THE ALFEE、秋ツアーで最多ライブ開催本数を更新中 最新曲は「コロナ禍の思い込めた」
日本のバンドで最多のライブ開催本数記録を持つTHE ALFEEが、12月29日に大阪・大阪城ホールで行う今年最後のライブに向けて、現在、秋ツアーの真っ最中だ。ツアー直前に71枚目のシングルとしてリリースした「星空のCeremony/Circle of Seasons」はオリコンの週間ランキング(10月17日付)で2位をマーク。輝き続ける桜井賢(67)、坂崎幸之助(68)、高見沢俊彦(68)に最新曲について、さらに来年迎える結成50年について聞いた。
天才、文才、盆栽が補い合い活動を継続 23年に来る50周年は「ファンに恩返しする時間に」
日本のバンドで最多のライブ開催本数記録を持つTHE ALFEEが、12月29日に大阪・大阪城ホールで行う今年最後のライブに向けて、現在、秋ツアーの真っ最中だ。ツアー直前に71枚目のシングルとしてリリースした「星空のCeremony/Circle of Seasons」はオリコンの週間ランキング(10月17日付)で2位をマーク。輝き続ける桜井賢(67)、坂崎幸之助(68)、高見沢俊彦(68)に最新曲について、さらに来年迎える結成50年について聞いた。(取材・文=西村綾乃)
1973年に明治学院大学キャンパスで出会ったメンバーで結成したTHE ALFEE。74年にシングル「夏しぐれ」でデビューした3人は、来年結成50年の節目を迎える。
坂崎「僕らは20歳でデビューして、後2年で古希。この歳までバンドをやるなんて思っていなかったよな」
高見沢「本当にそうだよね。しかも活動停止もしていないので、真の50周年だしね」
楽曲を創作し、ライブで全国を巡る。精力的に活動を続けていた3人の前に立ちふさがったのは、新型コロナウイルスだった。
高見沢「コロナ禍で4ツアーもなくなった2年間は正直不安でしたね。無観客ライブも行いましたが、ライブという手応えを感じるにほど遠かった」
表舞台での活動を控えていた時期は、楽曲制作に打ち込んだ。2月に2年8か月ぶりに発売したアルバム「天地創造」には、コロナ禍のいまだからこそ届けたいという思いを込めた。同盤を引っ下げ、春には「Genesis of New World 天地創造」ツアー、7月には夏のイベント「Genesis of New World 夏の天地造像」を開催。終了時に、コンサート通算本数2813本を達成した。同記録は日本のバンドでは最多だ。
高見沢「演奏をしている目の前にオーディエンスがいて、拍手をしたり、笑顔を見せてくれる。その反応がバンドのエネルギーになっているんだなとあらためて実感しました」
坂崎「そういったことを2800回以上も繰り返していたのかと思うと感慨深いですね。有観客にはなりましたが、まだお客さんが声を出したり、コロナ禍前のような形には戻っていないので、3000回を迎えるときには状況が変わっていることを望みます」
10月5日にリリースしたばかりのダブルAサイドシングル「星空のCeremony/Circle of Seasons」は、一音でTHE ALFEEの楽曲と分かる力強い2曲だ。華やかなギターが印象的な「星空のCeremony」のイントロは、ライブ会場に広がる照明が目に浮かんだ。前に前に背中を鼓舞してくれるような温もりあるフォークロックに乗せ、美しいハーモニーが広がる「Circle of Seasons」には、コロナ禍の先への思いが込められた。
高見沢「『星空のCeremony』はTHE ALFEEの要となるハードロック。一方の『Circle of Seasons』は対極のサウンドをと思い、エレキギターを使わずに『Dチューニング』しばりで制作しました」
坂崎「『Dチューニング』しばりといいながら曲の中にD♭が出てくる変態ソングです。今回は久々にレコーディングで高見沢もアコースティックギターを弾いているので、2人のアコギも聴きどころでしょう」
高見沢「この曲には、コロナ禍を終えた世界を想定してみました。『Anyway,never mind』という始まりの歌詞からそうですが、閉塞感がある現実世界をそれぞれの力で乗り越えて行こうと。僕らも後2年で古希ですが、まだまだ3人は変わらず走り続けますという意志もこの曲に込めました」
夏のイベントで、ファンが送ってくれた拍手が曲を生む力になった。何度季節が巡っても、その繰り返し続けて行きたいと願っている。桜井がリードボーカルを務める「星空のCeremony」は、84年のヒット曲「星空のディスタンス」に登場する“カシオペア”から始まる歌詞が印象的だ。
高見沢「『星空のディスタンス』は、遠距離恋愛をテーマにした曲でした。インターネット社会になったいまは、世界中どこにいても顔を見ることができてしまうので、会えないつらさというのは減ったかもしれないね」
