45台乗り継ぐ安東弘樹アナ、次期愛車候補は電気自動車 太鼓判を押す性能と可能性とは
フリーアナウンサーとしてテレビ、ラジオなどで活躍する安東弘樹。TBS時代の2017年から現在まで「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の選考委員を務めるほどの車好きだ。数えきれないほどの車を試乗し、これまで所有した愛車は45台を誇る。現在所有する3台を含めて、その多くはマニュアル(MT)車だ。しかし、次なる愛車として電気自動車(EV)選択の可能性を示唆する。その理由を聞いた。
EVは「軽自動車を乗っている人に親和性がある」という見方も
フリーアナウンサーとしてテレビ、ラジオなどで活躍する安東弘樹。TBS時代の2017年から現在まで「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の選考委員を務めるほどの車好きだ。数えきれないほどの車を試乗し、これまで所有した愛車は45台を誇る。現在所有する3台を含めて、その多くはマニュアル(MT)車だ。しかし、次なる愛車として電気自動車(EV)選択の可能性を示唆する。その理由を聞いた。(取材・文=猪俣創平)
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MT車にこだわるのは「運転していて気持ちがいい」からだ。3つのペダルを駆使してスムーズに運転するカタルシスがあり、「何にも代えがたい魅力」だと明かす。加えて、運転感覚がMT車とオートマチック(AT)車とでは別物だと説明する。
「AT車って、日本の多くの車がそうなんですけど、CVTと呼ばれる無段階変速のトランスミッションを採用していて、アクセルを踏んでエンジンの回転が上がってるのに加速力とシンクロしないんですよ。それに対して、MT車はエンジンがクラッチを介して動力輪(タイヤ)と直結しているので、エンジンの回転数と加速が非力な車でも大パワーの車でも、加速がシンクロするんです。だから僕はMT車が好きなんです」
現在所有する愛車3台も2台はMT車。運転感覚や趣味と実益を考慮しながら選んだ相棒たちだが、次なる相棒にEVも有力候補として名を連ねている。「実は、スポーツカーと同じような加速をするんです」と、まずは“走り”を評価する。
「MT車に近いんです。アクセルを踏んだときと加速がシンクロするんです。そうすると、最近AT車しか乗っていない人が初めてEVに乗るとびっくりするんです。みなさん『気持ちいい!』って言うんですよ。でも、それは今まで知らなかった加速感なんです。本来、MT車でしたら同じように気持ちいいものなんです。だから僕は『あ、MT車と同じ!』と思ったんです」
愛車購入に際しては“走り”だけではなく、ライフスタイルに適したものであることも重要視する。より具体的なポイントをあげる。
「今は家族用の車を買い替えようかと真剣に悩んでいます。一回EVに乗ると、エンジン車の振動が気になってしまうんですね。これまで自分の車ってエンジン車の中ではすごく静かで、振動も少ないと思っていたんです。ガソリン車にアイドリングストップがあるとはいえ、一度エンジンが止まって再始動する時、当たり前ですけど『ブルン』ってかかるわけです。でもEVは常にエンジン音や振動が無いわけで、その静かさに慣れてしまうと、『あ、こんなうるさいものに乗っていたんだ……』と思い知らされます。そうすると、EVの方が家族にとって快適なのかなと。少なくとも次はプラグインハイブリッド(PHEV)かなって考えています」
同乗者の家族にも配慮し、快適なカーライフを目指す安東にとっては振動も1つの考慮要素。EVでは、バッテリーの容量や充電環境も課題となりやすいが、その点も真剣に検討している。
