SKE48須田亜香里が赤裸々に語ったアイドル人生 総選挙は「今はなくてもいい」
名古屋・栄を拠点に活動するアイドルグループ「SKE48」の須田亜香里(30)が、30thシングル「絶対インスピレーション」の活動をもってアイドルを卒業する。13年間ノースキャンダルでアイドル人生をまっとうした須田は、なぜ純粋な愛を貫き、たくさんの人に愛されたのか――。ラストシングルに込めた思い、後輩メンバーに伝えたいこと、そして人生を変えた選抜総選挙について赤裸々に語ってもらった。
アイドル卒業が迫り「SKE48は不思議なくらい素敵な場所」
名古屋・栄を拠点に活動するアイドルグループ「SKE48」の須田亜香里(30)が、30thシングル「絶対インスピレーション」の活動をもってアイドルを卒業する。13年間ノースキャンダルでアイドル人生をまっとうした須田は、なぜ純粋な愛を貫き、たくさんの人に愛されたのか――。ラストシングルに込めた思い、後輩メンバーに伝えたいこと、そして人生を変えた選抜総選挙について赤裸々に語ってもらった。(取材・構成=イシイヒデキ)
――卒業を控える現在の心境は。
「最後のシングル、最後のミュージックビデオ(MV)、最後の生写真撮影、『最後の』と付くだけで、今まで普通だった活動が急に特別に思えたことが面白く感じました。いろんな最後を感じながら過ごせる時間があるというのは恵まれていることだと感じて、最後の最後まで全部愛おしいと思いながら、一つ一つお仕事させていただいています」
――卒業発表してからの活動では、どんなことを感じましたか。
「年齢が離れているメンバーも多いのですが、17歳差の子と話していても対等に楽しいし、同じグループで活動しているだけで年齢の壁を感じることはありませんでした。同じことで笑って、同じ歌を歌って、同じステージに立ってライブや公演を楽しんで、SKE48は不思議なくらい素敵な場所だとあらためて感じました」
――グループの中では先輩という立ち位置で、2014年からチームEのリーダーを務めています。先輩メンバー、リーダーとして気をつけてきたことはありますか。
「仕事をしやすい環境を作れたらと意識していましたが、私はみんなとつるむタイプではありませんでした。プライベートでもずっと一緒にいるみたいな、友達のような関係にはならなかったので、いい仕事仲間というメンバーばかりでしたね。仲良くなりすぎると言いたいことを飲み込まなければならない場面もあると思うんです。私はそういうタイプではなく、ここはちゃんとやろうと普通に言ってしまうタイプなんです。みんなと仲良くすることで関係値を作って居場所を作る子もいますし、私みたいに淡々とやるタイプもいますし、役割分担として両方いたほうがよいと思っています」
――卒業を控える今、後輩たちに伝えたことはありますか。
「私が辞めるだけで、なぜか不安になっている子がいたのが不思議で、みんなにはもっと自信を持ってもらいたいですね。なので卒業を決めてからは、今まで以上にメンバーのいいところを見つけて伝えるささやかな活動をしています」
――30枚目という節目のシングルに参加して卒業することになりました。
「卒業発表が5月末で、その時点では新曲をリリースすることは決まっていなかったので、選抜メンバーとして参加できるというだけでうれしかったです。卒業を決めた私も参加していいんだって。選抜に入りたいと思っている子がたくさんいることも、選抜に入れない悔しさも分かっているからこそ、大事な1枠をいただける重みを感じました」
――須田さんにとってのラストシングル「絶対インスピレーション」は、どんな曲なのでしょうか。
「これまでもSKE48には、男の子目線の恋愛ソングはあったのですが、音楽がかかるとまったく違った世界観になる楽曲です。アップテンポな曲に歌詞が詰め込まれているのですごく疾走感がある。今までとは違うSKE48をガッツリ感じていただける曲に仕上がりました」
――9期生の青海ひな乃さんが初めてセンターを務めました。須田さんから見た青海さんは、どんなメンバーなのでしょうか。
「ひな乃は今までのSKE48にいなかったタイプで、後輩だけど頼りがいがあって、でもちょっとおバカさんでほっとけないところもあります(笑)。パフォーマンスや活動に対する熱は強い子で体育会系というか、SKE48らしさもありつつ、そこに周りをまとめるリーダーシップもある。ガンガン引っ張っていくのではなく、みんなと楽しく一体感を出しながら引っ張っていくタイプですね」
――青海さんがセンターになって、SKE48にどんな変化をもたらすのか楽しみですね。
