“令和のサムライ”に驚愕 バッティングセンターで160キロボールを一刀両断 暗殺剣もマスター
バッティングセンターで時速160キロのボールを日本刀で真っ二つ。電光石火の居合で驚異的な動体視力と剣技を披露した“令和のサムライ”が話題になっている。動画は950万回再生を突破。いったい、この人物は何者なのか。
50歳で剣術開始 「遅いのが逆に打てない」
バッティングセンターで時速160キロのボールを日本刀で真っ二つ。電光石火の居合で驚異的な動体視力と剣技を披露した“令和のサムライ”が話題になっている。動画は950万回再生を突破。いったい、この人物は何者なのか。
160キロのボールを居合で一閃。2つに斬られたボールが転がる…。剣士のバランスは崩れず、居合着姿の美しい所作も目が引く。
「3球だけ最初見まして、4球目から連続で斬りました。成功したのだけ映したわけじゃないです。うちの孫が来ていたので面白がっていましたよ」
こう話したのは日本拳法空手道勇和会の鈴木勇悦最高師範。動画公開後、鈴木さんのスマホにはテレビ局やマスコミ各社から取材が殺到している。
通常当てることすら難しい160キロのボール。鈴木さんは思いもかけない言葉を口にした。
「当時9歳の孫が野球をやっていまして、撮影の合間に75キロのボールを打たせてもらったんです。そしたら孫はパカスカ当たる。私がやったらかすりもしない。ボールと30センチ以上離れている。遅いのが逆に打てない。孫に笑われました」
剣術を始めたのは意外にも50歳のとき。「整体院を5年ほどやっていました。そのときの大家さんが不動産会社にいて部屋が隣だったんですよ。日本刀が飾ってあった。『興味あるか?』と言われて、『明日来い』という話になったんですよ」。そこから週2回のペースで警察署に通い、61の型をマスター。夢想神伝流の5段を保持している。動画の居合は833グラムの居合刀を使用した「早抜き」という抜き方という。
ツイッターにはほかにもすご腕の剣技を公開している。例えば、「暗殺剣」。畳の上で礼をすると見せかけ、瞬時に刀を抜いて相手を斬る技だ。
「ここで辞去しますよ、失礼しますよとあいさつをして両手をつきますよね。つまり、相手は安心しているわけですよ。その瞬間に相手を暗殺するということです」
弾丸を斬る可能性は? 刀匠の名刀を使うと…
自分の体に向いている刃を返し、利き腕とは逆の左腕で一閃。初伝・中伝・奥伝と段階がある中で、最も難易度が高い、奥伝の中の「いとま乞い」という技だという。「一般の人はまず見ても分からないと思います。だから(動画は)全然人気ないんです。分からないんですよ」と苦笑した。
160キロのボールを斬れれば弾丸はどうなのか?
鈴木さんは「それは無理です」と答えた上で、物理的には可能との見方を示した。過去に米国で実験したドキュメンタリー番組があり、日本刀と拳銃をそれぞれ万力で固定した状態で引き金を引いたところ、真っ二つになったのは弾丸のほうだったという。
そのときの刀は刀匠として知られた小林康宏さんの刀で、弾丸の威力に負けなかった。「今の弾はなまり玉じゃない。金属弾」と条件によるものの、漫画の世界を現実にしようという挑戦は古くからあったようだ。実戦の中でも、タイミングによっては、弾丸を斬る可能性は残されている。
鈴木さんが日ごろ愛用する刀は“斬鉄剣2代目”小林直紀さんの作品。本物の日本刀は水平に持つだけでも重く、バランスを取りづらい。それを意のままに操るのは至難の業だ。
「まがいものが横行しているから、私は普通の刀でどれくらいのものが斬れるか証明してみせているだけです」
孤高のサムライは今でも時間があれば刀を振り、鍛錬を続けている。
□鈴木勇悦(すずき・ゆうえつ)1956年10月14日、秋田県湯沢市出身。中学卒業後、上京。19歳のとき、沖縄で空手に出会う。日本拳法空手道勇和会最高師範。現在でも顔面ありの実戦派空手を教える数少ない空手家。