仙女・橋本千紘インタビュー【後編】 GAEA復活戦で長与の愛弟子と対戦 「皆さんの想像を超える試合にする」
あくまで自分は自分 「里村さんとは同じ道を辿るつもりもない」
――彩羽選手との一戦で橋本選手は“仙女”を背負いますか? “里村明衣子”を背負いますか? それとも“個人”としての戦いになりますか?
「なんかもう全ての未来を背負いたいですね」
――全ての未来を背負う?
「自分がすべてを背負っていくんだっていう気持ちが凄くあります(笑)」
――彩羽選手に勝ったら「ぎゅん!」(橋本選手の決めポーズ)をやりますか。
「もちろん、絶対! あ、でも、自分ではやりたい気持ちがあるんですけど、その試合が終わって、何かを感じ、違うものがあれば、また違う何かが生まれるかもしれないので、そこは当日の試合が終わってみないと自分でもわからないですね」
――結果もそうだし、試合後のリング上の空気もそうですよね。
「そうですね」
――ランニングスリーをはじめ、彩羽選手は長与選手の技を使うじゃないですか。しかし橋本選手は里村選手の技を使うことはまずないですよね。
「使わないですね」
――敢えて使わない?
「敢えてというか、ひとつもやらないし、そういう意識はなかったです。里村さんになろうと思って自分はやってるわけじゃないので。そこは彩羽選手と自分は対極してますよね。考え方とかも含めて」
――彩羽選手は長与選手を継ぐところがありますが、橋本選手はまたそれとは違いますよね。
「自分は里村さんとは同じじゃないですし、同じ道を辿るつもりもないので。自分は自分という感じですね」
――橋本選手の場合は師匠の里村選手を倒すために試合をしているように感じます。
「本当に超えたいと思ってます。超えるというか、違うものになりたいかな、と」
――実際、彩羽選手を何度か倒して結果を出しています。この戦いはどんな試合になりそうですか。
「どうでしょう? この戦いは皆さんの想像を超えるような試合にしたいっていう気持ちがありますが、まだちょっと自分でも想像できないです」
――大会テーマからしても“GAEA”の名の下に戦うことにもなるわけですが。
「セミファイナルは“これぞGAEA JAPAN”の試合ですし、だけど自分たちは“GAEAイズム”という事だけでプレッシャーなんですけど、でも、そこに関してはセミを必ず超えるというか、違うものを見せて、未来につなげる、という思いはあります」
――彩羽選手との戦いでありながらも、セミファイナルとの戦いという図式もあると思います。どちらが凄い試合をするか、どちらが印象、記憶に残るか。
「確かにそうですね。まあ、記者会見でも言いましたけど、今の女子プロレス界を見て自分と彩羽選手が(セミに)食われるわけねぇだろっていう自信がありますので」
――それは頼もしいです。
「ハイ(笑)」
インタビュー・撮影協力:ホテルグレイスリー新宿
□橋本千紘(はしもと・ちひろ) 1992年7月1日生まれ。福井県坂井市出身。東京・安部学院高校では全日本選手権3位、アジアジュニア選手権67kg級優勝などの成績を収める。高校卒業後は日本大学法学部政治経済学科に進学。日大レスリング部で活躍する。大学卒業後、日本レスリング協会強化委員吉村祥子氏の紹介で里村明衣子と出会い、「センダイガールズプロレスリング」に入門。2015年10月プロデビューを果たし、現センダイガールズワールドシングルチャンピオンシップ王者として活躍中。