マイナスからの再起ロードに挑む DDTの「バーニングスター」遠藤哲哉が覚悟を決めた
「バーニングスター」遠藤哲哉の新章がDDT「WRESTLE PETER PAN 2022」(8月20日、東京・大田区総合体育館)で始まる。
8・20大田大会で樋口和貞に挑戦「平坦なレスラー人生なんて、面白くない
「バーニングスター」遠藤哲哉の新章がDDT「WRESTLE PETER PAN 2022」(8月20日、東京・大田区総合体育館)で始まる。
今年の遠藤はジェットコースターのようなレスラー人生を送っている。3月には竹下幸之介からDDT無差別級王座を奪取。米国遠征に旅立つ「ザ・フューチャー」竹下から、DDTの未来を託された。実際、竹下との激闘を制した遠藤の勇姿に、誰もが遠藤時代の到来を実感していた。
ところが、6月12日、ノアの中嶋勝彦の張り手にTKO負け。しかも戦闘不能に追い込まれるという大失態。佐々木大輔いわく「一生分の恥」をかいてしまった。
もちろん、遠藤自身がその恥の大きさ、責任の重さを痛感していた。ベルトを返上。1からいやゼロからの再起を目指すことになった。7月24日に復帰。8・20大田区体育館大会で現チャンピオン・樋口和貞への挑戦も決まった。「さあ、これから」というところで、今度はコロナ陽性。踏んだり蹴ったりとは、まさにこのことだろう。
10日間の自宅療養ではトレーニングもままならず、大幅なウエートダウンを覚悟した。「不安もあった。31歳の誕生日(8月11日)も一人で迎えた。でも2キロ減で済んだし、色々と考えることもできた。樋口戦のシミュレーションも嫌になるほど、繰り返した」と振り返る。
8月12日に“自宅軟禁”が明けた。8・14東京・後楽園ホール大会で、樋口とタッグ戦による前哨戦に臨んだ。期待されながら、なかなか結果を出せなかった樋口は、大器晩成そのものだった。遠藤が「自分から前に出る性格ではなかったけど、ベルトを巻いたことで自信をつけていた」と戸惑うほどだった。もともと、パワーには定評があったが、一発一発の技に熱い魂がこもっていた。
試合後に「俺たちで強いDDTを世界に広めましょう」とがっちり握手。「俺との防衛戦を最優先してくれた樋口にも応えたい」と、遠藤は全身で樋口の男気を感じ取っていた。
いまや難敵どころか、新たなDDTの顔に王手をかけている樋口を叩き潰すことが、樋口、そして温かい目で見守ってくれたDDTファンへの恩返しとなる。「平坦なレスラー人生なんて、面白くない。山あり谷あり、というか俺の場合、谷底を突き抜けて地球の裏側、地獄の底まで落ちたから。這い上がりがいがあるというもの」と、開き直れた男は強い。
カブトムシの飼育など、昆虫博士としても知られているが、今では専門店に個人ブースを設けてもらえるなど、もはやプロ。「プロレスラー・遠藤哲哉が飼育した大きくて強いブランド」を目論んでいる。「エンテツ」「バーニング」「テツヤ」など新ブランド名を募集中だという。「こちらの世界でも有名になるためにも、遠藤哲哉をDDTを世界に広げていかないと」と目を輝かせる。
アップ、ダウンがあってこそのレスラー人生。すべてをリングに反映させる。ピンチはチャンス。8・20大田大会からスタートする遠藤のレスラー人生「新章・大恥からの脱出編」が楽しみだ。