アイドル新時代へ、ブロックチェーンで“オタ活”が変わる?「握手会の熱量実現させたい」

アイドルとデジタルの新たな取り組みが始まろうとしている。株式会社オーバースが5月に新しいアイドルグループの創造を目的としたIEO(Initial Exchange Offering)の準備を開始すると発表。その取り組みに注目が集まっている。新しいアイドルはどのようなものになるのか。オーバース社長の佐藤義仁さんと副社長の澤昭人さんに話を聞いた。

インタビューに応じた佐藤義仁さん(左)と澤昭人さん【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた佐藤義仁さん(左)と澤昭人さん【写真:ENCOUNT編集部】

株式会社オーバースがIEOの準備開始を発表 社長&副社長に聞くアイドルの未来

 アイドルとデジタルの新たな取り組みが始まろうとしている。株式会社オーバースが5月に新しいアイドルグループの創造を目的としたIEO(Initial Exchange Offering)の準備を開始すると発表。その取り組みに注目が集まっている。新しいアイドルはどのようなものになるのか。オーバース社長の佐藤義仁さんと副社長の澤昭人さんに話を聞いた。

 コロナ禍、ライブや握手会などが軒並み中止となり、アイドルが苦境に立たされる中、持ち上がった今回のプロジェクト。6年以上前から構想自体はあったが、今年に入り本格始動した形だ。

「コロナでリアルな活動がもろに影響を受けています。オンラインの動画配信も出てきていますが、それはリアルな活動を前提にしたもの。やむにやまれずという側面もあったと思っています。このまま、コロナ前の活動を100パーセント復活させることはできないし、今もかなりの制約がある。新しいアイドルは、最初から“リアルとオンラインのハイブリッド”での活動となります」(佐藤さん)

 ファンにとっても、アイドルメンバーにとっても、デジタルを最大限、生かすことが佐藤さんたちの掲げる目標だ。具体的には、メンバーが卒業した時に、退職金代わりに暗号資産を付与する企画などがあるという。追跡が可能な暗号資産では、ファンが何度ライブに行ったのか、グッズの購入実績なども、わかりようになる。そうしたデータをもとに、チケットの当選確率を優遇するなどの計画もあるという。

 佐藤さんは大手証券会社に勤務していたころから、インターネット取引の導入に携わり、最近まで暗号資産を取り扱う会社の役員を務めていた。公認会計士の澤さんも、10年以上前から暗号資産に携わってきたという。

「自分たちは業界を引っ張るコアな人脈、ノウハウを持っています。しかも、2人ともアイドルが大好きなんです。好きなものと自分のノウハウを融合させて新しいものを作れるのなら、これほどのやりがいはありません。Web3の概念が浸透し始め、NFT、メタバース、ブロックチェーンなどに注目が集まる今だからこそ、新しいアイドルを作れると考えています。デジタルの新しい技術を使って、アイドルの活動領域を拡大していきたいんです」(澤さん)

AI翻訳で異言語間でコミュニケーション アバターで新しい接触の仕方

 そもそも、ブロックチェーンとは何なのか。

「簡単に言えば記録方法のひとつにすぎません。中央サーバーに記録するのではなくて、みんなが持っているパソコン上に、全員が同じデータを持っているというイメージ。中央サーバーがなくても、記録が自動的にできてしまい、しかも記録内容をみんなが見ることができる。Aさんがいつ、アイドルのメンバーを推し始めたか、何回握手会に行ったか、そうした記録を誰でも見ることができるようになる。ひとつの自慢の種にもなるし、アイドルを応援するモチベーションにもなります。これまで、ブロックチェーンというのは暗号資産など金融分野にばかり使われていましたが、これからはエンタメ分野に活用されるようになると思っています」(澤さん)

 2人は暗号資産に通じたアイドルオタクだが、アイドル運営の実務経験はない。そのため、現在、企画制作会社やレコード会社などと打ち合わせを重ねており、総合プロデューサーの候補者数人にコンタクトする予定だ。

「韓国のアイドルは世界に向けて発信するのが本当に上手です。一方で、日本のアイドルはかなりドメスティックな側面がある。そこは、ブロックチェーンや暗号資産を使って、ワールドワイドに展開できる可能性があると思っています。AI技術を使った翻訳機能を活用すれば、異言語間でコミュニケーションできて、世界中のファンが対象になってきます。アバターを使えば、新しい接触の仕方が生まれてくるでしょう。かつて握手会の現場に充満していた熱量をメタバース空間で実現できないか、模索していきます」(佐藤さん)

 来年春にはメンバー募集を開始し、秋にはお披露目し、冬にはデビューする予定だという。アイドル新時代の幕開けとなるのか。

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