相次ぐ暴言暴力、自殺未遂騒動も…モラハラDVで離婚した女性が語る戦慄の夫婦生活

離婚後も父母の双方に親権を認める「共同親権」制度について、自民党法務部会はさらなる議論が必要と判断、法制審議会の中間試案決定は先送りされる見通しとなった。当事者からは反対の声も根強い同制度だが、離婚したひとり親家庭の実態とはどのようなものなのか。元夫のモラハラやDVに苦しみ6年前に離婚、東北地方で高校生の長女と中学生の次女を育てるシングルマザーのAさんに当事者のリアルを聞く。【前編】

「共同親権」制度について、2人の娘を育てるシングルマザーの実情とは(写真はイメージ)【写真:写真AC】
「共同親権」制度について、2人の娘を育てるシングルマザーの実情とは(写真はイメージ)【写真:写真AC】

元夫のモラハラやDVに苦しみ6年前に離婚、二女を育てるシングルマザーのAさん

 離婚後も父母の双方に親権を認める「共同親権」制度について、自民党法務部会はさらなる議論が必要と判断、法制審議会の中間試案決定は先送りされる見通しとなった。当事者からは反対の声も根強い同制度だが、離婚したひとり親家庭の実態とはどのようなものなのか。元夫のモラハラやDVに苦しみ6年前に離婚、東北地方で高校生の長女と中学生の次女を育てるシングルマザーのAさんに当事者のリアルを聞く。【前編】(取材・文=佐藤佑輔)

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「夫とは同い年で実家も近く、高校生のときに共通のスポーツを通じて知り合い、25歳で結婚しました。もともと少し執念深いところがありつつも私には優しかったのですが、様子が変わったのは長女を出産して一戸建てを購入してから。ちょっとしたことで怒鳴り、暴言を浴びせてくるようになったんです」

 結婚当初は共働きだったAさんだが、「家事育児に専念してほしい」という元夫の希望で長女の妊娠を機に退職。しかし、それから「誰のおかげで飯が食えてるんだ」「稼いでもいない、暇な主婦の癖に」などと、ことあるごとにののしられるようになったという。次女を出産する頃には、身体的な暴力も伴うようになっていった。

「自分が作ったみそ汁を子どもが食べなかったのが気に入らず、鍋ごと窓の外に放り投げたのを私がとがめたら、顔をぶたれたのが最初の暴力。妊娠中に階段から引きずり下ろされたこともあって、そのせいか長女と次女の間には流産も経験しています。夫は格闘技の経験者で、あざができないようにいつも押し倒すような殴られ方をしていました」

 長女が5歳、次女が1歳のときには酒に酔った状態で「海に行きたい」と言い出し、危ないからと反対したAさんは突きとばされた。けんかを止めようと間に入った長女に対して「味方をするならお前も敵だ!」と怒鳴り、1歳の次女を抱えて連れていこうとするのをAさんがもぎ取ってかばうと、後ろから何度も背中を蹴られたという。

 この件をきっかけに、Aさんは初めて行政の相談窓口に電話。元夫に「これは完全にDVで、これ以上続いたら離婚も考える」と伝えたが、暴力が止んだのは一時的だった。

「子どもたちも常に夫の顔色をうかがっていました。次第に長女が次女に暴力を振るったり、夫と同じような言葉遣いをするようになってきて、次女は顔の前にかざされたものに怯えるようになったり、強いまばたきなどのチックの症状も出てきて……。子どもたちのためにももう限界でした」

別居後には元夫の自殺未遂騒動も

 長女が小学校4年生のとき、心配をかけたくないと黙っていた実家の家族に初めて相談。元夫の不在時に貯金を全額引き出し、後日財産分与で相殺する旨の手紙と弁護士の連絡先、現金10万円のみを置いて実家へと逃げ帰った。元夫からは毎日10件以上も執拗に電話やメールがかかってきたが一切応じず、実家を訪ねてきた際には警察官の実父が追い返したという。

「メールでは『お前の都合で子どもを奪うな』と『申し訳ありませんでした』という内容が交互に来たり、かなり情緒不安定な感じでした。『1時間以内に電話がなければ死ぬ。もう練炭を用意してある』と自殺をほのめかす内容のものもあって、通報したら、消防隊が駆けつけたときにはキョトンとした顔で出てきたらしいですけど。その場で初めて夫の実家にも別居の連絡がいって、姑からは『最初に私に相談しなかったあなたが悪い』『母子家庭で育った子なんか、バカな学校でバカな男につかまって人生終わるよ』と言われました」

 元夫は頑なに離婚に同意をしなかったものの、送られてきたメールの中に、暴力の事実を認め謝罪する内容のものがあったため、それが証拠となり別居から約2年後に離婚調停が成立。当初元夫は子どもとの面会を希望していたが、第三者機関を挟んでの調停を提案すると「加害者扱いされるくらいなら会わない」と一転して拒否された。養育費は1人3万5000円、2人で7万円だったが、約1年半後に「年収が下がった」との理由で1人1万5000円への減額が申し入れられ、さらにその半年後には「新車を買い新しい彼女ができて借金もある。もう娘2人は最初からいなかったものと思っている」という連絡とともに振込は途絶えたという。

 シングルマザーとなりながらも、ようやく関係が切れたと安堵(あんど)したAさんだったが、その後成長した子どもをめぐり、再び元夫とのトラブルに巻き込まれていく。

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