ライセンス、“イケメンコンビ時代”のモテ伝説 過剰ボディータッチやストーカー被害
コンビ結成26年のお笑いコンビ「ライセンス」。最近では、ボケの藤原一裕はYouTube、ツッコミの井本貴史はオンラインサロンと活躍の場を広げている。8月14日を皮切りにスタートする漫才ツアーを前に「吉本男前ランキング」常連だった“イケメンコンビ”時代や20年以上の付き合いとなる「ダウンタウン」との関わりについて話を聞いた。
“イケメンコンビ時代”のモテ伝説も明かす
コンビ結成26年のお笑いコンビ「ライセンス」。最近では、ボケの藤原一裕はYouTube、ツッコミの井本貴史はオンラインサロンと活躍の場を広げている。8月14日を皮切りにスタートする漫才ツアーを前に「吉本男前ランキング」常連だった“イケメンコンビ”時代や20年以上の付き合いとなる「ダウンタウン」との関わりについて話を聞いた。(取材・文=島田将斗)
「ずっと緊張したまま、僕らは死んでいくんでしょうね」――。それは「ライセンス」にとって「ダウンタウン」は、今も昔も雲の上のような存在だった。
2000年から始まった「吉本男前ランキング」。数々のイケメン芸人の名前が並ぶ中、毎年のようにランクインしてきたのが「ライセンス」の2人だ。09~11年に藤原は3年連続の1位を獲得し殿堂入りを果たしている。
イケメン伝説はどれほどだったのか。「そりゃあもう、めちゃくちゃモテましたよ」と井本は冗談交じりに笑った。
「劇場出るときに正面から出たことがないです。わざと時間をずらして本来なら鍵をかけているところとか導線を作ってもらったりしていましたね。そうでないと帰れなかったので。家とかにもついてこられていたんです」(井本)
「尾行とかね。車で劇場に行ったら、駐車場の出口に明らかにおかしい軽自動車がエンジンかけてスタンバイしていました。俺が出たらずっとついてくるなみたいな。それでまいて帰る感じでしたね」(藤原)
笑い話にはしているが、一部ファンからの尾行やつきまといは過激なものだった。今であれば確実に炎上するような内容だが、井本は「僕らも表立って言ってこなかったですからね」と振り返った。
「毎回ちょっとだけ触ってくる子がいました。それがすごいストレスでしたね。大体小さい小袋を持ってるんすよ。それを渡す際にソフトタッチ。毎日されるんですよ。これはストレスでした。『ちょっと触るのやめてくれ』って言ったんですけれど、向こうは『触ってないです』とか言うんすよ」(井本)と苦笑いだ。
一方の藤原はまるでホラー映画のような経験をしていた。「ルミネ(theよしもと)に手紙がある日届いていて、『家を探します』って書いてあるんですよ。何言うとんねんって思ってたんですけれど、次ルミネに行ったときも届いていて……」(藤原)と顔をしかめた。
さらに「『後輩さんたちとかご自身のトークを聞いている限り、おそらくは世田谷区の周辺だと思う』って書いてあるんですよ。それからも『このマンションだと思います』って手紙がくるんです。段々と近づいてきて、自宅から信号1個手前のところまできました。次、ルミネに行ったら手紙の文章がなぜか怒っていて。封筒を見たら、うちのマンションの向かいにあるカレー屋のクーポン券が入ってたんですよね。たぶん当時の彼女を見たかなんかで怒ってたんです」(藤原)と続けた。
恐怖の物語はこれだけではない。家がファンにばれていた藤原はポストにさまざまなものを投函されていた。危険を感じ、当時のマネジャーに預けていたようだが、目に留まったものもあった。
「『藤原さんの部屋から出てきた女の落とし物です』って書いてあって『芸人別れさせ屋料金表』って書かれたものもありました。ABCってランクがあって、Aに売れている先輩方の名前があって、Bにネームバリューのある先輩とか書いてあって、俺らCで。4万4000円って書いてあって(笑)。自分の部屋から出てきた女が“そういう人”だって伝えたかったんでしょうね」(藤原)と笑った。
「ガキ使」の前説を20年以上「今振られたら逃げています」
ライセンスといえば、ダウンタウンの長寿番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系)の前説だ。20年以上務め、常に近くでレジェンドコンビを見てきた。YouTubeやラジオなどでも数々のダウンタウン伝説を披露してきた。
前説をするきっかけについて問うと2人の表情が引き締まった。「あれは日テレで昔、深夜番組をやっていたときの企画のひとつです。コーナーをやって優勝したやつが『ガキの使い』の前説を1回だけできる。それで優勝して1回行った。そこからずっとやっていますね」(井本)。
