【石子と羽男】“楽しみ”を奪うファスト映画 被告の謝罪シーンに見たリアリティー

女優の有村架純と俳優の中村倫也がダブル主演を務めるTBS系金曜ドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」の第3話が29日、放送された。ハッピーエンドで終わらない、現実的なラストに、SNSでは「言葉が重すぎてよかった」との声が上がっている。

有村架純(左)と中村倫也【写真:荒川祐史、ENCOUNT編集部】
有村架純(左)と中村倫也【写真:荒川祐史、ENCOUNT編集部】

「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」第3話が29日に放送

 女優の有村架純と俳優の中村倫也がダブル主演を務めるTBS系金曜ドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」の第3話が29日、放送された。ハッピーエンドで終わらない、現実的なラストに、SNSでは「言葉が重すぎてよかった」との声が上がっている。

 東大卒ながら4回司法試験に落ちた崖っぷちパラリーガルの石子こと石田硝子(有村)と、見たものを写真のように記憶できるという特殊能力を持つが一風変わったキャラクターが玉にキズな弁護士・羽男こと羽根岡佳男(中村)の“石羽コンビ”が、誰にでも起こりうる珍トラブルに挑むリーガル・エンターテインメント。脚本家・西田征史のオリジナル脚本で、数々の人気ドラマに携わってきた新井順子&塚原あゆ子コンビがプロデュースと演出を務めることでも注目を集めている。

(※以下、ドラマの内容に関する記述があります。)

 第3話では、羽男に国選弁護の依頼が舞い込む。羽男が弁護することになったのは、映画監督を目指している大学生の山田遼平(井之脇海)。映画を短く編集した“ファスト映画”を動画サイトに無断アップロードし、映画会社から著作権法違反の罪で告訴され、逮捕されたという。国選弁護は、資金不足などが理由で弁護士を雇えない人に対して国が弁護士を立てるという制度。「手を尽くそうと動けば赤字になりかねません」と乗り気ではない石子に対し、注目されている事件なだけに名前を売るチャンスと感じた羽男はノリノリで案件を引き受けてしまう。

 早速遼平に会いに行った羽男だが、肝心の本人は「突然、警察来てびっくりですよ」と憮然とした態度。さらに「ファスト映画の何が問題なんですか?」と腹を立て、動画をアップしていたチャンネルは収益化していないこと、昔と違って映画館に足を運ぶ人も減っており“映画離れ”が進んでいるが、自身が編集した“ファスト映画”をきっかけに映画が好きになったと言ってくれている視聴者もいるとし「何がいけないんですか?」とまくしたてる。

 形だけでも反省しているように見せようと画策した羽男だが、第一回公判の場で遼平は「やっぱ、何がいけないんですか? ほんと、分かんないんです。予告映像と一緒でしょ? 映画業界への貢献にもなります」と開き直ってしまう。さらにこの公判が世間でも話題となり、名前が似ているため“ファスト映画”を投稿したと誤解された山田恭平監督(でんでん)が誹謗中傷の風評被害に合うという二次被害まで発生。新作映画公開前というタイミングもあり、山田監督のもとで働くスタッフもてんてこ舞いになってしまう。

 そんな中、山田監督の新作映画が“ファスト映画”化されたものが動画サイトに出回るという事件も発生。犯人は山田監督の助監督で、風評被害により客入りが悪いことに腹を立て、宣伝のためにと思って“ファスト映画”を作り、公開してしまったのだった。

 羽男が何を言っても聞く耳を持たなかった遼平は、実は熱心な山田監督のファン。助監督が作った“ファスト映画”を見ると「ふざけてますよそいつ。こんなふうに編集しちゃったら、良さが伝わりません。これじゃ、本編を見る楽しみを奪われてしまったのと同じことですよ」と激怒する。憤る遼平に羽男が「それがあなたのやっていたことなんですよ」と声をかけると、初めて自分のしたことの罪の重さに気がつくのだった。

 反省し執行猶予を勝ち取った遼平は、裁判後、山田監督に謝罪に行く。「許してもらえるなんて思っていませんが、どうしても直接お詫びがしたくて」と土下座する遼平に、山田監督は自身の映画は作るのに時間がかかること、新作は10年かかったことを話し、「気づけば65歳。また10年かかるなら、もう映画は撮れないかもしれない。どんなに謝罪をされても、受け入れることはできません」と言い渡す。

 山田監督の毅然とした態度に、SNSも「山田監督の言葉が重すぎてよかった、ほんと許せないよね」「許さない、で終わるのがよかった」と反応。リアリティーのある描写に「謝っても、罪を償ったとしても、許されないこともある」と感じ入る人も多くいたようだ。

 また第3話では、羽男の姉や両親も登場した。羽男の家族は、検事の姉、裁判官の父という“法曹界一家”。優秀な姉と父に引け目を感じている羽男は、「君は誰にも負けないよ、天才だ。君はできる子だ」と自分の価値観を押し付ける父に反論できず押し黙ってしまう。この様子に視聴者は「期待とプレッシャーで苦しそう」「羽男父、穏やかな紳士かと思いきや父親としては毒親な雰囲気が」と羽男に同情。「天才ぶる羽根岡佳男の背景が見えてきた」と羽男のバックグラウンドに思いを馳せるコメントも見られた。

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