将来の夢は「広島でお店を構えること」 STU48矢野帆夏がグループと後輩に託す思い

瀬戸内7県を拠点とするアイドルグループ「STU48」の1期生・矢野帆夏は、9月23日をもってグループを卒業する。ドラフト3期生・沖侑果を対談相手に迎えたインタビュー最終回は、将来を語り合った仲だからこそ話せる苦労と喜び、STU48とコンビ「ぽの」の行く末について、お互いの思いをぶつけ合った。

「STU48」矢野帆夏(左)と沖侑果【写真:山口正人】
「STU48」矢野帆夏(左)と沖侑果【写真:山口正人】

【対談#3】矢野が悔しい思いに直面するたびに、沖が静かに寄り添ってサポート

 瀬戸内7県を拠点とするアイドルグループ「STU48」の1期生・矢野帆夏は、9月23日をもってグループを卒業する。ドラフト3期生・沖侑果を対談相手に迎えたインタビュー最終回は、将来を語り合った仲だからこそ話せる苦労と喜び、STU48とコンビ「ぽの」の行く末について、お互いの思いをぶつけ合った。(取材・文=小田智史)

――矢野さんは2017年3月のSTU48結成から5年半、1期生の一員としてグループを支えてきました。「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」や「江田島市広報大使」就任が飛躍へのターニングポイントにもなりましたが、振り返ってどのようなアイドル人生でしたか?

沖侑果(以下、沖)「ほのたん(矢野)さんは、結構大変な思いをしたはずです」

矢野帆夏(以下、矢野)「私はアイドルのことを何も知らなかったので、理想像とか、実際になってみてのギャップはなく、自分が好きなように生きてきました。アイドルというよりも、『矢野帆夏』としてのありのままの人生だった言えるかもしれません。それを応援してくれたファンの方々を、最後まで大事にしたいです」

沖「(4thシングル『無謀な夢は覚めることがない』で16人)選抜に入る前も、選抜メンバーよりお仕事があってレッスンにいなかったりして、こんなにレギュラーを持ってる人はあまりいないなって。ほのたんさんは本当に、個人で認められていたメンバーだと思います」

矢野「沖ちゃんはずっと応援してくれてた」

――今年4月にリリースされた最新シングル「花は誰のもの?」で選抜入りがかなわなかったときは、どんな思いでしたか?

矢野「メンバー全員集まって、生配信内で発表でした。少し覚悟していたところはあったけど、選抜メンバーから外れてまた戻るのはすごく難しいことだし、『本当に落ちてしまった……』とショックでした。でも、沖ちゃんはすぐに気づいてくれて。あの日、声をかけてくれたのは沖ちゃんだけだった」

沖「みんな気を遣って、声をかけていなかったですね。衣装さん、スタッフさんも泣いていました」

矢野「それくらい悲しんでくれる人がいるんだ、って思いはあった」

沖「周りのほうが落ち込んでいたかもしれません」

矢野「それはあるかも」

沖「瀬戸内PR部隊(の投票結果発表)のときも同じですね」

矢野「私は自分で決めて、悔いがないように生きているから、『これをやっておけば良かった』みたいのはない。でも、なかなか声をかけづらいとき、落ち込んだときに、寄り添ってくれるのはいつも沖ちゃん」

沖「泣いているメンバーもいますからね。もう(肩を抱き寄せる仕草をしながら)こうして、ただただ一緒にいるっていう(笑)」

矢野「沖ちゃんの思いやりが何よりもうれしかった」

沖「えー、うれしい」

沖侑果(右)は矢野帆夏と吉田彩良の仲の良さに「もやもやしている」と告白【写真:山口正人】
沖侑果(右)は矢野帆夏と吉田彩良の仲の良さに「もやもやしている」と告白【写真:山口正人】

沖が矢野に代わる江田島市広報大使に立候補!?

――この機会に、お互いに「言いたいこと・聞きたいこと」をぶつけていただければと思います。

沖「ほのたんさん、最近さらぴ(2期生の吉田彩良)と仲がいいじゃないですか。私よりも、さらぴのほうが仲がいいんですよ。話そうかなと思っても、だいたいさらぴが隣にいるから、『ああ、“ぴの”ね。はいはい』って(笑)」

矢野「コンビ名『ぴの』なん?(笑)」

沖「どうせ、今度ハッシュタグで『#ぴの』ってつけるんだろうなと思って、最近もやもやしています」

矢野「えっ、かわいいんだけど(笑)。知らなかった」

沖「どうせ、『ぴの』を作るんでしょ」

矢野「『ぽの』解散、『ぴの』結成(笑)。でも、沖ちゃんはみちゅ(キャプテンの1期生・今村美月)とはアイドルらしいことはするけど、私とはしてくれんじゃん!」

沖「あー、たしかに。最後にかわいいユニットとか一緒にやりたいですよね(笑)」

矢野「絶対に思ってないでしょ!(笑)」

沖「アイドルとしてというよりは、コラボ配信とかMCでおもしろくて推してくださる方が多いから、最後の最後はアイドルらしい『ぽの』も見てもらいたいですね」

――矢野さんから何かありますか?

