バイきんぐ西村、小峠人気“コンビ格差”のどん底「月に2回しか仕事がなかった時期も」

8月に毎夏恒例の単独ライブ開催が決まったお笑いコンビ「バイきんぐ」。結成26年目の今年は「キングオブコント2012」チャンピオン獲得後、10年目に当たる節目の年でもある。昨年の「キングオブコント2021」では審査員側に回った小峠英二と、キャンプ芸人としてますます存在感を放つ西村瑞樹に、ブレーク後の10年とこの先の10年の展望を聞いた。

今年ブレーク後10年の節目を迎えたバイきんぐ【写真:ENCOUNT編集部】
今年ブレーク後10年の節目を迎えたバイきんぐ【写真:ENCOUNT編集部】

「修行」と「ご褒美」、単独ライブへ向けては対照的な思いを語った

 8月に毎夏恒例の単独ライブ開催が決まったお笑いコンビ「バイきんぐ」。結成26年目の今年は「キングオブコント2012」チャンピオン獲得後、10年目に当たる節目の年でもある。昨年の「キングオブコント2021」では審査員側に回った小峠英二と、キャンプ芸人としてますます存在感を放つ西村瑞樹に、ブレーク後の10年とこの先の10年の展望を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

――12回目となる単独ライブ「キャバレー」に向けて。

小峠「もう12回もやってんだな。自分としては早く終わってほしい。今はネタを書いてる真っ最中で、とにかくしんどいですね。単独ライブでは毎年9本新ネタをやるんですけど、だいたい4か月前から、月に3本くらいのペースで仕上げていく。前にさまぁ~ずの三村さんが単独ライブについて『修行だよな』って言っていて、その表現が本当にしっくりきて。しんどいし、やりたくないけど、やってる方が腕を磨くことにつながる。僕にとってはまさしく修行みたいなもんですね」

西村「僕にとってはご褒美ですかね。ネタは小峠に書いてもらってるし、今は出来上がったネタを見るのが楽しみ。ライブでお客さんにウケたときの喜びは何物にも代えがたいですし、むちゃくちゃ楽しみですね」

小峠「マジでうらやましいよ。よく俺の前でそんなこと言えるよな(笑)」

――ネタ作りはどのように進めているのか。

小峠「まずは『コンビニ』とか『葬式』とか、設定決めからですね。作家さんにテーマをお題で挙げてもらって、そこから展開させて作っていく。あくまでもやるのは僕らなので、僕と西村のキャラクターを念頭に、どこかで見た展開とか、僕らじゃなくてもいいようなネタは書かないようにしてます。別の芸人に配役を入れ替えても成立はするだろうけど、それがベストではないかな。僕は僕のまんま、特に演技してるという意識はないですね」

西村「僕はネタの設定になりきるというか、入っていくような意識はあります。むしろドラマとかの方が、お笑いと違って極端なキャラじゃないぶん自分がいるという感じ。小峠の演技指導はけっこう厳しいんですよ(笑)」

――西村さんはネタを覚えるのが早いとか。

小峠「昔は西村の方がだいぶ(セリフを)覚えるの早かったよな」

西村「早かったけど、そのぶん抜けるのも早かった。半年後とかに同じネタやると、小峠は覚えてるけど僕は全部忘れてたり。一夜漬けみたいなもんですよ。今は覚えるのも遅いし抜けるのも早いっていう」

小峠「いいとこなしだな! でも本当、しんどさで言ったらネタ作りが9割9分ですよ。空いてる時間を全部費やさなきゃいけないし、この時期はプライベートの時間なんか全然ないですよ。ただもちろん、そのぶん達成感はありますけどね。いわゆるバラエティーとかトークとは違う、僕らの作品ですから」

――小峠さんは昨年のキングオブコントで審査員を務めたが、審査する難しさは。

小峠「そりゃ難しいですよ、人生かかってますから。ただ、審査する上で今までずっとサボらずにネタ作りをやってきたというのはデカかった。ライブでネタと真剣に向き合ってるぶん、ここが良くないとか、このフレーズよく出したなとか、後半もう一発欲しかったなとか、作り手側の目線で過程まで見ることができたので。自分だけのバロメーターでは偏ってしまうので、今まで見たことがあるかとか、その場のお客さんの熱量とか、客観的な根拠を挙げられるように見ていました」