現在も収録当日のことを忘れることはない。「楽屋にも入れなかったです。浜田(雅功)さんは1人の楽屋でしたけれど、松本(人志)さんの楽屋ってスタッフさんもココリコさんも(月亭)方正さんもみんな一緒で。そこに『入れ』って浜田さんに言われるんですけれど、『どう入んねん』っていう。しばらく廊下に立っている時期が1年ぐらいあったかも分からないです」(藤原)と渋い顔をした。
井本も「そのとき、23歳とかだもんね。そのときのダウンタウンさん、まだ怖かったし。バリバリ怖い時期やったから」と相槌(あいづち)を打った。
当時の前説はライセンス、ココリコという順番だった。「ガキ使」の前説だけは異質だったと表現した。
「当時、他の前説も行っていたんですよ。『ガキの使い』だけは特殊で注意事項を言わなくていい。本来、前説で『これやって』と言われることが全部いらないんです! 拍手の練習とか注意事項とか、出演者の呼び込みとか、この辺が全くなくていい。ただ笑いだけ取ってこいって。シンプルなんですけれど、それの方がしんどかった」(井本)
「収録日の毎週水曜日が吐きそうでした。日曜日あたりからカウントダウンしてましたもん(笑)。なんか前にも後ろにもプレッシャーがあるというか。お客さんは“ダウンタウン”を見に来ているから『お前らで笑うか』みたいな顔してるんですよ。男の人なんてふんぞり返ってる。そういう環境の中、『ウケろよお前ら』っていうプレッシャーが後ろにいるダウンタウンさんからあるんです。今振られたら逃げていると思います。23、4歳やからできたと思います。今やったら発熱しましたで逃げていると思います」(藤原)
それでも「本当に大変だったのは『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)の今田(耕司)さんとか東野(幸治)さん」と謙遜(けんそん)する。だからこそ現在のお笑い界のダウンタウンの立ち位置を飲み込めずにいた。
「簡単に言うと、今の第7世代の子らがのびのびとやれているのを見て、『すごいな』と思う。この状態の何がすごいのか自分でも分からなかったです。彼らがすごいのか、ダウンタウンさんがよりマイルドになられて受け皿が広くなったのか、理解ができなかったです最初は」(藤原)
これがジェネレーションギャップなのか。「たぶん僕が今、そこに放り込まれても、今までと同じような緊張感はある。『ダウンタウンさん、めっちゃ優しくないすか?』って言われたことあるんですよ。確かに優しいねんけれど、そんな言い方で言うか? って思いましたもん」(藤原)と顔をしかめた。
「我々の世代はダウンタウンさんを見て、入ってきている世代やから」と井本。“ダウンタウン=怖い”のイメージを「鬼って会ったこととか見たことないと思うんですけれど、優しいと思います? その感覚です」(井本)と説明した。
時代によって変化しているダウンタウンの印象。「ごっつええ感じ」「ガキ使」から「ダウンタウンなう」「水曜日のダウンタウン」など番組も視聴者層も時代とともに変化した。
変わらないものもある。「根っこにあるものは一緒。だから僕らはずっと緊張したまま死んでいくんでしょうね」(井本)と笑い、「どの部分を切り取っても1位っていうのがすごいですよね」(藤原)。今も昔もライセンスにとってのダウンタウンは“雲の上”の存在であり続けるのだろう。
公演名:「ライセンス漫才ツアー2022」
チケット料金:前売2,500円 当日3,000円
チケット販売サイト:FANY Ticket https://yoshimoto.funity.jp/
福岡公演
【日時】8月14日 午後7時開演 午後6時45分開場(公演時間:60分)
【会場】よしもと福岡 大和証券/CONNECT劇場(福岡県福岡市中央区地行浜2-2-6 BOSS E・ZO FUKUOKA 7F)
沼津公演
【日時】9月25日 午後5時開演 午後4時30分開場(公演時間:60分)
【会場】沼津ラクーンよしもと劇場(静岡県沼津市大手町3丁目4番1号 沼津RAKUUN 4階)
名古屋公演
【日時】10月22日 午後8時開演 午後7時30分開場(公演時間:60分)
【会場】大須演芸場(愛知県名古屋市中区大須2丁目19-39)
京都公演
【日時】11月19日 午後7時開演 午後6時30分開場(公演時間:60分)
【会場】よしもと祇園花月(京都府京都市東山区祇園町北側323 祇園会館内)
東京公演(公演時間:90分)
千秋楽・奈良公演(公演時間:90分)