トヨタ86が水没の悲劇…それでも「何があっても諦めない」 21歳オーナーに聞いた一部始終

もし冠水被害で自慢の愛車が水没していたら――。そんな体験をした「トヨタ86」オーナーがいる。大雨によってホイールの約半分までが水に漬かったものの、エンジン系統と電装系は無事で、エンジンはしっかり発動。一時は「終わった」と絶望した“九死に一生”の一部始終を明かした。

大雨で浸水被害を受けた時の花見さんのトヨタ86【写真:花見さん(@Rqilgun86)提供】
大雨で浸水被害を受けた時の花見さんのトヨタ86【写真:花見さん(@Rqilgun86)提供】

2012年式「TOYOTA86 ZN6 前期AT GTグレード」 157万円で購入

 もし冠水被害で自慢の愛車が水没していたら――。そんな体験をした「トヨタ86」オーナーがいる。大雨によってホイールの約半分までが水に漬かったものの、エンジン系統と電装系は無事で、エンジンはしっかり発動。一時は「終わった」と絶望した“九死に一生”の一部始終を明かした。

 今回、ENCOUNT編集部の取材に答えてくれたのは、新潟市に住む会社員の花見さん(21)=ツイッター @Rqilgun86=。愛車の2012年式「TOYOTA86 ZN6 前期AT GTグレード」が、8月4日朝に大雨による水没被害を受けた。

 当日の雨の状況は、「近所の方や家族からの情報では朝8時ごろは冠水は起きていなかったという話でしたが、約30分で冠水するほどの強い雨でした」という。心配になって屋外の駐車場に止めていた愛車のもとに向かうと、周囲は水浸しに。すかさず動画を撮影。降りしきる雨の中で愛車を映し、「もう最悪。車の中に水が入ってる。終わった」と叫ぶ、リアルな嘆きが収められている。

 花見さんは「水没している車を見た時は何が起きているのか全然分からず、『終わった』ということしか頭にありませんでした。しばらくして動画を撮りながら車の周りでずっと『終わった』と言いながら車の様子を見ていました」と、当時を振り返った。ショック状態だったという。

 実際に浸水被害は出たが、肝心のエンジン系統は無事だった。「水が引いた後に調べたところ、シートやマットに加えて、ナビやスピーカーも浸水被害を受けていました。でも、エンジンがかかった時は涙が出そうなほどうれしかったです。その時友人が助けに来ていてくれて、思わずハイタッチをしました」。自走できないなどの被害はなく、不幸中の幸いだった。

 このライトニングレッドの車体カラーがクールな86は、2020年4月に157万円で購入した。そもそも86オーナーになった理由は、「単純に小学生の頃からの憧れだったからです。18歳の時に免許を取り、19歳の時に憧れだった86を購入しました」。手に入れる際には父親と話し合ったといい、「購入する前には父親に全力で頭を下げてローンを組んでくださいと頼み込みましたね。父親も車が好きなので気持ちを分かってくれたのか、購入を許してくれました」とのことだ。86の好きなところは、「なんと言ってもかっこよさです! ずばり曲線美ですね。フロント、サイド、リア、全てがかっこいいです」。すっかりほれ込んでいる。

 今回ツイッターで被害状況を発信したのには、しっかりとした理由がある。「こんなに浸水してる車でも廃車になってないと、同じような被害に遭われた方に希望を持ってもらいたかったからです」と実直な思いを明かした。

 現在、少しずつ86の修復に取り組み、“完全復活”に向けて整備を進めている。もともと86のサーキット仕様のカスタムを目指していただけに、「今後全ての問題が片付いたら、86の性能を上げていけるカスタムをしていきたいと思います。見た目のカスタムもしたいのですが、サーキットで速く走るのにかっこよさは二の次だと思うからです」。“走り”を重視してレベルアップを重ねていく考えだ。

 不運を乗り越えようとしている花見さんは「86以外に乗りたい車はないです。86一筋でいきたいです! それに、86完全復活に向けて何があっても諦めない精神で取り組んでいきたいと思っています」と力強く前を見据えている。

次のページへ (2/3) 【動画】トヨタ86が水没した衝撃の映像
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