和楽器バンド、メンバー自ら「ボカロ三昧2」を徹底解説 アレンジャーが最も苦戦した曲は?
和楽器とロックバンドを融合させた8人組「和楽器バンド」がデビューアルバム以来となるボカロナンバーのカバーアルバム「ボカロ三昧2」をリリースした。新旧さまざまなボカロ曲を和楽器バンドならではの高度な演奏技術で新たな生命を吹き込んだ。そしてアルバムを引っ提げて全国ツアーもスタート。そこでバンドを代表して、鈴華ゆう子(ボーカル)、蜷川べに(津軽三味線)、黒流(和太鼓)、町屋(ギター・ボーカル)、山葵(ドラム)の5人に「ボカロ三昧2」を楽しむための注目ポイントについて語ってもらった。
和楽器バンドが「ボカロ三昧2」を解説
和楽器とロックバンドを融合させた8人組「和楽器バンド」がデビューアルバム以来となるボカロナンバーのカバーアルバム「ボカロ三昧2」をリリースした。新旧さまざまなボカロ曲を和楽器バンドならではの高度な演奏技術で新たな生命を吹き込んだ。そしてアルバムを引っ提げて全国ツアーもスタート。そこでバンドを代表して、鈴華ゆう子(ボーカル)、蜷川べに(津軽三味線)、黒流(和太鼓)、町屋(ギター・ボーカル)、山葵(ドラム)の5人に「ボカロ三昧2」を楽しむための注目ポイントについて語ってもらった。(取材・構成=福嶋剛)
町屋「和楽器バンドはアレンジ内容や各楽器担当の演奏の振り分けなど、あらかじめ編曲担当の僕の頭の中で完成図が描けている状態でレコーディングがスタートします。今回のボカロナンバーをカバーする上で大切にしたことが2つあります。1つは原曲の印象的なフレーズを和楽器などに置き換えて我々のサウンドに近付けるようにアレンジしたこと、そしてもう1つがアレンジの中にメンバーが自由に演奏できる余白を最低1か所作ることでした。和楽器バンドは楽器の数が多いので、オーケストラに近い部分もあるのですが、バンドである以上は偶発性も必要なんです」
「アイデンティティー」…バッチリキマった和太鼓の演奏に注目
黒流「その流れで話すと僕は8曲目の『アイデンティティー』を取り上げたいです。普段はまっちー(町屋)があらかじめ作った設計図を元にその曲に合いそうな和太鼓の種類を選んだり、音の出し方を考えながら録音していくのですが、この曲に関しては先ほどまっちーが言っていた“余白”が多くて、極端に言うと1曲丸々自由に叩かせてもらった感じなんです。どうやって演奏しようかと初めは悩みましたけど、最終的に聴いてみるとちゃんと和楽器バンドのサウンドに仕上がっていましたし個人的には新鮮で面白かったですね」
町屋「黒流さんは、事前の準備がしっかりしていて、もちろん演奏能力も優れた方なのでメンバーの中ではレコーディングの回数は圧倒的に少ないんです。テイク2とかでOKが出ました」
黒流「うれしいですね(笑)。バンドとして8年間一緒にやってきたのでまっちーが求めているものを想像できるようになってきたんだと思います。お互いの信頼感というか、現場に入って楽曲の方向性や流れを確認して対応する早さも変わってきましたね」
「フォニイ」…主人公になりきって歌った新鮮な歌声に注目
鈴華「私はリード曲の『フォニイ』を取り上げます。前作『ボカロ三昧』は、自己紹介という意味合いもあって節調(せっちょう)という、もともと私がやっている詩吟の技術を取り入れながら全曲歌ったのですが、今回は詩吟にこだわらず、どの曲もボーカルを聴いた時にどういう印象を持っていただくかという部分をすごく大事にして、それぞれの曲の主人公となるキャラクターを考えながら歌うことに挑戦してみました。その分、歌入れは全部難しかったのですが、どれも前作にはない新鮮な形で聴いていただけると思います。
中でも『フォニイ』は今までで1番練習をして臨んだ曲で、原曲はとても幼くて可愛らしい声なんですが、わざと大人の女性の歌声で女優になりきって挑戦してみました。具体的には私のキーよりも5度くらい高いので新しい声域の開拓から始まり、今までは裏声で歌っていたところを地声で歌ってみたり、速いテンポのところも高音で歌っています。YouTubeにMVを公開して再生回数が1000万を超えたのはうれしかったですね。」