ライセンス「ネガティブなことばかりじゃない」 コロナ禍で変化したエンタメの在り方
8月14日から全国6か所で漫才ツアーを行うお笑いコンビ「ライセンス」。結成から26年、お互いに別のフィールドでも活躍を広げる中、どのようにネタ合わせを行っているのか、話を聞いた。
2年連続開催となる漫才ツアー
8月14日から全国6か所で漫才ツアーを行うお笑いコンビ「ライセンス」。結成から26年、お互いに別のフィールドでも活躍を広げる中、どのようにネタ合わせを行っているのか、話を聞いた。(取材・文=島田将斗)
「コロナでエンタメのあり方も変わってきている」(井本貴史)。藤原一裕はYouTube、井本はオンラインサロンで情報を発信する。パンデミックでオンライン上で活動の場を広げる芸能人は増えた。その一方で新型コロナウイルス感染拡大とエンタメ活動の両立で悩む業界人が多い中、2人は意外にもポジティブな捉え方をしていた。
「新型コロナ禍で唯一、便利になったのかなと思うのがオンライン会議。今までだったら午前中に誘いづらかったのが、声をかけやすい。午前中の方がネタを作るのに効率いいし、むしろコロナ前よりやりやすいですね」(藤原)
昨年の漫才ツアーに引き続き、2年連続での開催だ。「劇場(出番)の合間とかに時間取りやすいところで、打ち合わせって感じですかね。僕ら元々、稽古をそんなにしないので2回ぐらいやったら本番行くんじゃないすか」(井本)と語った。
急速に普及したオンライン会議。なかなか対応できない人も多かったが、ライセンスは違った。「ネタ合わせになるとしんどいと思うんですけれど、2年前よりタイムラグが解消されている気もしますし! つらさはなくてマジで便利。今後、もし感染症なくなっても正直これで行かせてほしい」とうなずいた。それでも「空気感が伝わらないから今までよりも2、3個言葉を足してるかもしれないです。丁寧に説明しているかもしれない」(藤原)と明かした。
公演時間はいずれも60分以上となるが、「ほんまはもっと長い」(井本)と口にした。そこにはさまざまな事情があった。
「おそらく単独って90分以上120分未満の感じだと思うんですけれど、60分でやっていることが珍しい。完全に年齢からくる集中力の切れがあるので(笑)。60分ぐらいでスケジュールを詰めてではなく、各都市ゆっくり回れたらいいな」(藤原)
「あとまぁコロナもありますけれどね。60分以上やったら休憩を挟まなきゃダメなので。休憩後にそこからもう1回ってなるのも大変やから。というのを建前に体力的に楽です」(井本)
新型コロナウイルス禍で変わった公演の時間。それでも2人は「集中するし、お客さんも楽だと思います」(井本)、「中だるみが解消されますね」(藤原)と明るく受け止めた。
今回のツアーは地元で千秋楽を迎えることになる。奈良凱旋への思いも告白した。
「『別に奈良でやらんでええやん』と思っていたんです。昨年初めてやってみて、どう自分自身で思うのかなって。そうしたら昔から知っている人たちが『こんなに喜んでくれるんだ』って、地元はいいなと気づきました。大阪にしなくて良かったと思いましたね。なんか違いますね。今まで感じたことのないような満足感がありました」(藤原)
「年取ったからなんでしょうけれど、できる限り恩返しができればいいなとは思いますね。若いころはなかったですけれど。この年になると地元奈良に何か少しでも還元できればと思う。微々たるものでも全然奈良でやることに意義があるなと昨年は思いました」(井本)
「案外、ネガティブなことばっかりじゃないですよ」(井本)。芸能界では連日新型コロナウイルスの感染が発表されている。公演が中止になる可能性もある中で、“中堅”コンビの懐の深さを感じた。