有村昆“失敗した父”が示す覚悟 息子に見せる生きざま「いつか経歴を知ったときに」

2021年5月の写真週刊誌による報道で活動を自粛していた有村昆。約3か月の謹慎期間後は事件前とは180度違うキャラクターで芸能界をサバイブしている。あれから約1年と5か月。仕事復帰の実感や手応え、自粛期間、息子の存在について本人を直撃した。

復帰の実感について語った有村昆【写真:ENCOUNT編集部】
復帰の実感について語った有村昆【写真:ENCOUNT編集部】

報道前は「無理をしていた部分も」

 2021年5月の写真週刊誌による報道で活動を自粛していた有村昆。約3か月の謹慎期間後は事件前とは180度違うキャラクターで芸能界をサバイブしている。あれから約1年と5か月。仕事復帰の実感や手応え、自粛期間、息子の存在について本人を直撃した。(取材・文=島田将斗)

 芸能イベントで不倫をいじられても嫌な顔ひとつしない。地上波では深夜番組に多く出演、今までとは全く違う仕事の数々。「ひとつひとつの仕事を全力に」というのが今の有村の軸にあった。

「何でも答えますからね。僕のことで笑っていただけるならどうぞという感じです。僕自身のことですから」

 報道後は仕事がゼロになった。ダメージは大きかったが、その一方で有村の中にあった“モヤモヤ”がなくなった。

「(報道前は)根本的に僕という人間が周りから良く思われ過ぎていたと思います。無理しているというか、“良い人”に僕も寄せていっていた部分もあるんです」

 怪我の功名とでもいうのだろうか。やってしまったことは悪いと前置きしたうえで「等身大で僕はクズです」と言えるようになった。

「映画の仕事とは別にいじられる仕事も多い。性に関するクイズを出題するなんて今までしたことがなかった。経験したことのない仕事を新鮮な気持ちでやっています。芸人さんにいじっていただいたり、ニーズに答えていく。それが今の僕です」

息子も有村昆の原動力になっているという【写真:ENCOUNT編集部】
息子も有村昆の原動力になっているという【写真:ENCOUNT編集部】

「なんでパパ、家にいるの?」…息子の反応も刺さる

 明るく歯切れ良くインタビューに答える有村だが、報道当初は当然ながら、そうはいかなかった。自身の本業である映画を見ても全く内容が頭に入ってこなかった。

「時間があるから映画を見ようとしても心ここにあらず。最初から見直すこともありました。日常があってこそ映画が頭に入ってくる。その基盤すらない中で映画を見ていても何を見ているのか分からないんですよね」

 謹慎中の1か月はほとんど家を出なかった。買い物は両親に頼み、当時3歳だった息子の保育園を1か月間ほど休ませた。

「いつも通り息子の送り迎えをやっていたんですよ。ある日を境に僕が息子を連れていくと幼稚園のママたちがサーっと引いて道ができました。モーゼの十戒みたいな(笑)。でも子どもをずっと家の中に居させるわけにはいかないので、夕方とかに帽子をかぶって公園に遊ばせに行ったりしていました」

 息子の素直な反応も有村の心には刺さった。

「『なんでパパ、家にいるの?』って。それは切なかった。報道前に車関連の番組MCをやっていたんです。息子と一緒に見るのが日課になっていたんです。息子はそれが楽しみだったから『なんで最近見ないの?』って。ちょっときつかったなあ」

 ずっと家にいるのは気が滅入る。心が限界になりかけたところでマネジャーに相談。“闇営業問題”で所属事務所と契約解消となったお笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也が設立した「株式会社ピカピカ」でエアコン掃除のアルバイトをすることになった。

「2か月目から3か月間、週に5回行っていました。朝8時に渋谷の蔦屋書店の前に集合して、いろんな家や事務所に行きましたね」

 特につまずくことなく生きてきた有村。これが人生初のアルバイトだった。

「真夏の暑い時期だったのでエアコン掃除は大変でしたけれどやって良かったなって思います。特に覚えているのはカビキラーが目にしみること。匂いが本当に落ちないんです。もうひとつ入江さんとの移動時間が印象に残っています」

「入江さんは命の恩人」と力が入る。「悩みを嫌な顔ひとつせず聞いてくれました。自粛するときの心構えも教えてくれました」と振り返った。

 忘れられないのは入江が“闇営業問題”が発覚して2年たった日だった。

「当日一緒にいたんです。何月何日まで明確に覚えていました。いろいろあったけれど前を向いていくしかないよねっていう言葉にすごい説得力がありました。僕が起こしたのは5月の母の日なんですけれど、2年たったときに自分はどう思うのかって考えましたね」

 有村の心が変わり始めた。自分がやったことは当然悪い。つまりは失敗だ。「人間って失敗したら落ち込んで良からぬことを考えてしまうこともある。自分が落ち込んでいたときにいろいろ支えてくれた人たちの“恩”を僕も他の方に伝えて返したいんです」と真っすぐな思いを明かした。

 求められることは全力で――。それはひとつの覚悟でもあった。反省はする、しかし卑屈になっては前に進めない。

「子どもに迷惑をかけてしまったけれど、子どもがいるから頑張れる、てホントに思います。いつか僕という父親の経歴を知ったときに『パパは頑張ってた』って言ってもらえるように背中を見せていきたいんです。息子にとってのパパって僕だけだから」

 復帰後に見せたキャラの変化。それは開き直っているわけではない。イチ人間としての覚悟があった。悪いことをした、それでも前を向く。前を向かなくてはならない理由がそこにはあるからだった。

□有村昆(ありむら・こん)1976年7月2日、マレーシア生まれ。映画コメンテーター。22歳の時にラジオパーソナリティーとしてデビュー。2012年にニュースキャスターと結婚。21年5月に写真週刊誌で不倫報道、芸能活動の自粛を発表した。同年7月に離婚を発表。22年10月11日にはテレビ朝日系バラエティー番組「ロンドンハーツ」に出演した。

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