安倍元首相銃撃 火薬の製造法めぐる報道が物議も…専門家「そもそも原料が違う」
安倍晋三元首相が演説中に銃撃され死亡した事件で、火薬の製造方法をめぐる報道が物議を呼んでいる。その中で、専門家からは報道されている原料自体の誤りを指摘する声が上がっている。
安倍元首相の銃撃事件で、火薬の製造方法をめぐる報道が議論を呼んでいる
安倍晋三元首相が演説中に銃撃され死亡した事件で、火薬の製造方法をめぐる報道が物議を呼んでいる。その中で、専門家からは報道されている原料自体の誤りを指摘する声が上がっている。
事件は今月8日、奈良市内で発生。警察は奈良市に住む無職の山上徹也容疑者を逮捕、殺人容疑で捜査している。これまでの調べで山上容疑者は、インターネットの動画を参考にしながら自作の銃を製造、「硝酸アンモニウムや硫黄、木炭などを混ぜて黒色火薬を作った」「火薬をつくる方法はネットで調べた」などと供述しているという。
14日にNHKなどが「硝酸アンモニウムは肥料に含まれるなど手軽に入手できる」という情報とともにこれを報じると、ネット上では「火薬の製造方法を報じちゃダメだろ」「模倣犯が出たらどうすんの」と批判が噴出。「その気になればネットにいくらでも転がってる情報」「このタイミングで具体的な製造方法を出すことで模倣を誘発する」など、大きな議論を呼んでいる。
これについて、火薬や爆発物に詳しい専門家は「そもそもの原料が違います。硝酸アンモニウム、硫黄、木炭を混ぜても100%燃えません。黒色火薬の原料は硝酸アンモニウムではなく、硝酸カリウム。リークの段階から誤った情報だったのを、確認せずにそのまま報じたのでは」と報道の信ぴょう性自体を疑問視する。
火薬の製造法をめぐる報道の是非については「日本語で解説したものは少ないが、正直、ネットで調べれば簡単に見つかるというのは事実。ただ、作り方が分かったからといって実際にできるかといえば別問題。それなりの知識や技術を持ったうえで相当試薬を繰り返さないと、燃えるものは作れません」とした上で「事件があったからには、規制など何かしらの対応を取るべき」と話している。