「私がダンスの振りを間違えたら指摘してくれますし、それくらい先輩に対してもフランクなので、こっちも気を遣わず話すことができます。見た目はイケイケというか、オシャレで垢抜けている感じの雰囲気の子は今まで後輩にはいなかったので、本当に面白い子がセンターになってくれてうれしく思っています。キャラクターが面白いだけではなく、熱意もある子なので大好きな後輩です」
アイドルになって「人とのつながりを楽しめるようになりました」
――30thシングルには須田さんのソロ曲「私の歩き方」も収録されました。
「初めて歌詞を読んだときは、秋元康先生は私の心をなんでも知ってくれているんだと感じました。一言一言が自分の中に答えがあることばかりで、特にサビの終わりが気に入っています。『ありがとう』はファンのみなさんに伝えたい、『頑張るよ』は家族に伝えたい、伝えたい相手が思い浮かぶ歌詞になっていてグッときました」
――アイドル人生で出会ったすべての人に届けたい歌詞ですね。
「アイドル人生だけではなく、今までの人生で出会ったすべての人に届けたい曲です。MVではダンスで気持ちを表現することを楽しませていただきました。アイドルになる前の13年間クラシックバレエをやっていて、SKE48として活動した期間も同じくらい。どちらの経験も生かせることで何かを表現したいと考えたとき、踊りで感謝を伝えたいと思い、すてきなMVを作っていただきました」
――アイドルとして、SKE48として活動して、どのように人生が変わりましたか。
「人とのつながりを楽しめるようになりました。高校生の頃は、1人で生きていけると思っていて、出会いを大事にしていないところがあったんです。学生の頃は友達にお手紙を書くことが苦手だったのですが、アイドルになってからはファンの方からたくさんファンレターをいただいて幸せを感じました。純粋に応援してくださるみなさんの思いに触れて、もっと自分も純粋に人と向き合って大切な関係を築きたいと思いました。それがSKE48に入って一番よかったことです」
――ファンのみなさんと大切な関係を築き、総選挙で輝かしい結果を残しました。総選挙を振り返ると、どんなことを感じますか。
「総選挙がなかったら、心が折れてしまい、もっと早く辞めていたのではないかと思います。プレッシャーもかかるイベントでしたが、1年に1度、目に見える結果が出て、それがきっかけでポジションがよくなったり、AKB48の選抜にも呼んでいただけるようにもなりました。グループの中での居場所だけではなく、芸能界での居場所もファンのみなさんの投票がきっかけでたくさんいただきました。みなさんがくれた結果によって開けた個性もあるので、総選挙があったから今も芸能活動ができているのだと思います。でも、今はなくてもいいのかなと思うこともあります」
――それはなぜでしょうか。
「自分はたまたまいい結果をいただいたタイミングで終わることができましたが、その結果もファンのみなさんがすごく頑張ってくれていた部分があることも知っています。なので、もし次の年も開催されていたとしたら私は参加しないと決めていました。今はそれぞれが自分らしさを出そうと頑張りつつ、チームとして一体になろうとしている雰囲気があります。なので、今はなくてもいいのかなと思いました」
――恋愛禁止の掟を守り、最後の最後まで純粋なアイドル道を突き進んできた須田さんにとってアイドルとは。
「純粋な愛が試される場所です。私のアイドル人生は愛情だけで成り立っていたと思っています。ファンのみなさんは、ステージ上のアイドル須田亜香里を見ることはできても、例えば家の中の私までは見ることはできないじゃないですか。みなさんが思っているほどすてきな人間ではないかもしれないけど、ステージの上にいる私を全力で愛してくれて、純粋に応援してくださる姿を見てきました。だからこそ、私も純粋にその愛に応えたいと思い、みなさんの笑顔を見たくて活動を続けてきたので、愛だけで成り立っていたアイドル人生だと感じています」
――最後に、ファンを全力で愛し、愛された須田さんから、この記事を読んでいるみなさんへメッセージをお願いします。
「アイドルじゃなくなっても好きでいていただけるように精いっぱい頑張りますので、ずっとずっと好きでいてください」
□須田亜香里(すだ・あかり)1991年10月31日、愛知県出身。09年、SKE48第3期生オーディションに合格。18年の「AKB48 53rdシングル世界選抜総選挙」で第2位となり、20年リリースの26thシングル「ソーユートコあるよね?」ではセンターを務めた。ニックネームは「あかりん」。11月に開催されるSKE48劇場での卒業公演をもってグループを卒業する。