第2の「カメ止め」は「メランコリック」か…マスコミ試写会で満席相次ぎ追加試写会も
芸能プロダクションも一切関与なし…面白さだけで勝負した純度100%の自主映画
製作費は昨年、映画界を席巻した「カメラを止めるな!」とほぼ同額の300万円。田中監督はこれが初の長編劇映画。殺し屋が深夜の銭湯を仕事場に使うというのが秀逸なのだが、これは後から出てきたアイデアだという。銭湯の風呂場ならば、殺しをしても後片付けが楽というわけだ。こういう言い方はどうかとも思うが、確かに理にかなっている。
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田中監督は福岡の進学校出身。同級生は弁護士や会計士になったそうで、自身のコンプレックスを主人公に仮託したそう。ロケ地になったのは殺し屋役の磯崎の自宅近くの「松の湯」(千葉・浦安)。映画の内容を伝えた上で、直接交渉をしたら、オーナーが快く貸し出してくれたというから、なんとも太っ腹。ここは同じく東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞した「ケンとカズ」(2016/小路紘史監督)でも使われたという縁起のいい銭湯でもある。
監督がサラリーマンだったため、2017年冬、金曜夜から日曜にかけて、計10日間かけて撮影。少人数で行った現場は過酷だったようで、映画祭のQ&Aでは田中監督は「僕とカメラマンはほぼ立ちっぱなしで休憩なし。撮影が終わった日は朝っぱらからステーキが食べたくなった。編集は応募の締切日の朝に終わった。書き出しに22時間かかることが分かったが、会社に行かなきゃいけなかった。無理やり映像を圧縮して、記念のつもりで応募したら、映画祭から連絡が来た」と明かしていた。
題名は「憂鬱な」という形容詞。「音の響きがなんとなく、かわいらしかったから」と田中監督。映画会社はもちろん、ワークショップ、芸能プロダクションも一切関与していない、中身の面白さだけで勝負した純度100%の自主映画「メランコリック」が大ヒットとなれば、「憂鬱な」どころか、かなり「痛快な」話だ。しかも、その匂いがプンプンしているのだ。
「メランコリック」は8月3日(土)、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、イオンシネマ港北ニュータウンほかで全国順次公開される。