――審査や解説が分かりやすいとお笑いファンからも好評だった。

小峠「それが、キングオブコントで審査員を受けた弊害もあって、この前バラエティー番組で若手のちょっとしたネタに点数をつけることがあったんですけど、賞レースじゃないんだからもっと気楽にやればいいのに、ものすごく真剣に考えちゃって。難しく考えすぎる変な癖がついちゃったんです」

西村「キングオブコント後に楽屋で合った小峠、今までに見たことがないくらいやつれていましたから」

小峠「そりゃ疲れるよ。ネタ見ながらコメント考えて、点数をつけなきゃいけない。3時間ずっと気を抜く暇がないんだから」

小峠「テレビに出ていてもずっと不安」 西村「僕は月に2回しか仕事がなかった」

――西村さんは昨年長男が誕生、今年は初の“ファミキャン(=ファミリーキャンプ)”もしたとか。

西村「ゆくゆくはソロキャンプだけじゃなく、ファミキャンもやっていきたいなと。まったくの別物ですよね。たき火の火で粉ミルク作ったり、パウチの離乳食を温めたりしましたよ。息子も息子で、もうすでにたき火の火を眺めて貫禄たっぷりにたそがれてた。あれはいいソロキャンパーになりますよ。キャンプ用に購入した山もちょくちょく使ってます。僕が買ったところはあんまり手入れの必要がなくて、管理もしやすいんですよ」

小峠「いいじゃない。西村の山を不法投棄の聖地にしてやるよ!(笑)」

――以前から「10年は出続けたい」と言っていたが、今年ブレーク10年目を迎えて。

小峠「うれしいですね。とにかくうれしいというのが一番。一方でこの10年は、テレビに出ていてもいつもどこかでずっと不安があった。売れた後もトークを磨いたりとか、見えない努力はずっとしていたと思います」

西村「小峠は売れてから一度も落ちてなくて、ずっと上り調子じゃないですか。そばから見ててもそれがすごいなと。僕は一回落ちて、小峠が一人で出てる番組を見てましたもん。『こいつすげえなー』って。僕は月に2回くらいしか仕事がなかった時期もあるし」

小峠「2回!? 月2回は知らなかった。月2回仕事に行って、あとの28日は何してたの? キャンプも始める前でしょ」

西村「当時は“瞑想”(めいそう)とかしてたな。そうそう、さまぁ〜ずの三村さんに『せっかく時間あるなら何か新しいこと始めろよ』と言われて、泳げないのに小型船舶一級免許を取りましたね。あとはスピードラーニングとか、ゲームをしたりとか。そうこういろんなことをしてるうちに、キャンプに出会った感じかな」

――この先の10年の目標は。

小峠「目標ないなあ。お笑いで食えていたらそれで十分」

西村「小峠のネタ作りがどれだけしんどくても、55歳になって単独ライブをやっていたいですね。新ネタが年に9本だから、あと90本!」

小峠「あと90本かあ~(笑)。でも、そう考えるともう100本以上はネタを作ってきたことになるのか。そう言われると達成感というか、修行でも何とか頑張ろうという気になるな」

西村「僕はまだまだいろんな仕事をやりたい。キャンプはもちろん、役者とか、ナレーションみたいな声だけの仕事とか。いろんな仕事やって、年に一回、ご褒美としてライブができたらいいですね」

小峠「やっぱりご褒美なのかよ!」

□小峠英二(ことうげ・えいじ)1976年6月6日、福岡県出身。お笑いコンビ「バイきんぐ」のツッコミ・ネタ作り担当。12年のキングオブコント優勝後、ピンでのメディア露出が増加。21年のキングオブコントでは審査員に抜てきされる。趣味は音楽、映画鑑賞、ギターなど。バイきんぐ単独ライブ初、全国12都市映画館でのライブビューイング開催も決定。

□西村瑞樹(にしむら・みずき)1977年4月23日、広島県出身。お笑いコンビ「バイきんぐ」のボケ担当。2012年の「キングオブコント」優勝でブレークしたものの、相方に比べテレビ出演が少なくコンビ格差をネタにしている。ソロキャンプ芸人としても注目を集め2019年からはテレビ新広島で初の冠番組「西村キャンプ場」が放送中。バイきんぐ単独ライブ初、全国12都市映画館でのライブビューイング開催も決定。

○ツイッター
小峠英二:https://twitter.com/viking_kotouge
西村瑞樹:https://twitter.com/vikingnishimura

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