ガチのヤンキーד世界一あきらめの悪い男”の「ヤンキー二丁拳銃」が見せたタッグの真髄
組んで良し、闘って良し。 “ヤンキー二丁拳銃” 木高イサミと宮本裕向が、7月18日 “聖地” 東京・後楽園ホールで、タッグチームの神髄を披露した。
「組んで良し、闘って良し」の定説を証明
組んで良し、闘って良し。 “ヤンキー二丁拳銃” 木高イサミと宮本裕向が、7月18日 “聖地” 東京・後楽園ホールで、タッグチームの神髄を披露した。
7・18後楽園決戦は、正午からBASARAの、18時半から大日本プロレスの大会が開催された。BASARAは「木高イサミ20周年記念興行」と銘打たれ “世界一あきらめの悪い男” イサミのレスラー人生20年を祝った。
イサミがメモリアルマッチの対戦相手に選んだのは、もちろん “デスマッチ・ヤンキー” 宮本だった。知り合って18年、タッグを組み始めて17年。デスマッチはもちろん、通常のプロレスルールでも、プロレス界にその名を轟かす名チームである。
言葉はいらない。アイコンタクトさえなくとも、阿吽の呼吸で流れるような連係プレー。お互いの技量を信頼しているから、そして歴戦を戦い抜いて来たからこそできるファイトスタイルだ。
プロレス界の名コンビとは「組んで良し、闘って良し」が定説。かつてのBI砲、馬場と猪木は若手時代を除くと、闘うことはなかったが、2人の一騎打ちは永遠の夢対決として、いまだにファンをワクワクさせる。ジャンボ鶴田と天龍源一郎の鶴龍コンビも、タッグチームとして輝かしい戦績を残したうえで、2人の激突、鶴龍対決はプロレス大賞のベストバウト賞を何度も獲得している。
山本小鉄と星野勘太郎のヤマハブラザーズ、諏訪魔と石川修司の暴走大巨人もしかり。タッグ屋と称えられた名コンビは、2人が同じコーナーに立つタッグマッチでも、2人が赤と青の両コーナーに分かれて対戦しても、観客席を熱くさせてきた。
ヤンキー二丁拳銃の二人は、同じ日の昼と夜で、プロレス界の定説を実証したのだから、素晴らしい。昼の対決では宮本がムーンサルト・プレスでイサミを下した。2人は「試合するより、組んでいた方が楽」と口を揃えた。
それもわかる。イサミの異名は「世界一あきらめの悪い男」である。勝利への執念は凄まじく、対戦相手が根負けすることもしばしばだ。宮本もしかり。骨折したまま、白星を求めて闘い続けたこともある。
コンビを組んでいるときに「どうして、ここまでやれるの」と、パートナーの踏ん張りに驚いているという2人である。対峙したら、名勝負は間違いない。
夜の大日本では、野村卓矢、阿部史典のアストロノーツと対戦し「これぞタッグマッチ」という好勝負を展開し、勝ち名乗りを受けている。「年齢は関係ない。ヤンキー二丁拳銃を改めて発進させる」と2人は意気込んだ。
通常ルールでもデスマッチでも大活躍している点も共通する2人。その体中に刻み込まれた歴戦の傷跡も、勲章として胸を張るのも同じである。
違う点と言えば、宮本は広島の正真正銘ヤンキーだったことか。イサミは「僕はヤンキーじゃない」と力説しているが、BASARA代表として団体を率いている姿には、総長のごとくリーダーとしての強さを感じる。宮本が「僕は人を統率できない。一匹オオカミだから。団体をまとめ、仲間もいるイサミ君はスゴイ」と称える様子は、2人の絆の強さを感じさせる。
実はプライベートではほとんど付き合いのないという2人。これもプロレス界の常識「名コンビは会場での付き合いだけ」に合致している。
唯一の心配は、宮本が足、イサミがアゴと同じ個所の骨折や故障を繰り返していること。故障の仕方だけは、息を合わせることはないのだが……。
来年、宮本が20周年を迎える。記念マッチにはイサミが絡むことは間違いない。どんなカードが実現するのか、今から楽しみ。試合後にはヤンキー二丁拳銃の決めセリフ「なぜなら、俺たちは強い!」が、きっとまた聞けるはずだ。(文中敬称略)
※木高イサミの高の正式表記ははしごだか