「SCOOBIE DO」コヤマシュウが振り返るデビュー当時 「歌が下手すぎて自分が最悪だった」
結成27年を迎えた4人組ロックバンドSCOOBIE DOがニューアルバム「Tough Layer」をリリースした。メンバー4人で所属事務所や音楽レーベルを立ち上げ、それぞれの役割を4人で分担しながら、年中全国を駆け回るライブバンドだ。まさにバンドマンの鑑であり、先輩後輩問わず多くのミュージシャンから愛されている。そんな唯一無二のバンドの魅力を2回にわたって紹介する。1回目はリーダー・マツキタイジロウとボーカル・コヤマシュウの創設メンバー2人にずばりSCOOBIE DOとはどんなバンドなのかあらためて聞いてみた。
どこのシーンにも属さない“はみ出し”続けるロックバンド
結成27年を迎えた4人組ロックバンドSCOOBIE DOがニューアルバム「Tough Layer」をリリースした。メンバー4人で所属事務所や音楽レーベルを立ち上げ、それぞれの役割を4人で分担しながら、年中全国を駆け回るライブバンドだ。まさにバンドマンの鑑であり、先輩後輩問わず多くのミュージシャンから愛されている。そんな唯一無二のバンドの魅力を2回にわたって紹介する。1回目はリーダー・マツキタイジロウとボーカル・コヤマシュウの創設メンバー2人にずばりSCOOBIE DOとはどんなバンドなのかあらためて聞いてみた。(取材・文=福嶋剛)
――SCOOBIE DOを作った2人は幼なじみだとお聞きしました。
コヤマ(シュウ)「幼稚園からの付き合いですね」
――とても仲の良さそうな2人に見えますが、これまでケンカしたことは?
マツキ(タイジロウ)「どうだろう? 険悪な時期もあったかもしれないですね」
コヤマ「フフフ(笑)。付き合いが長いと言っても趣味だって違いますから。でもこの年齢になっても一緒にバンドを続けられているってことは、何か1個だけでも共通する部分があるんでしょうね」
――では今回はその1個を探っていきます。最初にマツキさんにお聞きします。あらためてSCOOBIE DOというバンドとは?
マツキ「もともとSCOOBIE DOは、1960年代の黒人のリズム&ブルースや古い音楽をルーツにしてファンキーなロックを演奏するところから始まっているんです。結成当初の90年代半ばにガレージバンドのシーンがあって、その中でライブをやっていたんですが、僕たちは純粋なガレージバンドではないですし、ましてやJ-POPと呼ばれる音楽でもなかったので、結局今日までずっとどこの音楽シーンにも属さない“はみ出し続けてきたバンド”なんです。むしろ僕たちは『はみ出したままでいいじゃない』って思っていて、はみ出していることこそがSCOOBIE DOの個性だと今でも思っています」
――2人が始めたバンドは振り返れば27年。ベテランの領域に入ってきました。
マツキ「確かにキャリアを積んだなと思うんですが、毎年新人バンドのつもりで作品を作っていますし……肉体的には新人とは言い難いですけど(笑)。でもライブは今でも変わらず『絶対にここにいるお客さんを持っていってやる』みたいな気持ちは今も常に持ってやっています」
コヤマ「ライブができたら気分も晴れるし、自分も調子が良いし。バンドの寿命だってライブを1回やったら1日伸びるじゃないですか。それが今も変わらずに続いている感じですね」
――2002年にメジャーデビューして5年後に契約が終了し、当時の所属事務所も去りました。そこでメンバー4人で所属事務所と音楽レーベルを立ち上げて現在にいたります。
マツキ「結論として4人でやった方が早いよねって話になったんです。結局、僕たちはバンドが好きだからやっていて、それ以外の続ける理由はないんですよ。バンドなんて楽をしてできるものじゃないですし、むしろ大変なことばかりかもしれないけれど、バンドは辞められないんです。たぶんそれに関しては4人とも同じ意見なんじゃないかな」
――コヤマさんは、これまでSCOOBIE DO以外の場所で歌ったことがありませんよね?
