「雪蟹」エロチックな原作コミックを文学的に 女性Pが明かす2か月間ロケの舞台裏

ジャニーズWESTの重岡大毅が主演するテレビ東京のドラマ24「雪女と蟹を食う」(毎週金曜、深夜0時12分)は、冤罪により人生が狂い自殺を決意した男と、雪女を彷彿(ほうふつ)とさせる謎多きセレブ妻(入山法子)の二人旅を描く物語。原作コミックのよさを受け継ぎつつ、文学的にアプローチし、作品の評価を高めている。現場を仕切った制作会社「DASH」の勝俣円プロデューサーが、その舞台ウラを明かす。

「雪女と蟹を食う」を担当する勝俣円プロデューサー
「雪女と蟹を食う」を担当する勝俣円プロデューサー

勝俣円プロデューサーに聞く見どころ「ラブ・サスペンス・グルメ・旅、ファッション」

 ジャニーズWESTの重岡大毅が主演するテレビ東京のドラマ24「雪女と蟹を食う」(毎週金曜、深夜0時12分)は、冤罪により人生が狂い自殺を決意した男と、雪女を彷彿(ほうふつ)とさせる謎多きセレブ妻(入山法子)の二人旅を描く物語。原作コミックのよさを受け継ぎつつ、文学的にアプローチし、作品の評価を高めている。現場を仕切った制作会社「DASH」の勝俣円プロデューサーが、その舞台ウラを明かす。(取材・文=平辻哲也)

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「雪蟹」は生と死、男と女、死と欲望がないまぜになって、走り出すロードムービー的な作品。ドラマではNetflix「全裸監督」(2019年)や日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した「ミッドナイトスワン」(20年)の内田英治氏がメイン監督を務め、「喝風太郎!!」の柴田啓佑氏、「ぜんぶ、ボクのせい」(公開中)の松本優作氏の2人の新鋭が演出を手掛けている。

 原作コミックはエロチックな描写が特徴。勝俣プロデューサーは「原作を読んだときは、作者は男性と思ったのですが、20代の女性だと知り、驚きました。ますます面白く感じられ、裏にある作者の強い信念を感じました。監督たちや制作陣も、キャラクターをより人間らしく描けるかを考えてやっていきました」と話す。

 描写は文学的に変換され、せりふにも磨きをかけた。メイン監督の内田氏がイメージしたのは、日本占領下の上海を舞台にしたラブ・サスペンスの中国映画「ラスト、コーション」(2007年、アン・リー監督)、「ROMA/ローマ」で米アカデミー賞を受賞したアルフォンソ・キュアロン監督がメキシコ時代に撮った男2人女1人が美しいビーチを目指すロードムービー「天国の口、終りの楽園。」だという。

 ドラマ化にあたっては、原作にはない編集者・巡健人(淵上泰史)を加え、ヒロインの彩女に絡ませて、その人物像が浮かび上がるようにした。「彩女はあまり表情に出さず、何考えているか分からないところがあるのですが、巡と接することで、自分の北に対する感情に気づいたり、人間味が感じられる演出ができたと思っています」。

 4月11日から6月9日まで各地のフィルムコミッションや地元の方々などの協力を得て、中禅寺湖から北海道までのロケを敢行。多忙な重岡は別スケジュールもあって、ロケ地と都内を何度も往復。主役不在の間は、別シーンをこなした。

「原作の出発点だった愛知を東京に変えさせてもらっていますが、北海道までの道のりは、できる限り原作に沿って作っています。クランクイン当初はとても寒くて、スタッフは追加で洋服を買いに行ったりすることもあったのですが、6月はだいぶ気候も暖かくなって、夏でもないのに、土地特有のセミ(エゾハルゼミ)がずっと鳴いているのがすごい印象に残っています」と振り返る。

北海道ロケでは原作のGino0808さんも激励に「とても良い関係ができた」

 北海道ロケでは、原作のGino0808さんも激励に。「原作を大事にしながら、俳優のみなさんが本当に大切に演じてくれていると喜んでいただけました。SNSでもすごく応援してくださり、とても良い関係ができているんじゃないかと思います」と原作者の太鼓判に、制作陣も手応えを感じている。

 最後に、プロデューサーから見たドラマの見どころを聞いた。「もちろん、ラブ・サスペンス・グルメ・旅ですが、あえて外して言うと、ファッションです。特に注目してほしいのは、北さんが着るTシャツ。北さんは死ぬつもりだったんで、洋服も持っていなくて、土地土地の土産物屋さんでTシャツを買う設定になっています。いちいち面白いプリントのTシャツを着て、シリアスなシーンでも味を出してくれています。また、彩女さんも心情の変化とともに、洋服や色が変わっていきますので注目してほしいです」。北は最新回では、どんなTシャツを見せるのか。

□勝俣円(かつまた・まどか)1978年、山梨県生まれ。映画、ドラマ、子ども番組、テレビCM、MVなど、ジャンルにとらわれることなく、数々の映像をプロデュース。初めて製作した映画「SHELL and JOINT」は、ロッテルダム国際映画祭など世界的権威のある映画祭で上映された。テレビ番組「しまじろうのわお!」では、アジア最大のコンテンツアワードであるアジアテレビ賞で、最優秀賞を受賞。国際エミー賞にもノミネートされている。テレビCMではサントリーなどのメジャークライアントのCMを手掛け、カンヌライオンズを始め、数々の広告祭で受賞している。サントリー「ほろよい」では2022年度ギャラクシー賞CM部門大賞受賞。ドラマは「雪女と蟹を食う」が初プロデュース。

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