三遊亭円楽、「笑点」に75歳定年制を 「代わりはいくらでもいる」と落語界活性化に意欲
7か月ぶりだった。脳梗塞からの復帰を印象付ける落語家の三遊亭円楽(72)の高座。その後、メディアの囲み取材に応じたが、車いすを弟子に押されて登場した円楽は、記者やカメラマンの多さに「錦糸町(=ラブホ不倫の釈明会見)以来だな」とニヤリ。脳に致命的なダメージが残らなかったことは、落語家として助かった。円楽を失わずに済んだ落語界にとっても助かったと言える。
大名跡円生が野ざらしになっている「どさくさでもいい」と襲名に意欲
7か月ぶりだった。脳梗塞からの復帰を印象付ける落語家の三遊亭円楽(72)の高座。
その後、メディアの囲み取材に応じたが、車いすを弟子に押されて登場した円楽は、記者やカメラマンの多さに「錦糸町(=ラブホ不倫の釈明会見)以来だな」とニヤリ。脳に致命的なダメージが残らなかったことは、落語家として助かった。円楽を失わずに済んだ落語界にとっても助かったと言える。
囲み取材では、5つのことを確認したかった。
落語家としての本人の今後、落語会プロデューサーとしての今後、落語業界の行方、「笑点」の問題点、病気前から意欲を示していた大名跡・三遊亭円生の襲名について、だ。
落語家としての自身の未来像については「体調は、まあいいね」と明かし、食欲もあり、「ビールを飲むとうめえんだ」と体力回復が順調であることを言外ににわせる。
「ありがてぇなって思ったのは長期記憶で、昔覚えた落語は覚えているんだよ。これはすげえなって思った。これからやれるかな」と、落語家として自身を再生することに自信を示した。
患う前、円楽は北海道、九州、東京で大きな落語祭りを開催するなど、落語業界の接着剤としての役割を果たしてきた。
4派に分かれている東京の落語界、東京の大阪の落語界を束ねたい構想を持ち、それは今も変わらない。
「演芸プロデューサー、演芸コーディネーターとして落語にかかわりたい」と、落語家以外での働き方をあきらめない。
落語界のさらなる活性化については「統一協会!」ときわどく解答した。その心は「落語協会や落語芸術協会、上方落語協会を一緒にすること。そうすればお客さんが喜ぶ魅力的な番組(=プログラム)を作ることができる)と、持論を展開した。
レギュラー出演する日テレ系演芸番組「笑点」については、「率直(に言って)でいいのかい?」と断りつつ、「定年制があればいい。75歳定年制。大変換のとき、(桂)宮治が入ってきた。代わりはいくらでもいるんだよ。しがみついているんだよ、みんな。俺もそうだけど」と新陳代謝の必要性をストレートに提唱した。
円生襲名については「ぼろぼろになって、一度継いでいいよってみんなが言ってくれたら、世の中に1回出したいんだ、円生の名前。忘れられちゃう」と危機感をもらした。
「名跡はその一門のだから。三遊亭の本流は円生一門」と、自分たちの一門以外での襲名の可能性を遮断し、「やらしてくれるんならやるけど、お前じゃないって言われたら、この人がっていう人が出てくるまでのつなぎでいい。どさくさでもいい。名前が今、野ざらしになっている。もったいないよね」としんみり伝えた。
(演芸評論家/エンタメライター・渡邉寧久)