中でほとんどすることがない動きなので、画仙紙を前にしたときは、『失敗したらどうしよう』と不安がありました。小林先生に『思うままに描いてごらん』と背中を押されてからは、悩みを払しょくできたように感じています。千瑛が暮らし、水墨画に打ち込んでいる祖父の家は、昔ならではの日本家屋ですが、千瑛の部屋の中は、とても前衛的。伝統を守りながらも、自分の世界を追求したいという女性の姿を感じ、表現できたらと考えていました」

 2018年に公開された映画「ちはやふる 結び」以来となる小泉組への参加。小泉監督からはクランクイン前も、撮影中も「千瑛はこの作品のヒロイン」ということを繰り返し言われていたと語る。

「千瑛にどのように寄り添えば良いのか。最初は分からずにいました。小泉監督に『ヒロイン』と言われ浮かんだのは、映画の前に撮影をしていたNHK連続テレビ小説の主人公・永浦百音でした。気象予報士を目指すヒロインを演じたのですが、『百音で良いのかな。ちょっと違うかな』と自問自答しました。テイクを重ねる中で、『OK』をいただけるようになりましたが、いまも正解は分からないなというのが本音です」

 ある出来事から喪失感を持ち生きている青山霜介は横浜が務めた。横浜とは19年公開の映画「愛唄 -約束のナクヒト-」で共演。プライベートでも交流があり、「同志」と信頼を寄せる。

「『愛唄』や『ちはやふる 結び』を撮影していたときは、まだ学生でした。人間としても役者としても経験が浅かった時期を知ってくれている。成長をし続けている姿を分かってくれている。小泉監督や流星くんの存在はとても励みになります。またご一緒する機会があった時に、もっと幅のある演技をお見せできるように頑張りたいと思います」

 映画では水墨画の巨匠・篠田湖山の孫を演じた。祖父でありながら師匠でもある三浦友和(70)とはどのような距離感を保つかについて考えたという。

「三浦さんと共演したのは初めてでした。休憩中に隣に座りに行かせていただいたことがあって、何を話そうかなと思っていたら、三浦さんから『小泉監督と一緒にやったことがあるみたいだけど、どうだった?』と話しかけて下さって。過去にどんな作品に出演したのかなど、知ってくださっていたことがうれしかったです。私は、現場でうまくいかないときの対処法について聞いたのですが、『そんな日もあるよ』と励ましてくれて。懐が大きい方だなと感激しました」

 同作では、湖山(三浦)の一番弟子で、思い悩む千瑛や霜介を温かく見守る西濱湖峰を江口洋介が演じている。

「江口さんとも初共演でした。男気があふれる太陽のような方で、現場を見守りながら鼓舞してくださって。“兄貴”という存在でした。江口さんが多趣味で、コーヒーに詳しかったことから、『自分でドリップをして飲んでみたい』と休憩中に話したのですが、次の撮影のときに『これ、使いやすいから、良かったら』と次の撮影のときに、1人用のドリップ機をプレゼントしてくれて、優しさに感動しました」

 江口が1990年代に、6人兄弟の長男役を務めたドラマ「ひとつ屋根の下」を思わせる男前な姿に魅了されたという清原。映画の中でも生きる意味を見いだせない横浜に、江口がかけるひと言が胸に響いた。

「『人は何かになるのではなくて、何かになって行く』という言葉は真意をついていると、ハッとしました。どうあがいてもどうしようもないことが人生の中にはあるけれど、うまくいくのか、停滞してなじむのか分からないけれど、すごくしっくりきた言葉でした」

 2014年に現在所属する事務所が開いたオーディションでグランプリを獲得。翌年に女優デビューした。ヒロインを務めた映画「護られなかった者たちへ」で見せた演技が、「第45回日本アカデミー賞」の最優秀助演女優賞を受賞の栄誉につながった。作品ごとに異なる魅力を放ち続けている清原は、今年1月に20歳の誕生日を迎えた。

「いろいろな現場を経験させていただくことができていることに感謝しています。『20歳になって何か変わった?』と聞かれることが増え、浮かんだのは『昔はもっと頑固だった』ということ。変わったきっかけは、2年前に『いろいろな人の言葉をきちんと聞きながら、お仕事をした方が楽しいんじゃない』というマネジャーの言葉でした。当時の私は、よく言えば真っすぐだけど、悪く言えば独りよがり。変わりたいなと、現場を見渡したとき、『温かいと感じる人は、柔軟性がある人』だと気が付いたんです。人としても役者としても柔軟に生きたいです」

 女優として活動をして7年目。いまでも心にとめている共演者がいる。

「初めて演技をしたNHK連続テレビ小説『あさが来た』(15年)で、宮崎あおいさんのお芝居を間近で目にして、感動ってこういうことだと知りました。朝ドラ以降、宮崎さんにお会いできていないのですが、納得がいく演技ができるよう努力し続けたいです」

□清原果耶(きよはら・かや)2002年1月30日、大阪府生まれ。「アミューズオーディションフェス2014」でグランプリを受賞。翌年9月から放送されたNHK連続テレビ小説「あさが来た」で女優デビューを果たした。ファッション誌「nicola」(新潮社)の専属モデルも務めている。21年にはNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」に主演。同年に公開されヒロインを務めた映画「護られなかった者たちへ」で「第45回日本アカデミー賞」の最優秀助演女優賞を受賞した。10月16日から放送中のドラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」(日本テレビ系)に主演している。

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