“HARD ON FIGHT”野村直矢の進撃が加速 全日本プロレス「王道トーナメント」制覇に一直線
参戦ではなく殴り込みだ! 3年ぶりに、古巣の全日本プロレスの王道トーナメントにエントリーされた“HARD ON FIGHT”野村直矢が改めて吠えた。
新技への意欲も口にする野村
参戦ではなく殴り込みだ! 3年ぶりに、古巣の全日本プロレスの王道トーナメントにエントリーされた“HARD ON FIGHT”野村直矢が改めて吠えた。
2019年末の全日本退団以降、ケガによる長期欠場で発表のタイミングを逃していたが、21年12月に、かつてともにアジアタッグを保持した青柳優馬と「退団マッチ」に臨み、ケジメをつけた。
その半年後、青柳の執拗な挑発に、全日本マットに乱入し、かみついてきた大森北斗を6・19東京・大田大会で一蹴。その後「REAL BLOOD」の同志・ガンバレ☆プロレスの渡瀬瑞基と7・14東京・後楽園大会に乗り込み、優馬と亮生の青柳兄弟を撃破。7・24千葉大会ではジェイク・リー、大森北斗組と対戦し、渡瀬がジェイクに敗れたものの、いつもはクールなジェイクを熱くさせ「喧嘩」だと言わしめた。
ジェイクとは世界タッグ王座を保持し、ユニット「陣」でも共闘していたが、意地の張り合い、火花散るようなまさに「HARD ON FIGHT」な激しい攻防だった。
青柳、ジェイクと以前のパートナーとゴツゴツした試合を展開。野村が上がれば、いつもは明るく楽しい王道マットが殺伐とした四角いジャングルと化す。
8・7後楽園ホール大会で開幕する王道トーナメントでは、1回戦で因縁の青柳と当たる。退団マッチではレフリーストップ負けを喫したが「フォール負けでもギブアップ負けでもない。今度はたたきつぶしてやる」と氷のほほ笑みを浮かべた。
順調に勝ち上がれば、準決勝ではジェイクとの対戦が実現する。「やってやりますよ!」と強い視線でキッパリ。「俺は今、外敵。一戦一戦が勝負」と言い放つ。
同ブロックには大日本プロレスの野村卓矢もエントリーされている。別ブロックでは新日本プロレスの永田裕志が1回戦でヨシタツと対戦、また諏訪魔に代わってブードゥーマーダーズのTARUが電撃参戦するなど、多士済々な選手が集い、どのカードも興味深い。
ホームリングであるキャプチャー7・29東京・王子大会では、初参戦の土肥こうじ、羆嵐組とタッグで激突。パートナーのスーパークラフターUが土肥に破れたものの、パワーファイターの2人に力負けしない強さ、ラグビー仕込みのスタミナも披露している。
「まずはキャプチャー。基礎であり土台。基礎がなければ応用も活用もできない。足元をしっかり固め、他団体にも出撃したい。REAL BLOODに新メンバーも考えている」とますます熱い。渡瀬が欠場中の大物選手と接触したとの情報もあり、今後が楽しみだ。
今は目の前の王道トーナメントに集中するという。「ひとつずつ目の前の闘いに勝利して行く。そうすれば、タイトル挑戦などの“次”も生まれるだろうから」とキッパリ。
約2年の欠場期間にはつらいことも多かったはず。迷いや絶望も味わっただろう。さまざまな人生経験も積み、師とあおぐ北原光騎の教えを受け、着実に成長していた。負傷箇所の首も「大丈夫」と自信も戻った。以前は試合するのが日常で当たり前だと思っていた。だがそれは違う。プロレスができる喜び、幸せは欠場しないと分からなかった。だからこそ目の前の一戦一戦を全力で臨む。
普段はマイペースだが、試合では豹変する。そのギャップに加え「大きくて、強くて、かわいい」とあって、女性ファンが多い。7・29王子大会でも、声出し応援はできないものの祈るように両手を組み、前のめりの姿勢で熱視線を送っていた。
リング上には生きざまが出る。長い欠場期間は苦しかっただろうが、決して無駄ではなかった。その間のつらさを思い切り試合にぶつけ、それまでにはなかった哀愁も出て来た。苦しいときが伸びるときなのだ。
タイミングが合えば、新技も出したいという。まだまだ進化の途中。「俺の闘いは続く」と前を見据える野村の視線の先には何があるのか。野村はもっと強くなれる。王道トーナメントでまた一段、強さの階段を昇る。