【鎌倉殿の13人】中川大志が明かす“殴り合い”の秘話 「泥臭いものに」小栗旬の思いに共感
俳優・中川大志が、畠山重忠役で出演するNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)について取材に応じ、重忠への思いや最期を迎えた18日放送の第36回について語った。第36回では、畠山一族を息子のかたきと思い込むりく(宮沢りえ)の言葉に耳を傾ける北条時政(坂東彌十郎)との対立が深まり、畠山重忠の乱に発展。戦では重忠が北条義時(小栗旬)と殴り合う一騎打ちのシーンもあった。
畠山重忠と北条義時の殴り合いの一騎打ち 鎧は破損、着物ビリビリ
俳優・中川大志が、畠山重忠役で出演するNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)について取材に応じ、重忠への思いや最期を迎えた18日放送の第36回について語った。第36回では、畠山一族を息子のかたきと思い込むりく(宮沢りえ)の言葉に耳を傾ける北条時政(坂東彌十郎)との対立が深まり、畠山重忠の乱に発展。戦では重忠が北条義時(小栗旬)と殴り合う一騎打ちのシーンもあった。
「4度目の大河ですが、この作品が一番長く携わらせていただきました。その分、畠山重忠とともに過ごした時間は長く、1年ちょっととなりまして、もう胸がいっぱい。終わってしまったんだなとさみしさもあります」
第36回では義時と、大河ドラマでは異例の馬から落ちて殴り合う一騎打ちのシーンもあった。台本のト書きには2人の一騎打ちとしか書いてなかった。
「脚本が上がってきた時、小栗さんとそのシーンの話をする機会があり、一騎打ちは、きれいな立ち回りではなく、泥臭いものにしたいという話を小栗さんからしてもらいました。まさしく僕も同じ意見ですと話したのを覚えています」
重忠と義時は幼い頃からの旧知の仲。そんな2人の一騎打ちについて、小栗と話した具体的な内容とは。
「『最後は子どもケンカのように思い切り泥臭く戦えたらいいよね。おれは畠山重忠という男に思い切りぶん殴られたいんだ』という話を小栗さんからしてもらいました。そこから監督やアクションチームと一緒にいろんな動きを相談しながら作っていきました」
異例の殴り合いのシーンに中川はどんな思いで臨んだのか。
「重忠の生きざま、信念、この戦をする意味を、あの時代に殴り合うシーンはあまりないですが、あの一発一発に込められたらいいなと。僕もすごく納得のいく最後。あの戦の意味がこぶしの殴り合いに凝縮できたかと思います」
戦は大がかりなロケで、撮影に計3日かかり、一騎打ちのシーンは最終日だったという。
「満身創痍(そうい)という感じで、この夏の暑さの中、スタッフの皆さんも戦だったと思います。それぐらい死闘だったと言っても大げさじゃない撮影。小栗さんも僕も体力的にはボロボロの状態。殴り合いのシーンは体感ではあっという間でしたが、おそらくトータル10分以上は2人でやりあっていたと記憶しています。多分、歴代の大河ドラマであそこまで着物と鎧(よろい)が破壊されたシーンは無かったのでは、というぐらい着物もビリビリに破れ、鎧もいたる所が破損し、最後は原形をとどめていませんでした」
大河ドラマの現場は「すごく背筋が伸びるというか、怖いです」
一騎打ちのシーンでは重忠は義時に刀を突き付けても結局、命を奪わなかった。どんな胸中だったと考えて臨んだのか。
「義時に対して畠山が本気で死ぬということがどういうことなのかを示しにゆくシーンだったのかなと思っています。この先、鎌倉をどうにかできるのは義時しかいないと畠山もよく分かっていた。つなげるのはこの人しかいないと一番、誰よりも義時のことを分かっていられたらいいという思いで、畠山重忠の乱に向かっていました」
これまで重忠の横にはいつも和田義盛(横田栄司)がいた。重忠にとっては旧知の仲の大きな存在だが第36回では敵になってしまった。戦を避けるため説得にきた和田と2人だけのシーンでは、重忠が「戦など誰がしたいと思うか」と大声で叫ぶシーンもあった。
「台本を読んだ瞬間から結構、ぐっときてしまいました。こらえるのに必死でした。リハーサルから義盛と向き合っただけでも、ぐっとくるものがありました。三谷さんずるいよという感じでした」
子役の経験もある中川が初めて大河ドラマの現場に入ったのは小6の時だったという。今回の大河ではどんなことを得たのか。
「何年たってもあのスタジオに戻ると、すごく背筋が伸びるというか、怖いです。結構、勇気がいる。その中で負けずにのみ込まれずに闘い抜くことが、今回の自分の中の目標でテーマでしたが、畠山重忠が毎回、自分を奮い立たせてくれたと思っています」
小栗との関係も明かしてくれた。
「兄貴のような、お兄ちゃんのような本当に大好きな方。この作品に関わっているスタッフ、出演者はみんな口をそろえてそう言うと思います。小栗さんの周りには人が集まってきます。人と人をつなぐ力はすごいなと思う先輩。1年以上撮影をしているので2人で馬のけいこに行ったことも、一緒に食事に行ったこともありました。小栗さんは誰よりも作品のことが大好きだし、関わっているチームのみんなことが大好きだと思います。ぼくら後輩もかわいがってくれます。すごく優しいです」