新型コロナ“外出自粛”の新入社員歓迎に新たな一手 自宅でオンライン交流会に活路「信頼感が高まった」

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国的に外出自粛が呼びかけられる中で、4月に入って企業による新入社員への対応が課題となっている。テレワークの導入が進む一方で、先輩社員や同僚の人となりを知る機会が確保しにくい。対応策の一つが、オンライン技術を駆使した交流の場だ。ENCOUNT編集部では、社員間の連帯感を高めようと“オンライン飲み会”を実施した、イベントECサイトを運営する「株式会社リンクバル」の取り組みを取材した。

株式会社リンクバルのオンラインを駆使した新入社員歓迎会の様子
株式会社リンクバルのオンラインを駆使した新入社員歓迎会の様子

新入社員、国外にいる社員を含めた連帯向上の一手に注目 「ピンチの時こそ、新しいサービスが生まれるチャンス」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国的に外出自粛が呼びかけられる中で、4月に入って企業による新入社員への対応が課題となっている。テレワークの導入が進む一方で、先輩社員や同僚の人となりを知る機会が確保しにくい。対応策の一つが、オンライン技術を駆使した交流の場だ。ENCOUNT編集部では、社員間の連帯感を高めようと“オンライン飲み会”を実施した、イベントECサイトを運営する「株式会社リンクバル」の取り組みを取材した。

 3日の夜、埼玉県内にある同社広報の出来千春さんの家では、パソコン越しの笑い声が広がった。「オンラインお花見歓迎会」と銘打った通り、机には綺麗なシダレザクラの造花、桜餅などの軽食が並ぶ。パソコンの画面にはそれぞれの自宅から参加する社員たちの映像が映る。新入社員3人のほか、全社員約70人のうち、部署も役職も異なる総勢約30人が参加。一時帰国のため母国のベトナムに戻ったエンジニアの男性スタッフの姿もあった。自己紹介から始まり、役員の学生時代の部活の思い出、在宅勤務が長引きそうなため自分の体に合う座いすを探す悩み……。お酒をたしなむ人の姿もあり、2時間の歓迎会は会話と笑い声で盛り上がった。

 同社では、新型コロナウイルス感染防止のため、2月下旬からテレワークを本格的に導入し始め、現在は全社員を対象に実施している。こうした中で、4月1日の新入社員の入社を迎え、少しでも社員の人柄や業務内容を知ってもらい、他部署を含めた社員同士の連携を深める目的で、オンライン交流会を企画した。デバイスとして、同社が提供しているオンラインビデオチャットサービス「V BAR(ブイバー)」を使っての実施となった。参加者は少人数で構成するチャット内のルームを移動でき、より密に交流を楽しめることが特徴という。

オンライン歓迎会は、春にちなんで社員たち独自で花を用意。ベトナムからもスタッフが参加した
オンライン歓迎会は、春にちなんで社員たち独自で花を用意。ベトナムからもスタッフが参加した

 同社の新入社員は3人全員が中途採用で、研修を受けながら早速業務にも携わっている。歓迎会を終え、マーケティング部の横山勇人さんは「意義のある会だと思いました。この大変な時にも歓迎会を開いていただき、感謝です。信頼感が高まったと実感しました」と話した。画面越しであっても、相手の表情を見ての会話は貴重な機会になるといい、ベトナム人スタッフは「顔も見れて声も聞けて面白かった」と笑顔を見せた。

 趣味のつながりや体験型の交流イベントを多数主催する同社は、今後はオンラインを活用する事業を強化。出来さんは「人と人の出会いの場が少なくなってきている現状で、オンラインで多くの人たちと知り合うことのできる場をつくっていきたいです」と語った。

 新入社員は、業務内容だけでなく、新たな人間関係を築くことにも不安になりがちだ。実際に対面しなくても、オンラインを通して積極的にコミュニケーションを図る重要性は増す。同社の鳴澤淳取締役は「ピンチの時こそ、新しいサービスが生まれるチャンス」と強調する。新型コロナの終息がなかなか見えない中で、画期的な手法として注目を集めそうだ。

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