来春活動休止のAKB48・チーム8がもたらしたもの “撮影可能”文化で生まれた好循環

人気アイドルグループ「AKB48」は7日、東京・千代田区の日本武道館で行われた「MX祭り!AKB48 60th Single『久しぶりのリップグロス』発売記念コンサートin武道館2022」内でチーム8が2023年4月に開催される「チーム8コンサート」、AKB48劇場「チーム8 9周年公演」を持って活動休止することを発表した。14年に発足した“会いに行くアイドル”チーム8とは、一体どんなチームだったのか。

目を潤ませながらもあいさつした「AKB48」チーム8の下尾みう、倉野尾成美、小栗有以、本田仁美(左から)【写真:(C)AKB48】
目を潤ませながらもあいさつした「AKB48」チーム8の下尾みう、倉野尾成美、小栗有以、本田仁美(左から)【写真:(C)AKB48】

14年に発足した“会いに行くアイドル”チーム8

 人気アイドルグループ「AKB48」は7日、東京・千代田区の日本武道館で行われた「MX祭り!AKB48 60th Single『久しぶりのリップグロス』発売記念コンサートin武道館2022」内でチーム8が2023年4月に開催される「チーム8コンサート」、AKB48劇場「チーム8 9周年公演」を持って活動休止することを発表した。14年に発足した“会いに行くアイドル”チーム8とは、一体どんなチームだったのか。

 14年1月に「AKB48 チーム8 全国一斉オーディション」を実施。47都道府県から1人ずつ代表を選出し、同年4月に結成された。チーム発足時からトヨタ自動車が活動をサポート。秋葉原にある専用劇場で公演を行う既存チームと違い、全国各地のイベント出演や、全国47都道府県をまわる「AKB48チーム8 全国ツアー ~47の素敵な街へ~」(14年12月~21年5月)などを敢行。全国を行脚した。

 チーム8最大の特徴は、トークショーやライブの一部楽曲が撮影可であることだろう。チーム8が出演するイベントでは、プロ顔負けの機材を背負ったいわゆる“カメコ”がメンバーの写真を撮影し、SNSで拡散。ファンの拡大に一役買ってきた。現在では「=LOVE」など、ライブ会場にカメコ専用席を設けるグループも登場するなど、女性アイドルの撮影可能現場は増えつつある。写真を撮りたいファンと、顔を売りたいグループの思惑が一致してきているのが現状だ。

 もともと、“撮影可能”という文化は地元の祭り会場やショッピングモールなどのオープンスペースで活動していたローカルアイドルたちには根付きつつあった。チーム8が発足する1年前の13年には、当時福岡県が拠点のご当地アイドルグループで活動していた女優の橋本環奈をカメコが撮影した画像が「1000年に一度の美少女」と話題に。この1枚をきっかけに、橋本が大ブレイクした例もある。

 ローカルアイドルのファン層と、“会いに来てくれる”“撮影できる”チーム8は親和性が高かった。地方で奮闘するメンバーの魅力がSNSで広がり、次第にファンも増加。一部メンバーはAKB48の他のチームと活動を兼任するようになった。中でも、東京代表の小栗有以は52th「Teacher Teacher」でチーム8メンバーとして初の表題曲センターを務めるなどグループの中心メンバーとして活躍。栃木代表の本田仁美は「IZ*ONE」のメンバーとして活動の幅をアジアに広げるなど飛躍した。ほかにも、最新シングルの選抜メンバー16人中7人がチーム8所属メンバーで、今やグループの核を担っていると言っても過言ではない。

 一方、コロナ禍で全国を飛び回るコンセプトにのっとった活動が困難に。欠員が出ても補充オーディションを行うことが難しくなり、上京できないメンバーは活動自体がままならない日々が続いた。そして、21年3月にトヨタ自動車がチーム8のサポートを終了。この頃から、ファンの間ではチーム8の行く末を危惧する声がちらほらと上がり始めていた。

 7日に行われたコンサート内でチーム8の活動休止が知らされると、チーム8のメンバーたちは思わず涙。騒然とするファンに熊本代表の倉野尾成美は「チーム8が終わるわけではない」と話し、小栗も「またみんなが強くなって、戻ってこれるように頑張りたい」と呼びかけた。

 23年4月に開催される「チーム8コンサート」、AKB48劇場「チーム8 9周年公演」をもって活動休止となるチーム8。現在チーム8のメンバーは全員がグループ内の他のチームと兼任しており、活動休止中は兼任先のチームで活動を続けることになっている。

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