「自宅でも充電できるようにしました。PHEVはそんなにバッテリー容量が大きくないので、夜中に2、3時間で満充電になります。今のPHEVって、モーターやバッテリーが結構大きくなっているので、簡単に言うと軽自動車のEVのバッテリーと同じ容量を積んだ大きいSUVがあって、大きくて重いので当然、軽EV車が満充電当り150キロ位、走るところ、50キロ~80キロ位しか走れないんです。でも、50キロ走れば、ほとんどの日本のドライバーでしたらエンジンが掛からずに家まで戻ってこられるんですね。かなり有効に使えますし、いざというときはエンジンもかかるので、長距離も走れるし、普段はEVとして使えるので、PHEVもいいのかなって思っています。でも、それだと中途半端か……とか、いろいろ考えながらもバッテリーEVに乗る可能性も十分ありますね」
テスラ人気の理由は「運転が気持ちいい」ことも一因
安東にとって、新たな愛車の有力候補としてEVが名乗りを上げた一方で、日本人が運転を好きになる新たなきっかけとしてもEVが機能する可能性があるようだ。MT車に近い運転感覚は、「99%の人が気持ちいいって言いますよ」と断言する。
「思った通りに加速してくれて、しかも減速もしてくれるんですね。エンジン車の場合、AT車でアクセルを離した場合よりも、MT車の方がエンジンブレーキがしっかりと効いてくれて、たとえばギアを3速から2速に落としたときの方がビビットに減速してくれるんです。自分の意志とシンクロして減速も加速もしてくれます。だから、その感覚に近い、EVが普及してくると、また運転が気持ちいいと思う人が増えるのかなと思っています」
EVといえば、米電気自動車のテスラが国内外で話題となっている。日本でも芸能人が購入を報告した投稿が注目を集めるケースも目立つ。この現象について安東は、「EVって金持ちの道楽でしょ」と誤ったイメージがつきかねないと懸念を示しつつも、「運転が気持ちいい」ことが一因だと推察する。
「芸能人の方がテスラに乗って驚く動画があるじゃないですか? それは僕にとっては当たり前のことなんですけど、やっぱり皆さん驚かれるんだって思っています。だから、皆さん気持ちよさにひかれているのかと。もちろん、テスラはいろんなギミックもあって、スマホみたいに遠隔でアップデートできる部分や、モニターはタブレットのような大きなものが付いています。近づくだけでドアが開いたり、ブレーキを踏むだけでドアが閉まったりと、今まで日本の自動車メーカーが意識してこなかった新しい機軸をテスラがどんどん採用していくことで、お金に余裕のある方々が買うこともよく分かります」
MT車に乗り慣れない日本人にとって、新たな発見を見いだす余地がEVには多分にあるようだ。「この間も日産の軽自動車EVの『SAKURA』に乗ってきたんですけど、EVらしさが十分に体現できていました」と試乗体験を振り返る。安東は、EVは「軽自動車を乗っている人に親和性がある」と考えている。
「長距離を走らないですし、家で充電できるってすごく便利なんです。バッテリー容量もそんなに大きくないので、一晩どころか充電器によっては完全に空になっていなければ、30分で満タンになる場合もあります。ガソリンスタンドに行く必要もありませんし、夜間であれば電気料金が安いので、電力がひっ迫しない時間帯に充電できますし、昼間は排気ガスも出しません。100キロくらいは普通に走れるので、軽自動車に乗っている方が、1日に走る距離って90%以上が100キロ以内なんですよ。実際は30キロくらいが平均らしいですが、そうすると実際に走っている間は何も心配なく走れますし、夜に帰ってきて充電して、しかも電気代は、少なくとも現在はガソリン代よりもはるかに安いわけですからね」
これまでの愛車45台だけではなく、ほとんどの車を試乗している安東にとって、次なる“相棒”にEVを迎え入れることは現実的な選択肢の一つのようだ。
□安東弘樹(あんどうひろき)、1967年10月8日、神奈川県生まれ。91年、株式会社東京放送(現TBSテレビ)にアナウンサーとして入社。これまで45台の車をほとんどローンで購入して乗り継ぐ。現在所有する愛車は「スズキ ジムニー」「ロータス エリーゼ」「メルセデス・ベンツ Eクラス オールテレイン」の3台。2017年から日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員を務める。YouTubeチャンネル「安東弘樹/no car, no life」で車の魅力を発信中。ジムニーに乗ってオフロードを走行する様子も公開している。
猪俣創平