「お嬢様部」って何? 謎に包まれたサークルの実態、男女問わず在籍、顧問の存在も
佐賀大学の非公認サークル「お嬢様部」。今年6月、佐賀県佐賀市でバイク集団による暴走行為の後に残されたゴミ清掃を行う姿が多くのメディアで紹介されたことで一躍話題となった。そもそも「お嬢様部」とは何なのか。佐賀大学「お嬢様部」部長に話を聞いた。
お嬢様部は「一般人が本気でお嬢様ごっこをする集まり」
佐賀大学の非公認サークル「お嬢様部」。今年6月、佐賀県佐賀市でバイク集団による暴走行為の後に残されたゴミ清掃を行う姿が多くのメディアで紹介されたことで一躍話題となった。そもそも「お嬢様部」とは何なのか。佐賀大学「お嬢様部」部長に話を聞いた。(取材・文=石井宗一朗)
「ちょっとメタ発言みたいになっちゃうんですけど、“一般人が本気でお嬢様ごっこをする集まり”みたいな感じです。大学に限らず、高校、社会人、個人、いろいろなお嬢様部がいらっしゃいますけど、大体みなさん本気でお嬢様ごっこをしてるっていう感じだと思います」
全国各地の大学や高校に存在する「お嬢様部」。“元祖”については「京都大学が最初だったと私は聞いてます」と語る。また、“お嬢様”の定義を「心がお嬢様であればお嬢様」としており、「女性より男性の方が多いのでは」と明かした。
「普段と違う口調、キャラクターになりきる部活ということもあって、男性の方がそこのギャップが大きいのでハマりやすいのかなと思っています」
佐賀大学「お嬢様部」は現在2回生の部長が1回生の冬に設立。入学間もないころ、熊本大学「お嬢様部」のツイートを見たことで「お嬢様部を創りたい」と思うようになったのがきっかけだ。ともに活動する仲間と出会い、ファミリーレストランでアカウントを作ったところから歩みが始まった。
現在の部員数は17人。男女ともに在籍している。「芸術学部の人が多いです。7人が女子で、8人が男子。あと2人は普段から女装したりしてるので、男性・女性で分けるのは難しいかなと思います。お嬢様部自体が“心がお嬢様であれば性別は関係ない”というスタンスなので、肉体的なジェンダーは意識していません。男でも女でもなく性別はお嬢様みたいな感じです」。
さまざまな活動に挑戦、直近では自作のおみこしを担いで回る
具体的な活動内容は「お嬢様言葉でのツイート」がメイン。佐賀大学「お嬢様部」では“お茶会”を定期的に開催しているが、大学によって違いもある。
「部員が1人で喫茶店で紅茶を飲み、『お茶会しました!』と写真を載せるなど、あくまでお嬢様部を演じるだけのところもあります。その一方で、大阪大学のような大手ですと、部員が40人ほどいらっしゃって、実際にお嬢様っぽい服を着て、お嬢様言葉でお茶会をされたりしていました。ほかにも顧問がついていたり、公式の部活になってるとこもありますし、学校によってさまざまですね」
他校の“お嬢様”同士が直接会って交流することも。「大学によっては、場所が近い3校が集まって、お茶菓子持ち寄り、お茶会をするようなイベントをやったりしています」。
しかしながら、佐賀大学は身近に他校の「お嬢様部」が存在しないことから、交流はオンライン上で行われる。「佐賀県内でお嬢様部があるのはおそらくうちだけで、交流が難しいんですけど、熊本大学のお嬢様方といつか会えたらと思っています。私がこの部を創設したきっかけでもあるので」。
物理的な距離の問題で他校との交流は難しいものの、現状には「満足している」と話す。これまでも本格的なケバブ作りに挑戦するなど、さまざまな活動を行ってきたが、「今回の清掃活動で見せたようなフットワークの軽さを売りに、いろいろなことに挑戦していけたら」とさらなる活動に意欲を見せた。
直近では、2週間かけ自作したおみこしを担いで回ったといい、「“暴走”とかではなく健全に盛り上がることのできる何かを作りたかった」と思いを口にした。
佐賀大学「お嬢様部」の清掃活動によって世間の注目を集めた「お嬢様部」。学校によって違いはあるものの、各々が“お嬢様”の心を持ち、活動を楽しんでいる。今後、他校との交流の形や活動内容に変化は生まれるのか、引き続き注目していきたい。