坂崎「待ち合わせの相手が来ないから、駅で2時間待ったなんて今では考えられない。昔は改札口には『伝言板』があって、相手が遅れてるときは、『先に行きます』とか書いたりしていたけど。今はGPS で大体どの辺にいるか分かるからね」
高見沢「デジタルのツールはどんどん便利になるけれど、人間の感情は便利になっていかないから。男女の心の機微は、84年も2022年も……。それこそ平安の頃から変わっていないと思うんだよね」
桜井賢「携帯電話の進歩で進んでいく物事のスピードに、感情が追い付かないということはあるだろうね」
坂崎「昔は約束をした日を待つことができたけど、いまはLINEとかでメッセージを送った後、『既読』が付いた瞬間に、返事が来ないとちょっとブルーになったり。勝手に悪いように考えたりもしちゃうからね」
500マイル離れていても、燃え上がれ! と歌った84年。22年はすれ違う時間に、生まれた未来への不安がつづられている。変わらないのは、桜井の力強い歌い声だ。
桜井「歌いながら、『星空のディスタンス』のことも頭に浮かんでいたね。オレの良さは、高見沢がよく知っています。オレの良さが出るような曲を作ってくれるので、高見沢プロデューサーが言うままに歌いました」
桜井は「天才」と2人が称える 「練習をしなくても声が出る」
今回、高見沢は「桜井の声の艶っぽさ」が際立つように意識したのだという。歌声を響かせる桜井だが、実は歌うことがあまり好きでないのだそう。そんな桜井を高見沢と坂崎は「天才」と称えた。
高見沢「僕と坂崎はレギュラー番組を持っているから、コロナ禍でもなんとなくそれぞれの様子が分かるのですが、桜井に関しては消息不明でした。持っている携帯電話はいつもオフにしているので、自宅にあるファクスに用件を送るしかなくて」
坂崎「何をしているんだろうねって」
桜井「外出を制限されていましたからね。毎日だいたい、午後4時ごろから飲み始めて……」
坂崎「ボイストレーニングをするとか、ベースを練習するとかやることはいっぱいあると思うのですが、いずれもすることもなく。だってね。昔『オレ、歌うことがキライだって。音楽もそんなに好きじゃない』と言っていたときもあったよね。練習をしなくても声が出る桜井は『天才』なんです」
高見沢「そう。桜井は天才だから、それが許されるんです」
桜井「え。だって、一人で歌うことなんて考えられないんだよね。バンドで『ハモりたい』と思って始めたのが俺の音楽の原点だからさ…」
高見沢、坂崎は「天才」と口をそろえるが、桜井は今夏のイベントである“弱点”を自覚したという。
桜井「家ではベースをほとんど弾いていなかったので、チョッパーを3~4回やったら1日目で血豆が出来てしまって。困りました」
坂崎「それでもステージをこなせる桜井は、天才なんです。高見沢は、曲を書いて詞も書いて、小説まで書いている文才トシボン」
高見沢「天才と文才?」
坂崎「天才マサボンの桜井に、文才トシボンの高見沢だよ!」
高見沢「そして、その間に盆栽サカボンがいる」
坂崎「凡才じゃなくて盆栽?」
高見沢「昔、そんな頭してたじゃん(笑)」
桜井「自分にないものを、ほかの2人が持っていて補い合えるのがTHE ALFEEなんです」
開催中のツアー「THE ALFEE 2022 Autumn Tour Genesis of New World 秋の天地創造」は、12月23・24日は東京・日本武道館、29日に大阪・大阪城ホールで「THE ALFEE 2022 Winter Genesis of New World Final 冬の天地創造」と題した最終公演へと続いていく。23年の結成50年。24年のデビュー50年については年明けから構想を練るのだという。「待っていてくれたファンに恩返しをする時間にしたい」と願っている。
■THE ALFEE(ジ・アルフィー) 明治学院大学キャンパスで出会った桜井賢(ボーカル・ベース)、坂崎幸之助 (ボーカル・アコースティックギター・パーカッション)、高見沢俊彦 (ボーカル・エレクトリックギター)の3人で1973年に結成。74年8月25日にシングル「夏しぐれ」でデビューした。1983年にリリースしたシングル「メリーアン」の大ヒットで全国区に。87年から2018年まで、関西テレビ「大阪国際女子マラソン」のテーマソングを31曲担当したことは「同一国際スポーツ大会のテレビ放送における同一アーティストによる最多テーマソング数」として、2018年12月にギネス世界記録に認定された。22年7月の夏のイベントを終えた時点で、2800回を超えたライブ通算本数は日本のバンドとして最多。NHK-FM「THE ALFEE 終わらない夢」(毎週水曜、午後11時)など数多くのレギュラー番組を持ち、第一線で活躍を続けている。