「天気の子」の醍醐虎汰朗、実写映画初主演は丸刈り球児役「僕の記憶に一生残り続ける」

新海誠監督のアニメ映画「天気の子」(2019年)で主人公の声を務めた醍醐虎汰朗(21)が実写映画初主演を果たした。“野球小僧漫画家”クロマツテツロウの人気コミックを原作にした「野球部に花束を」(8月11日公開、飯塚健監督)で、野球部に青春のすべてを捧げるキャッチャーを演じる。

「野球部に花束を」で映画初出演を務める醍醐虎汰朗【写真:舛元清香】
「野球部に花束を」で映画初出演を務める醍醐虎汰朗【写真:舛元清香】

映画「野球部に花束を」でキャッチャー演じる「丸刈りは中学以来です」

 新海誠監督のアニメ映画「天気の子」(2019年)で主人公の声を務めた醍醐虎汰朗(21)が実写映画初主演を果たした。“野球小僧漫画家”クロマツテツロウの人気コミックを原作にした「野球部に花束を」(8月11日公開、飯塚健監督)で、野球部に青春のすべてを捧げるキャッチャーを演じる。(取材・文=平辻哲也)

 第47回菊田一夫演劇賞を受賞した舞台「千と千尋の神隠し」でのハク役でも好評を博した醍醐。同作は、甲子園にははるか届かず強くはない、けど別に弱小でもない公立高校を舞台に、先輩からの時に理不尽な指導を受けながらも、野球部に青春のすべてを捧げる球児たちの苦悩と成長を描く物語。劇中では、茶髪に伸ばした髪をバリカンで丸刈りにする場面もある。

「丸刈りは中学以来です。刈った時は思ったより痛くて、びっくりしました。撮影の本番一発でやらなきゃいけないから、刈る人もちょっと緊張していたんだと思います。毛が絡まっているのに、そのままブチブチといくんですよ。2日間くらいは慣れなくて、鏡を見ても『誰だろう、この人は?』という感覚でしたね。ただ髪を洗うのは体感2、3分で終わっちゃうので、楽でした」と笑う。

 中学時代はサッカー部でボランチとして活躍したが、野球は未経験。野球部の資料映像などを見て、撮影前には数日間、特訓も受けた。「正しい投げ方、バッティング、ノックを受けました。キャッチングの練習はまったく捕れる気がしなくて、めちゃめちゃ怖かった。でも、根性で負けたくないと思って、必死で球を受けていました」。

 撮影で大変だったのはノックを受けるシーン。「あのシーンは倒れたらカットだったので、ガチです。最終的に本当にバテるまで追い込んだので、出演者は全員、満身創痍でしたね。心の底から倒れそうな感じの表情を多分切り取ってもらったので、思い入れがあります。本当に限界まで追い込まれました」。

 国民的大ヒット作のアニメでは主演したが、実写では初主演。「現場での居方もこれまでと一緒じゃいけないと思いました。でも、今までは役者として演じる上での準備や芝居を磨くことはやってきても、現場でのあり方について深く考えたことがなかったので、監督に相談させてもらいました。飯塚さんは『じゃあ、俺が面倒見てやるよ』といろいろと教えてくださった。オブラートに包まないで言う体育会系の方だったので、それがかえって気持ち良かったんですね」。

 ストーリーが体育会系なら、現場も体育会系。自身も厳しさに身を置いた。「撮影したのは真冬だったんです。撮影が終わったら、速攻でベンチコートを着るような寒さでしたが、現場では椅子に座らないで過ごしました。この姿勢は、若いうちはしばらく変えないでやっていきたいなと思っています」。

今後について「格闘技系の作品にも挑戦したい」と意欲を見せた【写真:舛元清香】
今後について「格闘技系の作品にも挑戦したい」と意欲を見せた【写真:舛元清香】

「僕の記憶に一生残り続ける作品」 次は「ボクシングを題材にした作品にも挑戦したい」

 一方、撮影が終わってからは、丸刈りで少し恥ずかしい思いもした。「この映画の撮影中は野球部のみんなと混じっていたから、気にならなかったんですけども、町を歩くと、丸刈りの人はあまりいないんで、ずっとニット帽をかぶっていました(笑)」というのは21歳の若者らしい。

 初主演映画には思い入れも強い。「僕の記憶に一生残り続ける作品です。初主演映画が、コメディーチックな作品で本当によかった。幸せだなと思っています。体育会系ならではの、理不尽な環境に置かれて、部活ならではの、あるある体験が描かれているので、共感しながらも笑える。ただ、気になるのは女性にどう映るのか。男の子って、こんな感じなんだと思ってくれたら」と話す。

 2017年に自転車ロードレースを描く舞台「弱虫ペダル」の主役・小野田坂道役でデビューし、今年5年目。「まだスタートラインですけど、今までやってきて、初主演まで行けたっていうのは、うれしいです。これをきっかけにこれからすごい道が広がっていったらいいなっていう希望も持っているので、この先がすごい楽しみなんです」と声を弾ませる。

 代表作は「弱虫ペダル」、バレーボールを題材にした舞台「ハイキュー!!」とスポーツものが多いが、自身も体を動かすことが大好きで、ジム通いは欠かせない。「今後は格闘技系、ボクシングを題材にした作品にも挑戦してみたい」。次のスポーツは何が待っているのか。

□醍醐虎汰朗(だいご・こたろう)2000年9月1日、東京都出身。17年、舞台「『弱虫ペダル』新インターハイ篇~スタートライン」の一般公募オーディションで主演・小野田坂道役に抜てきされ俳優デビュー。「天気の子」(19)で主人公・森嶋帆高役(声の出演)に選ばれ一躍注目を浴びる。同作で第14回声優アワード新人男優賞を受賞。2.5次元舞台での活動を皮切りに、映画・ドラマ・MVなど数々の作品に出演。舞台「千と千尋の神隠し」(ハク役)でも好評を博した。主な出演作にはドラマ「スイッチ」(20)、「バイプレイヤーズ~ 名脇役の森の100日間~」(21)、「未来世紀SHIBUYA」(21)、映画「#ハンド全力」(20)、映画「宇宙でいちばんあかるい屋根」(20)、「昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-『BLUE BIRD』」(21)、舞台「弱虫ペダル」シリーズ(17・18)、「ハイキュー!!」シリーズ 主演 日向翔陽役(19・20・21)など。

2022年度後期 NHK連続テレビ小説
「舞いあがれ!」出演
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=34931

映画「カラダ探し」浦西翔太役で出演、10月14日公開
公式HP https://wwws.warnerbros.co.jp/karadasagashijp/

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