【電波生活】「カンブリア宮殿」支える小池栄子の頭脳と村上龍の熱量 番組Pが明かす魅力と舞台裏

人気番組や注目番組の舞台裏を探る企画。今回は作家・村上龍氏、女優・小池栄子がインタビュアーを務めるテレビ東京系「カンブリア宮殿」(木曜午後11時6分)。ゲストとして迎えた企業のトップが成功の舞台裏などを明かす経済トーク番組。9月には放送800回を迎える。チーフ・プロデューサーの桧山岳彦氏に、番組の魅力やこだわり、成功している企業のトップに感じる共通点、さらに村上氏と小池の魅力などを取材した。(取材・文=中野由喜)

インタビュアーを務める村上龍氏と小池栄子【写真:(C)テレビ東京】
インタビュアーを務める村上龍氏と小池栄子【写真:(C)テレビ東京】

テレビ東京系経済トーク番組 出演する企業トップの共通点「あきらめない」

 人気番組や注目番組の舞台裏を探る企画。今回は作家・村上龍氏、女優・小池栄子がインタビュアーを務めるテレビ東京系「カンブリア宮殿」(木曜午後11時6分)。ゲストとして迎えた企業のトップが成功の舞台裏などを明かす経済トーク番組。9月には放送800回を迎える。チーフ・プロデューサーの桧山岳彦氏に、番組の魅力やこだわり、成功している企業のトップに感じる共通点、さらに村上氏と小池の魅力などを取材した。(取材・文=中野由喜)

「番組で取り上げる企業は大きく分けて2つあります。1つは『知っている企業の知られざる努力』。当たり前のように日常で使っている商品やサービスに、思いもよらない企業努力や波乱万丈の物語がある、それを伝えたいと考えています。もう1つは『あまり知られていないが、実はすごい企業』です。特にBtoBの企業は、目に見えない場所で日本経済を支えています。そんな企業を掘り起こして紹介することも『カンブリア宮殿』の役目だと思います」

 紹介する企業はどう選んでいるのか。

「常時、およそ10班の制作チームが動いています。経済という専門分野を手掛けてきたベテランスタッフです。普段からアンテナを張り巡らし、気になる企業を、時間をかけてリサーチ、企画をプレゼンしてくれます。『なぜ今、取り上げるのか』『テーマは?』『企業の取り組みが、業種や職種が違ってもビジネスの参考になるか』などを慎重に検討します。1時間近くある番組なので、いかに多角的に紹介できるかも重要なポイントです」

 成功している企業のトップの共通点を聞いてみた。

「今、コロナ禍でどの業界も先が見えない厳しい状況です。そんな中、成功している企業のトップの方々が、異口同音におっしゃるのが『ピンチこそチャンス』という言葉。時代の変化を前向きにとらえビジネスにできるのが優秀な経営者、成功している企業という気がします」

 トップに共通する性格はどうか。

「あきらめない、ということでしょうか。ビジネスに失敗や逆境はつきものです。番組でも、倒産寸前からV字回復した企業を数々紹介してきました。崖っぷちであきらめなかったから今がある。そんな生の言葉や企業努力を伝えられたらと思います」

 トップはなぜ頑張れるのか。

「社員を守る、スタッフを守るという気持ちが大きいのではないでしょうか。どんなに厳しい状況でも、雇用だけは守ると言うトップは多いです。自分1人なら諦めたかもしれない。でも、従業員がいるから逃げることはできない。それが大きなモチベーションになっているように思います」

 番組作りのこだわりなど舞台裏も聞いた。

「カンブリア宮殿は構成上、2つの柱があります。企業を紹介するドキュメンタリーVTRと村上龍さん・小池栄子さんとゲストのスタジオトークです。スタジオ収録のために1カ月以上前から企業の取材を始め、VTRを制作します。スタジオでは、VTRを見た上でトークをします。その際、ゲストの口から思わぬエピソードや裏話などが出てきたときは、スタジオ収録後にさらに追加の取材をします。結果、およそ2か月かけてドキュメンタリー取材をしています」

 続いて、スタジオでの村上氏と小池の魅力をたずねた。

「村上龍さんの番組に対する熱量がすごいです。『カンブリア宮殿』は隔週2本撮りで、村上さんには収録の1週間前に2社分の資料をお渡しします。それだけでも結構な量なのですが、村上さんはそれとは別に、あらゆる手を尽くしてリサーチをしているんです。そして、収録の数日前に『龍さんメモ』がメールで送られてきます。村上さんが独自にリサーチした情報も網羅した、すごい長さのメモです。そのメモを参考に、ゲストにどんな質問をするべきか、スタッフとメールでやり取り、さらに収録前日に直接お会いして打ち合わせします。これは2006年の番組スタート時からずっとやっています。その結果、スタジオでゲスト自身が忘れていたような話がトーク中に出てきて『どうしてそこまでご存じなんですか』と驚かれることもあります」

 小池はどうか。

「とにかく頭がいいんです。瞬発力もすごい。収録中、ゲストのトークを聞き、我々スタッフがもう少し突っ込んで聞いてほしい、と思った瞬間には、すでに質問しています。臨機応変、かつ的確。女優として第一線で活躍され、バラエティーも経済番組もこなせる、すごく稀有な存在だと思います」

 最後に番組の目指すことを聞いてみた。

「明日働く活力になるような番組でありたいです。ビジネスパーソンの方は、同業者だけでなく異業種の方が見ても参考になるように心掛けています。主婦の方も、スーパーやコンビニで買った商品の裏にある企業努力や物語を知ることで、さらに商品やサービスを楽しめるはず。学生や転職を考えている人にも、こんな仕事があるんだ、こんな会社があるんだ、と就職活動の参考になればと思います」

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