【映画とプロレス #8】プロレス入場曲の代名詞「スカイ・ハイ」 元々はカンフーアクション映画の主題歌だった(前編)
プロレスの入場シーンに必要不可欠なテーマ曲。そのルーツには諸説あるが、日本に定着させたのは間違いなくミル・マスカラスだ。“千の顔を持つ男”“仮面貴族”マスカラスは、1965年にデビューし、71年2月に日本プロレスに初来日。73年10月には全日本プロレスに参戦し、ジャイアント馬場率いるリングを日本の主戦場としたのである。
映画のために制作 マスカラスによってロングヒットを果たした「スカイ・ハイ」
プロレスの入場シーンに必要不可欠なテーマ曲。そのルーツには諸説あるが、日本に定着させたのは間違いなくミル・マスカラスだ。“千の顔を持つ男”、“仮面貴族”マスカラスは、1965年にデビューし、71年2月に日本プロレスに初来日。73年10月には全日本プロレスに参戦し、ジャイアント馬場率いるリングを日本の主戦場としたのである。
入場の際に使用する「スカイ・ハイ」は、マスカラスのトレードマークとも言える楽曲となった。マスカラスの「スカイ・ハイ」をきっかけに、レスラーが入場テーマ曲に乗ってリングインすることがマット界の常識となったのだ。
「スカイ・ハイ=ミル・マスカラス」。そう断言できるほどマスカラスのイメージにバッチリハマっている曲なのだが、実際は英国のバンド、ジグソーが映画のために書き下ろしたものだった。
「スカイ・ハイ」とはマスカラスのテーマ曲である以前に、映画音楽だったのだ。その映画とは、75年製作のカンフー・アクション「スカイ・ハイ」。この曲によってジグソーは結成9年にして初の世界的ヒットを飛ばす事に成功した。香港とオーストラリア合作による映画「スカイ・ハイ」は75年7月に香港、同年8月に全米で公開され、テーマ曲の「スカイ・ハイ」はアメリカのビルボードチャートで最高3位、英国では9位。日本での映画公開は76年5月29日で、オリコンの洋楽チャートで最高2位を記録した。
マスカラスがこの曲に乗って登場するようになると、テーマ曲の「スカイ・ハイ」もロングランヒット。77年の洋楽チャートで年間1位を獲得する大ヒットとなったのである。
映画「スカイ・ハイ」の原題は「THE MAN FROM HONG KONG」。“香港から来た男”ということになるが、「スカイ・ハイ」という邦題は大当たりと言っていい。物語上は決して“主役”ではないハンググライダーアクションを前面に押し出したポスターが、映画&曲のイメージアップにも繋がった。テーマ曲は世界的にもヒットしていたが、このビジュアルがなかったらマスカラス側の目に留まっていたかどうかはわからない。