AKB48卒業発表の27歳武藤十夢、大所帯の「埋もれ」で悩むアイドルたちに示した1つの指針
人気アイドルグループ「AKB48」の武藤十夢(27)が8日、東京・日本武道館で行われたコンサート「リベンジ!カップリングリクエストアワーベスト30」で、グループ卒業を発表した。加入から11年。大学院に進学し、気象予報士、ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格を取得するなどし、存在感を示してきた。近年は女優としても活躍し、グループでは選抜メンバーの常連になった。そんな武藤は昨年12月、ENCOUNTのインタビューで「グループで埋もれていた中、隙間を見つけて生きてきた」と本音を語っていた。
22歳で卒業を考えるも「やりきれていない」と翻意し、「学び」で存在感
人気アイドルグループ「AKB48」の武藤十夢(27)が8日、東京・日本武道館で行われたコンサート「リベンジ!カップリングリクエストアワーベスト30」で、グループ卒業を発表した。加入から11年。大学院に進学し、気象予報士、ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格を取得するなどし、存在感を示してきた。近年は女優としても活躍し、グループでは選抜メンバーの常連になった。そんな武藤は昨年12月、ENCOUNTのインタビューで「グループで埋もれていた中、隙間を見つけて生きてきた」と本音を語っていた。
武藤は、公演途中に「私から皆さんに伝えたいことがあります」と切り出し、「私、武藤十夢は、AKB48を卒業します」と発表した。
「16歳でこのグループに入って、歌もダンスもトークも何もできなくて、先輩の背中を追いかけることに必死でしたが、気づけばこのグループで上から2番目になっていました。この約11年半、楽しいこともつらいこともたくさんありましたが、すべてがとてもいい経験で私の力になりました」
卒業時期は未定だが、60枚目のシングル「久しぶりのリップグロス」が最後の参加楽曲になるといい、「いろんなことがあった私のアイドル人生ですが、最後は皆さんの心を晴れ模様にできるように精いっぱい頑張りますので、どうか最後までよろしくお願いします」とあいさつした。
約10か月前、筆者は武藤をインタビューした。卒業についての考えを問うと、「卒業は私に限らず、メンバーなら常に頭の片隅にあると思いますが、私はザックリしたイメージのままです。それに、AKB48は今、一致団結して皆がやる気に満ちています。『根も葉もRumor』への反響もうれしく感じでいます」と返した。確かにグループは同曲で再び脚光を浴び、武藤も「グループとして、このチャンスを生かしたい」との思いを強くしていた。
一方で、成城大を卒業する前、22歳で卒業を真剣に考えていたことを明かした。
「あの頃は、将来のことに悩んで迷っていました。AKB48からの卒業も考えました。ただ、『まだ、やり切れていない』という思いがありました。そして、迷いに迷った結果、『今、できることは何でもやっていこう。メンバーの中でも大学院生はいないし、仕事をしながら勉強するのもありだ』と思い、大学院進学を選びました」
大学時代から続けていた気象予報士資格試験の勉強も継続。週4で塾に通うなどし、8度目の挑戦で合格率4%台の超難関を突破した。その後、成城大大学院経済学研究科の課程を修了。コロナ禍に入ると、できた時間を有効に使い、21年7月には、ファイナンシャル・プランニング技能士2級を取得した。その2つの資格を手に、同年8月にはフリーアナウンサーの生島ヒロシを筆頭に多くのタレント、文化人らが所属する生島企画室と所属契約をした。
そして、グループの活動も精力的に行い、AKB48選抜メンバーの常連になった。事務所の尽力もあり、女優、タレントとしての個人活動も増えたが、かつては「学び」以外のことにも取り組み、もがいていたことも打ち明けた。
「私はダンスが突出しているわけではなく、歌は苦手、トークも全然なので、王道で攻めてもダメだと思い、気付いたらいろんなことに挑戦していました。歌番組に出る時も、『ポニーテールにしたい』と思いながら、『あの子とこの子もポニーテールかも』と考えて、全く違う髪型にするなんてこともありました。それだけ、埋もれるところから脱却したかったのです」
さまざまな苦悩を経て、武藤はグループで唯一無二の存在になり、卒業後も芸能活動を続けられる程の力量をつけた。王道を歩かなくても、存在感は示せる。武藤は、大所帯でもがくアイドルへ「1つの指針」を示したと言えるだろう。