ガンバ大阪ユース出身の元プロ志望が俳優に転身 今注目のセクシーな38歳バイブレーヤーの野望
今クールテレビ東京の2つのドラマに出演しているのが、セクシーなバイプレーヤー、淵上泰史(38)だ。松本若菜主演「復讐の未亡人」(毎週木曜、深夜2時35分)では復讐に手を貸す探偵、重岡大毅主演の「雪女と蟹を食う」(毎週金曜、深夜0時12分)では、原作にはないオリジナルキャラクターを演じている。川崎フロンターレの家長昭博選手はガンバ大阪ユース時代のチームメイト。Jリーガーの夢を諦め、俳優に転身した淵上の野望とは?
淵上泰史インタビュー、「雪女と蟹を食う」で原作にないオリジナルキャラクター演じる
今クールテレビ東京の2つのドラマに出演しているのが、セクシーなバイプレーヤー、淵上泰史(38)だ。松本若菜主演「復讐の未亡人」(毎週木曜、深夜2時35分)では復讐に手を貸す探偵、重岡大毅主演の「雪女と蟹を食う」(毎週金曜、深夜0時12分)では、原作にはないオリジナルキャラクターを演じている。川崎フロンターレの家長昭博選手はガンバ大阪ユース時代のチームメイト。Jリーガーの夢を諦め、俳優に転身した淵上の野望とは?(取材・文=平辻哲也)
映画やドラマでバイプレーヤーとして活躍する淵上。テレ東系7月期ドラマでは、自身初となる2つの連続ドラマに顔を出す。「マネジャーが頑張ってくれました。こういうことは初めてだと思います。僕はどちらかというと、映画の方が多いので、ドラマで2作同時に出られたこともよかったです」。
「雪蟹」は、死を決意した青年・北(重岡)と人妻・彩女(入山法子)がふとしたことから蟹を食べるために北海道へ旅する物語。淵上は、ヒロインの夫の作家・雪枝一騎(勝村政信)の担当編集者、巡健人。「彩女をちょっと誘惑するようなシーンもあったり、雪枝に対しては、小説家としての才能も信じていて、バックアップしたいという気持ちもある熱い男なんです。でも、演じた後も、彼は何をしたかったのか、分からない。僕の中では一番怖い役でした」と告白する。
演出を務める内田英治監督とは、初主演映画「ダブルミンツ」(2017年)以来のタッグ。「内田監督の作るドラマは初めてだったので、初日は緊張しました。原作にない役だったので、自由にやりましたが、作家の妻と食事に行ったり、誘惑するなんて、大胆だな、と。内田監督から特に説明はなかったけど、巡自身も分かってないんじゃないかな。衝動的というか、何か導き出そうとしたのか」。シーンとしては北海道だが、実際のロケは都内で。「僕だけ北海道に行けなかったんですよ。みんなは北海道に行けていいなと思いました」と笑い。
同時期の連ドラにダブルで出演するのは快挙だが、淵上の夢は主演だ。「実質、ダブル主演ですが『ダブルミンツ』と舞台『ア・フュー・グッドメン』(2015年)だけ。だからと言って、視聴率を取れるのか、動員をかけられるのか、と自分でも思っていますから、今はまだ途中段階。今回のようにキャスティングに入って、一つ一つの作品で結果や信頼を勝ち取っていかなきゃいけない」と話す。
名門・ガンバ大阪ユースに入団 2つ年下に現・川崎フロンターレの家長昭博選手
今では、俳優として明確なビジョンを持っているが、もともと芸能界に入ることは考えていなかった。10代の夢はプロサッカー選手。サイドハーフを中心にボランチやサイドバック、小中学時代はフォワードもこなしたユーティリティー・プレーヤー。名門・ガンバ大阪ユースには9期生として入団。2つ年下には現・川崎フロンターレのエース、家長昭博選手がいる。
「17歳のときに進路のことでフロントに呼ばれ、大学サッカーか、社会人サッカーか、辞めるかの三択を迫られたんです。そこで、もうプロにはなれないという厳しい現実を突きつけられたんですけど、僕は大学でもう一度プロを目指そうと、流通経済大学(茨城県龍ケ崎市キャンパス)に行ったんです。服が好きだったんで、休みの日に茨城から2時間かけて都内に出かけていたんですが、ある事務所の方に声をかけていただいたことが役者になるきっかけになったんです」。
それでも、当初は俳優になる気はなかった。「その頃は結構、生意気っていうのもあったと思いますが、映画は好きだったんですが、自分が芝居をするのは気持ち悪い、恥ずかしいという思いしかなかったんです。でも、声をかけられたわけで、その後はいろいろあって、その人を見返したいなという思いもあったんです」と振り返る。
19歳のときには世界的な米写真家ブルース・ウェーバー氏の被写体になり、20代は下積みを経験。2013年にGoogleのCMで新米教師役が話題になり、その後は「昼顔」や「ファースト・クラス」などの話題作に出演する。
サッカーでの経験が俳優に生かされた部分はあるか。「プロになれなかった挫折があったので、役者を志したときは映画に出たいという一心でした。自分は何やっているんだろうという思いもあったし、親も一切何も言わないで接してくれました。だから、なんとしても生活できるぐらいにはならないと、と思っていました。負けず嫌いな僕の性格ではあるんですけど、そういうメンタルの部分はサッカーで培われたかな」。
ガンバ大阪ユース時代のチームメイトとはいまだに交流が続いている。「僕が声をかけてLINEグループ作ったりしました。この間は1期生の宮本恒靖さんと一緒にお食事しましたし、アキ(家長)はたまにご飯に行ったり、珈琲を飲みに行ったり、試合も見ていますね」。
昨今、一層光り輝いている家長の活躍には「アキがもともと持っていた実力があるから、あの年齢でも点を取ったり、活躍できる。仕事は違えども、刺激をもらいますし、頼もしい後輩です。僕も役者をやっている以上、単独主演を取っていきたい。そうならないと、役者をやっている意味もない。それくらいの気持ちでいますね」。38歳のバイプレーヤーは、自身の定めたゴールを目指す。
□淵上泰史(ふちかみ・やすし)1984年4月30日、和歌山県出身。2011年「軽蔑」(廣木隆一監督)でデビュー。17年「ダブルミンツ」(内田英治監督)、21年「燃えよ剣」(原田眞人監督)他、今後も公開作品などが控えている。