コヤマ「そう。僕はSCOOBIE DOでしかバンドをやったことがないんです。だからほかのバンドとかソロ活動とか分からないし。でもやっぱりSCOOBIE DOが楽しいから。SCOOBIE DOでやるライブが好きなんですよ。また4人でライブをやりたいなっていうそのくり返しなんです」
――バンドを結成して初めてボーカルを担当したときの話をお聞きしたいです。
コヤマ「タイちゃん(=マツキ)と2人でバンドを組んで、そこに最初のドラムとベースが加わって、練習するためにリハスタに入ったんです。タイちゃんは当時からギターが上手いし、オリジナル曲もあったから、僕の中では『すごいカッコいいバンドを始めちゃったな』ってめちゃくちゃテンション上がってました。ところがリハのテープを家で聴いてみたら最悪だったんです……歌が。俺が最悪だったんですよ。『なんだこれ? クソだな!』って自分で聴いても分かるぐらい下手すぎて話にならなかったんです。『俺これからどうする?』って落ち込みましたね(笑)。そのときが一番しんどかったです」
――どうやってそれを乗り越えたんですか?
コヤマ「それはですね、やっていくうちにあんまり気にならなくなりました(笑)。あるとき、上手く歌おうがどう歌おうがコヤマシュウの声で歌ったら自然にSCOOBIE DOっぽくなるって分かったんです。それでしかない、それでいいんだなって。マツキタイジロウが作った曲を僕が歌ったら問答無用にSCOOBIE DOになる。それに気が付いたんです」
SCOOBIE DOと言えばコヤマシュウのMCが有名
――コヤマさんと言えば、お客さんの自己肯定感を高めてくれる名言連発のエモーショナルなMCが有名です。
コヤマ「もともとMCをしない、ひたすらクールに演奏を続けるモッズシーンのバンドが好きで、自分もそのスタイルがカッコいいと思っていたので、最初はMCをやってこなかったんです。けれど、2000年に『No.3』という作品を出したあたりでそのスタイルが急に変わったんですね。理由は自分でもよく分からないんですけど」
――MCの言葉とバンドの生き様が1つになっているからお客さんも自分たちの魂をバンドにぶつけられるのかなと感じる部分があります。MCの言葉は事前に考えているんですか?
コヤマ「全然。嘘のないこと、思っていることをその場で言っているだけなんです。嘘を言わないって当たり前なんですけど(笑)。本当にそれだけです」
――コヤマさん、27年を振り返ってターニングポイントを1つ挙げるとしたら?
コヤマ「今はもう笑い話なんですが、3人目のベースが辞めちゃったときかな。バンドをやる人とそうじゃない人、そこに境界線があるとしたら、僕とタイちゃんはもともと境界線を超えて始めているんです。ドラムのオカモトくん(=オカモト“MOBY”タクヤ)も僕たちの考えに共感して、その境界線を超えてきてくれた。だけどそのベーシストは違って話し合った結果辞めてしまい、それで辞めいったベースはこれで3人目になったんです。さすがに3人辞めてるので『俺たちに非があるのかな?』と考えたりもしたんですが、やっぱりバンドとして捨てられないものもあって。それでもうベースを入れるのはやめようって考えていたその頃に、ナガイケ(ジョー)が入ってきて。彼は一緒にライブをやった時点で最初から境界線をまたいでこっち側にいてくれたんです。『これだ!』と思って。あの頃は一寸先が分からない状態でしたが、そんなときに現在の4人がそろったんです」
□SCOOBIE DO(スクービー・ドゥー)1995年結成。マツキタイジロウ(ギター/リーダー)、コヤマシュウ(ボーカル)、オカモト “MOBY” タクヤ(ドラム)、ナガイケジョー(ベース)。ROCKとFUNKの最高沸点“Funk-a-lismo!”貫くサムライ四人衆。“LIVE CHAMP”の名に恥じぬその圧倒的なライブパフォーマンスと完全自主運営なインディペンデント精神があらゆる音楽ファンに熱烈な支持を受けている。2022年8月24日デビュー20周年記念/NEW ALBUM「Tough Layer」リリース。
□SCOOBIE DOオフィシャル
http://www.scoobie-do.com/