矢野「私、『怖い』って言われがちだから、最後に『全然怖くないよ』ってことを広めてほしい」

沖「研究生に『矢野さん怖いよね、分かる。でも、大丈夫』って伝えますね(笑)」

矢野「卒業発表したとき、公演が終わって(ステージ裏に)戻ったら、のあぴ(研究生の諸葛望愛)が泣いてくれてて、かわいかった。私が泣かせたみたいな感じになったけど(笑)」

沖「泣いてるのあぴ、それを見るほのたんさんの構図はシュールでしたね」

矢野「説教したみたいになった(笑)。泣いてくれててうれしかったし、残された時間でできる限り仲良くなりたい」

沖「私、ほかにも言いたいことあった! 江田島市の広報大使になりたいなって」

矢野「えっ! ちょっと待って(笑)」

沖「ほのたんさんが卒業したら、STU48と江田島市の交流がなくなってしまうのは寂しいので」

矢野「沖ちゃん、江田島市に縁とかゆかりはあるの?」

沖「こないだ行った美容室の美容師さんが江田島へ旅行に行ったらしいです(笑)」

矢野「沖ちゃん関係ないじゃん!」

沖「それを聞いて、私も『行ったことはないけど、江田島のことはめっちゃ知ってます』って返しました。江田島市の市長さんとかにもアピールしていこうと思って」

矢野「江田島も瀬戸内だし、江田島市とはすごくいい関係を築かせていただいたから、私が広報大使じゃなくなっても、沖ちゃんが魅力を発信していったら、もしかしたら(広報大使に)なれるかもね。ちなみに、『沖美町(おきみちょう)』って町があるよ」

沖「それはもう、広報大使になるしかないですね(笑)」

矢野帆夏は“第2の人生”に向けて「STU48に負けずに頑張る」と語る【写真:(C)STU】
矢野帆夏は“第2の人生”に向けて「STU48に負けずに頑張る」と語る【写真:(C)STU】

矢野の卒業後もコンビ「ぽの」は継続へ

――沖さんは、キャプテンの今村さんが今年7月の5周年コンサートで言っていた、「変わっていくSTU、変わらないSTU48」という言葉がすごく心に残っていると聞きました。

沖「私が好きだったSTU48は、選抜メンバーに磯貝(花音)さん、市岡(愛弓)さん、(薮下)楓さんたちがいて、それが自分の中でのSTU48でした。そこからメンバーが(卒業で)どんどん減っていって、(33人いた)1期生も今では12人。1~2年前はすごく悲しくて、モチベーションが下がってしまっていたんです。でも、2期生が入ってきてくれて、彼女たちはコロナ禍で握手会やライブをできない大変な状況のなか、オンライン(お話会)で人気を伸ばしたり、それは私たちの頃からしたら考えられなかったこと。新しいメンバーを見ていたら、変化するSTU48も受け入れられるようになりました。

 それを踏まえて、みちゅ(今村)さんの『変わっていくSTU、変わらないSTU、どちらも応援してください』というすごく言葉がしっくりきて。これから(2期生の15歳)迫(姫華)ちゃんがたとえば25歳になったときに、1期生、ドラフト3期生が何人いるか分からないですけど、メンバーが変わっても、STU48の本質は変わらないとうれしいなと思いました」

矢野「私もSTU48が結成されたときから5年半いて、『もっと成長したい』『変わりたい』と思ったことがきっかけで、卒業を決めた部分はあります。STU48が今以上に有名になって輝いていたら、私も負けずに頑張ろうって思うはず。グループから離れて、私もいい意味で変りたいです」

沖「ちなみに、ほのたんさんは、卒業したらどんなことをするつもりなんですか?」

矢野「卒業を決めたときは、次は何になるとか、全然決めてなかった。でも最近は、ファンの方に会ったりできる場とか、矢野帆夏を感じられる何かを作りたいなって思ってきた」

沖「おっ! いつか広島で矢野帆夏を見れるかも、ということですね」

矢野「将来の夢は広島でお店を構えること(笑)」

――最後に、矢野さんから沖さんへ託す思いがあればお願いします。

矢野「最後に沖ちゃんにお願いがある。沖ちゃんは文才があって、ワードセンスとかもすごいから、ブログかコラムで私について書いてほしい」

沖「なるほど。矢野帆夏について、ですね」

矢野「もう私について全部。最後に読みたい」

沖「分かりました。ブログとかで書かせていただきます」

矢野「『ぽの』は解散する? どうする?」

沖「『ぴの』が結成されないなら、解散はしたくないです」

矢野「今のところ、『ぴの』結成の心配は大丈夫よ」

沖「じゃあ、解散はなしで(笑)」

矢野「それぞれ別々の道を歩みながら、『ぽの』は継続ということで(笑)。沖ちゃんが何か取材を受けたときに、私の近況を伝えてもらおうかな」

沖「もしかしたら、私のYouTubeチャンネル(おきちゃんねる)とかに出るかも」

矢野「『やっほー!』って出ようかな。みなさん、楽しみにしていてください(笑)」

□矢野帆夏(やの・ほのか)1999年8月6日、広島県出身。STU48 1期生。類まれな歌唱力、人情深いキャラクター、強い責任感でグループに安心感をもたらしてきた唯一無二の存在。STU48メンバーとしての活動最終日となる9月23日をもって江田島市の初代広報大使は任期満了となるが、「これからも江田島へ足を運んでください」とメッセージを送る。

□沖侑果(おき・ゆうか)1999年12月1日、岡山県出身。STU48ドラフト3期生。シングル選抜、瀬戸内PR部隊、課外活動ユニットの「勝手に! 四国観光大使」と「MiKER!」を兼任するなど、フル稼働でグループを力強く支える。アニメキャラクター「ちいかわ」のグッズを身にまとった2期生・川又あん奈の“ちいかわまたイジリ”がマイブームの1つ。

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