中村雅俊、結婚45周年で語る妻・五十嵐淳子への感謝 夫婦円満の秘訣は「ありがとう」
俳優で歌手の中村雅俊が「坂本冬美特別公演 中村雅俊特別出演 第1部」(20日初日、東京・明治座)で舞台「いくじなし」を上演する。江戸の下谷龍泉寺の長屋を舞台に、気の強い妻・おはなと妻に頭が上がらない六助を中心とした人情と夫婦の物語。おはなを坂本冬美、六助を中村が演じる。中村はプライベートでは1977年2月に女優・五十嵐淳子と結婚して今年結婚45周年を迎えた。舞台の見どころと中村夫妻の夫婦円満の秘けつ、妻への思いを聞いた。
20日初日の明治座の公演「いくじなし」では坂本冬美と夫婦役
俳優で歌手の中村雅俊が「坂本冬美特別公演 中村雅俊特別出演 第1部」(20日初日、東京・明治座)で舞台「いくじなし」を上演する。江戸の下谷龍泉寺の長屋を舞台に、気の強い妻・おはなと妻に頭が上がらない六助を中心とした人情と夫婦の物語。おはなを坂本冬美、六助を中村が演じる。中村はプライベートでは1977年2月に女優・五十嵐淳子と結婚して今年結婚45周年を迎えた。舞台の見どころと中村夫妻の夫婦円満の秘けつ、妻への思いを聞いた。(取材・文=中野由喜)
「長屋に住んでいる夫婦の話で、仲間からは、かかあ天下と言われているようなバランスの夫婦です。2人とも仕事をしていて、おはなは、かさ張り、六助が氷水売りをして何とか生活している中、ある姉弟が同じ長屋に引っ越してきて事件が起こるという展開です。後半は人情もので、男女を助けるために六助が悪人と戦うアクションシーンもあります。基本はかかあ天下だけど、この夫婦、いいなと思ってもらえるお芝居になると思います」
夫婦と人情の物語。中村と坂本のコンビネーションも楽しみだ。
「基本はかかあ天下で尻に敷かれる設定です。面白おかしく、ああいいコンビだなと思われたら成功。見ていただきたいのは坂本さんとのコンビ。ずっと一緒にいる形ですから見ている人に『いい夫婦だね』『ほほ笑ましいね』と好印象を与えられるようにけいこを重ねたいと思います」
かかあ天下の夫婦の物語。中村夫妻のプライベートが生かされていることはあるのだろうか。
「うちはそうじゃないんです。妻は献身型というタイプなので。夫婦は100組いたら100通りあると思うので、何がいい、悪いとは言えないと思います。いずれにしろ今回の舞台ではうちの夫婦の形が役に立つか立たないかというと、立たないかもしれません(笑)」
家庭ではどんな夫なのだろうか。料理や食器を洗ったり、掃除をすることはあるのか。
「あまり人には言えませんけど何もやっていないんです。ありがたいことに家事は妻が全部やってくれています。自分の部屋の掃除は時々やりますけど」
妻の献身ぶりに驚くが、それだけ中村が愛されているということ。愛すべき夫なのだろう。
「もしかしたら不満たっぷりかもしれませんけど(笑)」
今年2月1日は結婚45周年の記念日だった。何かプレゼントしたり、お祝いの食事会など行ったのだろうか。
「うちはプレゼントとかは全くしないんです。時々、妻は『本当にあなたってプレゼントしてくれないわね』とこぼしていますけど。45周年も特に、という感じでした。諦めているというか、そういうことをしない人だと思われていると思います」
それでも45年間夫婦仲良く暮らしてきた。では夫婦円満の要因は何だろう。
「何かしてもらったときには俺は必ず『ありがとう』をちゃんと言っているタイプだと思います。日常生活の中で事あるごとに感謝の気持ちを伝えています。実は、外食に行こうと言うと妻は『いや、作るから大丈夫』と言うんです。だから外食は少ないですね。月に1回、2人でいつも行くお店があって、もう30年くらい通っていますが、それくらいでしょうか。妻は料理を作るのが好きなんですよ」
中村が妻に深く愛されている様子がうかがわれる。
「相性はいいんです。付き合い始めた頃からすごく自然でいられましたし、妻は俺がこうしたい、ああしたいと思うことをすごく分かる人。そしてすごく真面目で誠実な人です。出会って付き合い始めて1年くらいで結婚を決めましたが、まだ若いときでしたので仕事に影響するからと反対する人もいました。そういう中で結婚を決めたのは、この人なら一緒にやっていけるとお互いに思ったからです。俺は自然児でいたので、妻には分かりやすい人間だったのかもしれませんが、本当に俺が、欲しいと言わなくても必要な物を分かっていて用意してくれたりしていました。好みも分かっていて昔は洋服もよく買ってきてくれました」
念のために妻はプレゼントをくれるのか尋ねてみた。
「くれるんです。今、結構、まずいなと思いはじめました(笑)。もらうのに何もお返していない。何かしないと。このままでは亭主としては問題ありかもしれませんよね」
そこで、あらためて妻への思い聞いてみた。
「結婚して45年。付き合ってから47年。よくずっと俺に歩調を合わせて、ついてきてくれたなと思います。今さらながら感謝というか、感謝の気持ちをあらためて言うタイミングがなくて言いそびれていることがありますが、地味に『ありがとう』と言ってみたいと思います」
9月20日には妻は古希を迎える。
「何か気持ちを表すことができる物を考えたいと思います。本当に今まで何もしていなくて」
申し訳なさそうに話すが、日常の中でちょっとしたことでも感謝の気持ちをきちんと伝えている。それが妻に伝わっているからこそ45年の歳月を仲良く一緒に過ごしてこられたのだと思う。中村はもう一つ夫婦円満の秘けつを紹介してくれた。
「お互いによく観察というか、よくお互いのことを気にして見ています。今、具合が悪そうだとか、今、どうこう、ということをお互いに分かり合っているのはいいことかと思います」
最後に妻について「100点満点中100点以上です」と話した。互いを日々気遣いながら歩んだ45年。妻への愛と感謝は日々しっかり伝わっているはずだ。