PULVEREX・Ftyanが明かすALGS舞台裏 コロナ感染sakuに愛あるイジり、“通訳あり”英語インタ
バトルロイヤルシューティングゲーム「Apex Legends」の世界大会「Apex Legends Global Series Championship(ALGS)」が日本時間8日~11日の4日間、米国・ノースカロライナ州ローリーのPCNアリーナで開催され、「DarkZero」(米国/オーストラリア)が優勝した。同大会には日本代表の一角として「PULVEREX」(パルブレックス)も出場。大会初日からチームメンバーのsaku(サク)が新型コロナウイルス陽性と診断され、戦線から離脱するなどのアクシデントに見舞われたが、1人メンバー欠いた状態でDAY3まで駒を進めるという快挙を成し遂げた。当時の心境や今大会の感想をメンバーのFtyan(エフチャン)に聞いた。
ALGSでデュオ出場も善戦 「PULVEREX」Ftyanインタビュー
バトルロイヤルシューティングゲーム「Apex Legends」の世界大会「Apex Legends Global Series Championship(ALGS)」が日本時間8日~11日の4日間、米国・ノースカロライナ州ローリーのPCNアリーナで開催され、「DarkZero」(米国/オーストラリア)が優勝した。同大会には日本代表の一角として「PULVEREX」(パルブレックス)も出場。大会初日からチームメンバーのsaku(サク)が新型コロナウイルス陽性と診断され、戦線から離脱するなどのアクシデントに見舞われたが、1人メンバー欠いた状態でDAY3まで駒を進めるという快挙を成し遂げた。当時の心境や今大会の感想をメンバーのFtyan(エフチャン)に聞いた。(取材・文=石井宗一朗)
PULVEREXは前回大会で世界3位となった「Team UNITE」に所属していたFtyan、Lejetta(レジェッタ)、sakuの3人が、ALGSチャンピオンシップ直前の4日に新しく移籍したチーム。前回大会で3位という好成績を収めたことで「自信がついた」というFtyanは、「『今回こそ世界一とってやるぞ』という強い気持ちで挑みました」と振り返る。
また、大会直前にPULVEREXという新チームになったことから「名前が周知されていないというのもあるので、『結果を残してみんなにPULVEREXという名前を知ってもらえたら』という気持ちもありました」と明かす。
自信と強い思いを持って臨んだ本大会だったが、新型コロナウイルスの影響で、8日のDAY1をsaku不在で迎えた。急きょ、ちゃんりよコーチがsakuの代わりに出場することとなったが、結果は40チーム中32位。DAY2 LOSERS1への出場が決まった。
そして迎えた2日目ではさらなる悲劇が。ちゃんりよコーチも新型コロナウイルス陽性と診断されデュオ(2人)での出場を余儀なくされた。
「sakuさんがコロナになっちゃったときは、『まさか俺たちが……』と思いました。ちゃんりよさんにアナリストコーチとして入ってもらっているんですけど、APEXのプレイ自体はそこまでされてなくて、さすがに世界のトッププロがいる中で戦うのは難しいというか……そこはしょうがない部分。このときからかなり厳しいと感じていたんですけど、ちゃんりよさんもいなくなってついに2人で出ることになり、正直『無理だ……』と思っていました。『やるしかねえ』というのはあったんですけど、自信は正直なかったです」
相次ぐ欠員で自信を失っていたFtyanだったが、完全に戦意喪失することはなかった。不利な状況を理解した上で、上位に入るための立ち回りを模索。デュオとして出場することが決まった際には、同じく新型コロナウイルスの影響で欠員を出していた日本チームと意見を交換した。
「正面きってのファイトは絶対にできないので、敵の殺気をより早く察知して引いたり、別のポジションに移動したりしてました(笑)。あと敵との距離感には常に気をつけていましたね」
無念の離脱となったsakuについては「今回こそは勝ってやるぞという気持ちでsakuさんもいたと思うので、コロナになって出られなくなったときは『不完全燃焼になっちゃうんだろうな』と思いました」と語る。このとき、FtyanとLejettaがチームメンバーとしてとった行動は“イジる”ことだった。「かわいそうという感じで気をつかって接することはなくて、ふざけて『何でお前コロナになってんだよ!』とLejettaさんと一緒にイジってました(笑)」。
会場を出た際に海外ファンから大歓声「びっくりしました(笑)」
デュオでの出場となったDAY2 LOSERS1だったが、10位という結果を残し、DAY3 LOSERS2に駒を進めるとともにMVPも獲得した。絶望的な状況で見せた健闘には現地ファンや実況も大興奮。“PULVEREXコール”が鳴り響くなど、すさまじい盛り上がりとなった。
Ftyan自身も2日目を突破できるとは思っておらず、「やるしかなかったんですけど、内心『無理だ』『キツいだろうな』と思いながらプレイしていました」と明かす。しかし、有観客で行われた本大会では、現地の応援の声が支えになった。
「最後まであきらめずプレイできたので、そこは本当に良かったなと思っています。前回大会で3位になったときは優勝が見えていたのもあって悔しい気持ちが強かったんですけど、今回は最初から厳しいと思っていた中での突破。前回より“うれしさ”は大きかったです」
PULVEREXの勇姿は現地ファンの心を大きく動かすことに。会場を出る際には、大勢のファンから歓声を浴びた。「普通に『そろそろ外出ますか』っていう感じで出て行って、あの出迎えだったので、びっくりしました(笑)。めちゃくちゃ海外の方が温かくて、本当にうれしかったです」。
前回大会では通訳なしでの英語インタビューが話題となったFtyan。「前回は通訳がいなかったので、とても緊張した」というが、今回は通訳ありでのインタビューとなった。
事前に「今回は通訳がいる」というのは知らされていたといい、「安心しながらインタビューに臨めました」と笑う。また、「本当に今回はメンタルがやられていたので、『やりたくない』とまではいかないですけど、それに近い状態。そんな中、現地やツイッターでの応援もあって、そのおかげで最後まで頑張ってプレイできたので、その感謝を真面目に伝えようと考えていました」と当時の心境も明かした。
「ALGS」という世界戦を2度経験したFtyanは「本当に楽しかった」と振り返る。「この楽しい経験をもう一度したいというか、これからもしていきたい」と前を向いた。
PULVEREXの目標は「世界一」。そして、「PULVEREX」という名前を世に浸透させること。「一応今回で爪痕というか、名前は知ってもらえたと思うので、今後ももっと知ってもらえるように頑張りたい。今回でファンの応援の力をより実感したので、ただ大会に勝つために頑張るのではなく、ファンのために何かできたらと考えています」。
米国で行われた本大会。日本との違いを感じる場面にも遭遇した。
「マスクをしてる人が全然いないなと思って……そこはびっくりしました。あと、自分がホテルで飲み物を買おうとしてたんですけど、支払い方法で戸惑ってしまって。そのときに店員さんが『いいよ。もってきな!』という感じでタダでくれました(笑)」
APEXのみならず、海外でさまざま経験を積んだFtyan。最後にファンへのメッセージを寄せた。
「今大会はデュオでの参戦になってしまいましたが、みなさんの応援があって最後まで頑張ることができました。ありがとうございます。次こそは3人でしっかり出て、世界一を獲りにいきますので、これからも引き続き応援よろしくお願いします」