瀬戸康史、受け身だった20代前半 一から作る楽しさに目覚め、俳優が面白くなった

俳優の瀬戸康史(34)は大手芸能事務所ワタナベエンターテインメントが主催する「第2回D-BOYSオーディション」出身。芸能界入りは自身の意志ではなく、母親がオーディションに応募したのがきっかけだった。最初はやらされている感が強かったそうで、次第に俳優という仕事の面白さに目覚めたという。ターニングポイントになった作品とは?

芸能活動17年の瀬戸康史【写真:荒川祐史】
芸能活動17年の瀬戸康史【写真:荒川祐史】

ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出の舞台「世界は笑う」

 俳優の瀬戸康史(34)は大手芸能事務所ワタナベエンターテインメントが主催する「第2回D-BOYSオーディション」出身。芸能界入りは自身の意志ではなく、母親がオーディションに応募したのがきっかけだった。最初はやらされている感が強かったそうで、次第に俳優という仕事の面白さに目覚めたという。ターニングポイントになった作品とは?(取材・文=平辻哲也)

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 瀬戸は今年、芸能活動17年。年齢的にもキャリア的にも中堅に当たる。「最初のうちは何もわからず、やらされている感が強かったんです。芝居もやったことないし、現場も初めて。そこでは、もうめちゃくちゃ怒られたんです。でも、なぜ怒られているのかが分からない。理不尽だなと思っていました」。

 転機になったのは、20代後半。作品的にはフジテレビ系「TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~」(2012年)や舞台「マーキュリー・ファー」(15年)だという。

「仮面ライダーをやっていた頃も、楽しさ、やりがいみたいなのは感じていましたが、受身だったんです。事務所から、決まった仕事をもらって、言われたことをやる。始まる前に監督さんとちゃんと話すようになったのは、この作品以降ですね。一から作って、作品の一部になっている感じが徐々に徐々に出てきた。それは自分の中で余裕が出てきたっていうところでもあると思う。今は自分が興味を持ったことだけをやっている作品をやらせていただくことが多いです。この監督とやったことないから、挑戦しようとか、自分が演じている姿が想像できないからやってみたいとか、その時々でちょっと選び方は違うんですけど、でも、自分が絶対に楽しめるなっていうものを選んでいます」

 目下、ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出の舞台「世界は笑う」(8月7日~28日、Bunkamura シアターコクーン)の稽古が続いている。

「ケラさんとの仕事は面白いです。知らない僕を見つけてくれる。今回は3回目なんですが、毎回そう思います。映像では表現できないようなものがあって、ケラさんの舞台をやった後は周りの評価も全然違うんです。今まで僕に目もくれなかった人が『すごいですね』って。あからさまに違うんです。自分の引き出しみたいなものも何か変わってくるんで、ケラさんの作品は僕のベストアクトかもしれない」

女優・瀬戸さおりの実の兄でもある瀬戸康史【写真:荒川祐史】
女優・瀬戸さおりの実の兄でもある瀬戸康史【写真:荒川祐史】

妹の瀬戸さおりも女優として活躍「彼女の芝居は今でも客観的に見られない」

 同舞台は昭和30年代の新宿を舞台に、笑いに魅せられ、笑いにとりつかれた人々の姿を描く。

「ケラさんはある程度、役者のことを知った上で、本を書いていくんです。だから、結末は知らない。1日数ページずつできてくるので、ワクワクしながら待っています。現場に入ってから、双子だったことがわかることもある。準備はできないので、その場でその場で走っていく感覚。毎回、真剣勝負で、もうめちゃくちゃ楽しいです」

 妹の瀬戸さおり(32)も同じ事務所に所属し、女優として活躍中だ。美容師だったが、芸能界への入り口を開いたのは瀬戸康史だった。「俺は『厳しいよ』とは言いました。彼女の芝居は今でも客観的に見られない、評価できないんです。でも、演出家の方やベテランの役者さんが、『妹さんめちゃくちゃよかったよ』って言ってくれるので安心しています」。

 福岡県にいる親とはあまり連絡は取り合っておらず、仕事で博多に行った時も実家までは帰らない。「博多から1時間半くらいかかるので(笑)。ただ、あのドラマを見て泣いたらしいという情報は妹から来ます。やっぱり女性同士の方が話が弾むんでしょうね」と笑い。

 目標は生涯俳優だ。「言葉で言うのはめちゃくちゃ簡単なんですけど、いろんな状況で辞めていった人を何人も見てきていますので、難しいんだなと思うんです。俳優は安定していないし、定年もない分、一生やることができるので、一生続けられたらと思っています」。10代の夢だった獣医は演じたことはないそうだが、いずれ叶うこともあるだろう。

□瀬戸康史(せと・こうじ)1988年5月18日、福岡県出身。2005年に俳優デビュー。主な近作はドラマ「透明なゆりかご」(18)、NHK連続テレビ小説「まんぷく」(18)、「デジタル・タトゥー」(19)、「私の家政夫ナギサさん」(20)、主演「男コピーライター、育休をとる。」(21)、映画「事故物件 怖い間取り」(20)、「劇場版 ルパンの娘」(21)、「コンフィデンスマンJP 英雄編」「愛なのに」(22)。舞台「陥没」(17)、「ドクター・ホフマンのサナトリウム」(19)、ミュージカル「日本の歴史」(21)、主演「彼女を笑う人がいても」(22)など。現在NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に北条時房役で出演中。

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