「これって無免許運転ですよね」子どもがハンドル操作、車で歩道暴走…通報には注意点も
交通ルールを大きく逸脱する危険運転が最近相次いでネット上にさらされ、議論を呼んでいる。高速道路を走行中、運転席に子どもを乗せて走る動画や、道路の渋滞を避けて歩道を爆走する車の動画が公開され、騒然となった。後者は動画が証拠となり、違反ドライバーの逮捕につながった。危険運転はなぜ問題なのか。また、自身が目撃者になったときどのような対応を取ればいいか。交通捜査の経験がある専門家に聞いた。
識者が警鐘「大事故につながることを否定できません」
交通ルールを大きく逸脱する危険運転が最近相次いでネット上にさらされ、議論を呼んでいる。高速道路を走行中、運転席に子どもを乗せて走る動画や、道路の渋滞を避けて歩道を爆走する車の動画が公開され、騒然となった。後者は動画が証拠となり、違反ドライバーの逮捕につながった。危険運転はなぜ問題なのか。また、自身が目撃者になったときどのような対応を取ればいいか。交通捜査の経験がある専門家に聞いた。
先月23日、高松市で撮影された動画は衝撃的だった。道路の渋滞をしり目に、歩道を猛スピードで走るシルバーの軽自動車。交通ルールなどお構いなしの暴走ぶりだ。赤信号で止まっている車列をゆうゆうと追い越すと、道路に横から“侵入”。あまりに身勝手なドライバーの一部始終を捉えた動画は700万回以上再生され、後日、運転していた男は警察に無免許運転の疑いで逮捕されたことが報じられた。
それより4日前の19日には、高速道路で目を疑う光景が……。白いミニバンの運転席が映し出されると、なんとハンドルを握ろうとしているのは幼い女の子。渋滞中とはいえ、低速で車は走っている。運転手の大人が暇つぶしに子どもを前に乗せてハンドルを触らせたようだが、一歩間違えば、取り返しのつかない事態になることは明白。ネット上では「車はオモチャじゃ無い」「これは酷いですね」「この動画は警察に出すべき」「これって無免許運転ですよね」と批判の声が相次いだ。
交通捜査の経験を持つ株式会社エス・ピー・ネットワークの担当者は、中央道のケースについて、車はLTA(レーントレーシングアシスト)と呼ばれる運転支援機能を使って走行している可能性があり 、「運転手はハンドルをおもちゃ感覚で、子どもを遊ばせているのかもしれません」と指摘する。一方で、「しかし、これは『自動運転機能』ではなく、『運転支援機能』であるため、さまざまな状況で、同機能が正しく作動せず車線から逸脱するおそれもあり、大事故につながることを否定できません」と警鐘を鳴らした。
子どもがシートベルトを着用していないことも問題で、「自動車の運転者は、チャイルドシートを使用しない6歳未満の幼児を乗せて、運転してはならないと決められています。また、運転者は絶えず前方に注意するとともに、周囲の道路交通や車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作する必要があると定められているため、運転者は、安全運転義務違反に該当するものと思われます」との見方を示した。
一方で、これらの危険ドライバーは氷山の一角の可能性もある。たまたま撮影者がいて、SNS上に動画を公開したことで多くの注目を集めたからだ。実際に危険運転やあおり運転などの行為を目撃したり、被害者になったりしたとしても、“証拠”がなければ世に出ることは少ない。
通報者が「ながら運転」で処罰の対象も…正しい手順は?
危険ドライバーを見つけたとき、周りはどのような対応をすればいいだろうか。
前出の担当者は、「危険運転を見つけると、警察に通報することが考えられます。警察に電話しますと、1)日時・場所 2)車種 3)ボディーの色 4)ナンバー 5)運転者の特徴等 6)同乗者 7)危険運転の状況等を聞かれます。それらをメモしておくか、撮影するなどして通報するのが良いと思われます」と手順を説明した。
ただ、通報の際に注意点もあるという。
まず目撃者が運転中の場合は、「運転中に危険運転を発見した際、運転者が電話で通報する場合やスマホ等で撮影する場合は、運転を止めて安全な場所で停車してから行わなければ、ご自身が『ながら運転』等として処罰の対象となるかもしれません。また、撮影される場合は、写真ではなく動画の方が好ましいかと思います。危険運転ですから、『運転』していることの証明が必要となる場合もあるからです。もし、同乗者がいるのなら、通報等は同乗者に頼んでください。ドライブレコーダーで撮影した場合は、最寄りの警察署に赴き、提出することもできます」。
また、目撃者が歩行中のときは、「歩行中に危険運転を見つけた場合も同様にメモや撮影等をした上で通報した方が良いかと考えますが、危険運転車両を追っかけて撮影する歩きスマホ等は危険です。これは絶対に止めてください。歩きスマホを禁止する条例を制定している地方自治体もあります」と呼びかけた。
歩道暴走車のように、危険ドライバーの行動は常識では考えられないもの。正しいと思った行動が裏目に出る可能性もある。
「通報を考えられたのなら、まずはご自身の安全を確保してから行うことが優先です。それ以外に、危険運転車両を撮影していますと、その運転者が下りてきてトラブルとなる可能性もあります。無理に撮影を続けることもお控えください」と、担当者は注意喚起している。