「ネタバレしないでの連続」 大河「鎌倉殿の13人」チーフPが恐れる「歴史探偵」
俳優・佐藤二朗がMCを務めるNHKの歴史教養番組「歴史探偵」(水曜午後10時)が、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)とのコラボ企画を20日に放送する。サブタイトルは「鎌倉バトルロイヤル」。頼朝の死後、鎌倉で巻き起こる御家人たちの権力争いを徹底調査する内容。佐藤は大河で比企能員を演じているが、20日の放送では三浦義村を演じる山本耕史がゲスト出演する。「歴史探偵」の河井雅也チーフ・プロデューサーと「鎌倉殿の13人」の清水拓哉チーフ・プロデューサーが取材に応じ、歴史教養番組と大河ドラマの特徴や舞台裏などを語った。まずは佐藤と山本のスタジオの様子から。
NHKの歴史教養番組「歴史探偵」が「鎌倉殿の13人」とのコラボ企画を20日に放送
俳優・佐藤二朗がMCを務めるNHKの歴史教養番組「歴史探偵」(水曜午後10時)が、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)とのコラボ企画を20日に放送する。サブタイトルは「鎌倉バトルロイヤル」。頼朝の死後、鎌倉で巻き起こる御家人たちの権力争いを徹底調査する内容。佐藤は大河で比企能員を演じているが、20日の放送では三浦義村を演じる山本耕史がゲスト出演する。「歴史探偵」の河井雅也チーフ・プロデューサーと「鎌倉殿の13人」の清水拓哉チーフ・プロデューサーが取材に応じ、歴史教養番組と大河ドラマの特徴や舞台裏などを語った。まずは佐藤と山本のスタジオの様子から。
河井氏は「歴史探偵」という番組が史料を読み解いたり、研究者を取材して最新の知見を得て番組を作っているとした上で、2人について「盛り上がったのは演じていた大河の話と『歴史探偵』で紹介されたVTRが結構、違っていて『あれっ、こんなシーンあったっけ』というようなことを話して盛り上がっていました。僕らはいろいろなものを取材して、史実をベースに作っていますが、大河の三谷幸喜さんの脚本は史実に基づいていますが、何倍にもひねって作られているので、違う2つの世界が出てきて驚いたのだと思います」と紹介した。
清水氏は「歴史探偵」について「正直に言うとそんなにネタバレしないで、ということの連続」と語ると、「時代考証の先生に教えてもらって勉強した上で三谷さんの本を読んでいくと驚くので、さすが三谷さんのストーリーテリングとあらためて思います」と紹介した。また、三谷氏に対して毎回お願いしていることがあると紹介。「とにかくお客さんをびっくりさせてほしい、歴史ドラマでありながらお客さんを予測不能でびっくりさせてほしいということ。それに見事にこたえてくださっています」と語った。
「歴史探偵」では、大河では坂東彌十郎が演じる北条時政が、かなりの野心家として紹介される。「鎌倉殿の13人」では、おっちょこちょいでのん気な印象。
河井氏は「違いをうまく消化させながら、一つの世界観、物語を作りだしている三谷さんの脚本に感動します」と語った。
清水氏も「時政については研究者の間でも見解が分かれる人」と語ると「ドラマで描いているように伊豆の勢力の小さな豪族にすぎなかったであろうという説もある一方で、実は京都とのつながりが深く、政治欲を持った人物だったのではないかという説も。僕らはドラマなのでより劇的だったり、運命的だったりする描き方をとっていきます」と説明した。また「義時のお父さんだった時に、どういうお父さんなら義時の人生がドラマチックになるだろうということも含めて考えています」と紹介した。もし時政が権謀術数のある大政治家のタイプなら頼朝と役割がダブってしまうことも考慮したようだ。また清水氏は「いろんな歴史解釈でも全くあり得ない解釈は取らないようにしています」とし、「三谷さんがゼロから話を作っているわけではない」と説明した。
「歴史探偵」では時政は野心家と印象付けられたが、大河では今後、キャラが変化するのか。
清水氏は「連続ドラマなので長い時間をかけて人物が変化していく姿を描いていくので時政がある回から突然、ひょう変することはありません。ただ、歴史的事実として時政が頼朝の死後、鎌倉幕府の中で初代執権と言われる存在になったことは間違いないので、彼自身が覚悟を持ってその座をつかみにいった姿は当然、描かれます」と紹介。また「あのお父さんがこうなるんだというというのは感慨深いものがあります。同時にその過程できっとあのまま伊豆で暮らしていたらこんなめにあわずにすんだのに、ということも」と語った。
さらに清水氏は「ドラマというエンターテインメントがある一方で、歴史番組という教養としてのエンターテインメントも一緒にあって、両方楽しんでいただくのはNHKならでは。(歴史番組は)ドラマの世界を何倍にも深く楽しんでいただくことができる一方で、ネタバレの劇薬でもあります(笑)。お覚悟の上、服用してください」と冗談めかした。
清水氏は最後に「三谷さんが史実と関係なく想像を膨らまして書いているわけではないです。時代考証の先生とディスカッションを行って、それをヒントに、今、歴史研究で分かっていることなどをヒントに想像力を膨らましています。そこを手がかりにしたんだと、分かるのが『歴史探偵』の面白さ」とあらためて説明。具体的な例としてドラマで頼朝の命令で善児が伊東祐親を殺したことを挙げた。「どうやって三谷さんが想像したかというと『吾妻鏡』という歴史書に伊東が自害と書かれています。その記述の最後の1行に三谷さんは注目しました。自害した後、三浦が駆けつけると『遺体はきれいに片付けられていた』という1行。なぜ、そんなことをわざわざ書いたのか。後ろめたい何かがあったからではないかというところから想像を膨らまして、幕府の公式見解としては自害となっていることを頼朝がひそかに殺したというふうに想像。歴史的に分かっていること、記録に残っていることを三谷さんはすごく大事に手がかりにして創作しています。ここからスタートして飛躍し、ドラマに発展していったんだと見てもらうと面白いと思う」とした。