中村獅童、初の朗読劇に挑戦 声だけの表現に「チャレンジだと思っております」

歌舞伎俳優の中村獅童が21日、巡業公演「松竹特別巡業『中村獅童のHOW TO かぶき』『絵本 あらしのよるに 一人語り』」(11月9日~23日)のオンライン取材会に出席した。

オンライン取材会で記者たちの質問に答える中村獅童。「お客さまが来てくださるか不安(笑)」と心配する場面も
オンライン取材会で記者たちの質問に答える中村獅童。「お客さまが来てくださるか不安(笑)」と心配する場面も

獅童による歌舞伎解説や女方への生変身も

 歌舞伎俳優の中村獅童が21日、巡業公演「松竹特別巡業『中村獅童のHOW TO かぶき』『絵本 あらしのよるに 一人語り』」(11月9日~23日)のオンライン取材会に出席した。

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 獅童初の試みとなる「中村獅童のHOW TO かぶき」は、歌舞伎初心者や子どもでも歌舞伎が楽しめるよう、歌舞伎ならではの表現方法や約束事をわかりやすく解説する。また男性が女性を演じる「女方」についても、中村蝶紫が実際に化粧をして衣装を身につけ、かつらをかけて変身する様子を生披露。獅童が俳優の視点から説明するなど、歌舞伎に親しみを感じられる内容となっている。

「絵本 あらしのよるに 一人語り」は、絵本・童話作家のきむらゆういち氏の作品「あらしのよるに」を、獅童が一人語りの朗読劇として届ける。朗読劇として巡業公演を行うのは初。「あらしのよるに」は、嵐の夜に出会った狼のガブと山羊のメイが友情をはぐくむ物語で、シリーズ合計300万部を超えるベストセラー作品。獅童は2002年にNHKのEテレ「てれび絵本」で同作の読み聞かせをおこない、ナレーションと全キャラクターの声を担当。05年には映画「あらしのよるに」で主人公の狼・ガブの声優を務めている。また獅童の熱い思いから、15年には同作を新作歌舞伎に。京都・南座で初演され、16年には歌舞伎座、18年には博多座と3度上演されている。

「中村獅童のHOW TO かぶき」について獅童は、「女性のお客さまは歌舞伎のお化粧に興味を持ってらっしゃる方が多いので、女方ができるまでを蝶紫にやってもらいます。いわゆる『赤姫』ですかね。(男性から女性への変化が)わかりやすいんじゃないかと」と説明。

「赤姫」とは歌舞伎に登場するお姫様役のこと。鮮やかな赤の地色に、花柄などをあしらった華やかな衣装が特徴なことから「赤姫」と呼ばれている。「お姫様のちょっとした動きや女方の仕草を解説したい。『おこつき(※つまづくような動作で色気や弱々しさを表す)』の動きもよく出てきますけど、女方の基本的な体の使い方や、男性が演じる上で『どういったことに気を配るのか』というのを、詳しく伝えていければ」と語った。

 これまで映画や歌舞伎など、さまざまな形で演じてきた「あらしのよるに」。初の朗読劇に獅童は「朗読という地味な舞台で、お客さまが来てくださるか不安な部分もありますが(笑)」と笑いながらも、「声だけでその世界観を想像していただくことになるので、チャレンジだと思っております」と気合を入れた。「一人ですべての動物をやるので、皆さまが目をつむってもその情景が浮かぶようにできれば」と意気込んだ。

 絵本の狼と山羊の静止画をスクリーンに映すといい、「止まっている絵でも、声色を変えることで子どもなりに想像するじゃないですか。雨の音も歌舞伎は大太鼓で表現できますから、そういった古典的な音をつけることができれば」と語った。

 今回の公演は小さな子どもも一緒に観劇できるという。獅童は「お母さん、お子さん、親子連れのお客さま。『子どもが小さいので歌舞伎に連れて行くのは難しいんじゃないか』と思っているご家庭に見て頂きたい」と熱弁。その理由として、「子どもたちにアナログな楽しみを届けたい」という思いがあるという。「今の時代の子どもたちは、YouTubeのような新しいコンテンツがある。デジタルがあふれているから、好きな時間に好きなものを見ることができる。僕が子どもの頃は、母親に絵本を読んでもらうことが多かったし、紙芝居がありました。絵が動いているわけじゃないけど、子どもなりにいろんなことを想像した」と振り返り、「そういうアナログの想像を深めていただけたらうれしい」と語った。

次のページへ (2/2) 【写真】取材会に和装で登場した中村獅童の全身ショット…今回の巡業は「子どもたちや親子連れに見て欲しい」という
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